03_森の小さな天体観測所_ホルモンの森_より2

童話-ホルモンの森03『森の小さな天体観測所』

2015年8月制作 DosGatos
作詞・作曲・ボーカル・イラスト・デザイン:holmium
編曲・ミックス・トラックメイキング・マスタリング・童話:MONTAN

楽曲:https://note.mu/dosgatos/n/n1f43b2cf844d

うすモモの空にコーヒーが流れて、
ネコネコの森にも夜がきました。

大きなホルモンの木のそばには、
がらくたのようなピンクの家があります。
二階には双子の白ネコが眠っておりました。
ちょっとのぞきに行ってみましょう。

木製の小さなベッドから落ちて、
なにやらもがいているのはモンですね。
どうやら川でおぼれている夢を見ているようです。
いっぽう黒いビーズクッションの上で、
なにやら目を開けたまま寝ているのはホルですね。
ときたま「ムフフ」と笑っているみたいです。

ホルとモンの家のてっぺんには小さな天体観測所がありまして、
大耳ネズミのジョージが真夜中に観測を続けているのです。
ホルとモンはそんなこと、まったく知りません。
天文学ネズミのジョージが、かってに間借りしているのでした。

屋根の上には小さなドーム型の屋根がさらに突き出していて、
小さな望遠鏡があります。
ネズミのジョージは、星を観測しては、
なにやらノートに記録を付けておりました。
「ネズミノシッポ星雲は穴ボコだらけだ。チーズみたいでウマそうだな。」
ジョージは興奮して大きな耳を動かしました。

真夜中の3時。ティータイム。
ジョージは疲れた体を一休みさせ、小さく切ったチーズと紅茶で一息入れました。
こんな真夜中、楽しみにしているラジオ番組があるのです。
テーブルのそばにある古いアナログラジオのスイッチを入れました。
おなじみのテーマ曲が小さなノイズまじりに流れてきました。
「ホルモン通信~~。」
「双子の白ネコ、ホルとモンがお届けする30分のラジオ番組じゃよ、むにゃむにゃ。」
おなじみのオープニングが終わると、二匹のおしゃべりが続きます。
ジョージは、二匹のネコのことは知りませんが、昼間の出来事など語っていて、
いつものこの時間をとても楽しみにしていました。
「いったいどこで放送しているのだろう?しかし、このような低俗な話を聞くのは、気分転換にもなり、脳がリラックスしていいことではあるな。わははは。」
大耳ネズミのジョージは、いつも真夜中にひとりで仕事をしているので、
たまにとても寂しくなるのです。
ずっともくもくと仕事をしているので、しゃべることも笑うことも忘れていました。
何気なくスイッチを入れたラジオから偶然流れてきた番組。
それ以来、ジョージは毎晩が楽しくなりました。
ホルが「メッセージ」という新曲を披露して、番組は終わりました。
「では、またこの時間にお会いしましよう、むにゃむにゃ。」
午前3時半。
「しかし、なんでこいつらは、言葉の最後に“むにゃむにゃ。”と言うのだろう?」
ジョージは不思議に思いました。

それはねぇ、ジョージくん。それは二匹の寝言だからですよ。
ホルとモンの寝言が、この古いラジオから流れるのです。

遠い星のこともナゾでいっぱいですが、
すぐ近くのことも、あんがいナゾでいっぱいというお話でした。
では、また、明晩!

3話 了


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小説「ホルモンの森に消えゆく人たち」
Dos Gatos「ホルモンの森」の童話から派生したリアル世界のお話です。
こちらもあわせてお楽しみください(^ω^)
★note: https://note.mu/montan/m/m6308c23f9e5e
★MONTAN BLOG:http://montan18.blog.fc2.com/blog-entry-287.html

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