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算命学余話 #R2「庚金生まれを考える」/バックナンバー

 米国の調査によれば、交友範囲の狭い人や孤独に暮らしている人は、そうでない人と比較して老若を問わず病気の罹患率が高いそうです。人と交流することによる脳や身体への刺激といった物理的な理由から、悩み事を相談できる相手がいるという安心感といった心理的な理由まで、いろいろ挙げられるのですが、算命学の立場から言えばそんな調査結果などに依らずとも、「宿命全体を輝かすために四方の星=人間関係を活発にした方がいい」という哲理を知っていれば済むことです。
 たとえ自分を剋してくる気の合わない相手であってもいないよりはましで、その刺激はまた別の刺激を生んで、回り回っていつかは事態の好転を生むものです。忌むべきは停滞であり、家に閉じこもって周囲と交友しない人は、算命学的には比和の状態、血液で云えば鬱血状態、腸で云うなら便秘です。これで健康になれるわけがないのです。
 周囲の人間の助けを借りて自分の宿命を輝かせる方法は、余話#U115や#R1に書いたのでここでは繰り返しませんが、宇宙を見ても判るとおり星は絶えず回っているのが自然です。地球は自転し、また公転し、太陽も銀河のどこかの重力を基点に回っており、銀河も更に回っています。回っていれば時には衝突もします。これが自然の摂理なので、こうした回転運動に逆らって停滞しようとするものは、この宇宙では病んで淘汰されるしかないのです。それがいやなら家から撃って出て、同じく回転を余儀なくされている普通の人々と、衝突を恐れずに交流すべきなのです。そうすれば便秘も肥満も解消されることでしょう。

 前回の余話は庚金生まれのある宿命を素材に、自然現象に則した鑑定事例を紹介しましたが、算命学の自然思想がよく判る例として人気の回となりました。庚金は刃物ですので、自然現象に置き換えるのが難しいと思われるかもしれませんが、鉄器も元は鉄鉱石ですから、自然のままでは岩石なのです。しかし荒々しい岩石のままでは役に立たないので、教育や訓練によって製錬したかどうかが鍵になる。更に刃物となった後でも、使い方や日々の手入れが重要になる。要するに、庚金は育て方や環境によって明暗が極端に分かれる十干なのです。

 先日亡くなったボクシングのモハメド・アリ氏は庚金の生まれです。庚金だから攻撃的だとか、スポーツが得意だというわけではありません。庚金以外の生まれの格闘家やスポーツ選手はあまたいます。それよりも着目すべきは、アリ氏の場合は社会と闘ったことです。そしてまさにそのことでアリ氏は名声を上げた。文明の利器である庚金の真価はこういうところ、つまり文明に寄与する場面に鋭く現れるのです。
 アリ氏の命式はいずれ改めて解説するつもりですが、今回のテーマは庚金についてです。以前、貴金属である辛金生まれにフォーカスしてその日支に何が来ているかで風景が違ってくるという話をしました。今回は前回の話題を受けて日干庚金と日支の組合せについて、ざっと見渡してみます。以前、庚申の組合せについてはどこかで書いたと思いますが、この庚申も含めるので一部重複します。

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