シェア
武田道志郎
2018年3月15日 22:02
「……ッ」 ──空気が張りつめている。 双方が発する殺気が、辺りに充満していた。 衛は、構えたまま全く動かない。 三兄弟もまた、その場に佇んだまま、全く動かなかった。 ──否。一人だけ、微かな動きを見せる者がいた。 剣次郎である。 彼は今、全身をぶるぶると震わせていた。 恐怖から来る震えでもなければ、武者震いでもない。 怒りから来る震えであった。 衛の挑発により、剣次郎の腸は