算命学余話 #U8「回転法を考える」/バックナンバー
前回の余話#U7では、宿命天中殺であるサッチャーがどうやら「無欲無心」を徹底して宿命を陽転させ、星を輝かすことに成功したようだと論じました。天中殺をその名のおどろおどろしさから忌避する人が多いので、それを払拭するよい例になったと思います。天中殺は正しく利用すれば通常にない力を発揮しますし、天中殺に限らず困難な宿命の型であっても、困難を克服した暁には標準的な人生よりずっと勝る幸運を手にすることができるのです。
但しこうした珍しい宿命や難しい星並びは活用方法を間違うと逆効果も大きく現れるので、使用方法には注意が必要です。こうした宿命では成功者と失敗者の差が激しく分かれることも否定できません。サッチャーと同じ生年月日の人が同じ業績と名声を得られたわけではありません。例えばサッチャーは父親がキーパーソンでしたが、もし同一生年月日の人がいて同じく無欲無心を貫いたとしても、父親が人格者でなかったり病弱だったりしたら、この宿命の星は充分に輝けません。
以上はほんの一例にすぎませんが、人類が有性生殖をする限りは必ず両親がおり、そのまた両親たちがいる。我々は彼らの子孫であり、どの宿命にも先祖を代表した年干支というものがある。これは算命学の基本です。もし年干から養分を吸え、と宿命が言っているなら父親には健在でいてもらわなければ自分が損をするし、年支から養分を吸え、と言うなら母親が元気でいてくれないと自分の運勢が下がるのです。
では年干支から養分を吸わない方がいい、と出てしまった場合はどうするか。それは父母と離れて暮らすのが穏当でしょう。一緒にいると不和が嵩じて刺し違えるかもしれない。或いは誰かが病気になって犠牲を一身に引き受けることになるかもしれない。そうした悲劇をなるべく避けるために、算命学では各自の宿命が語るパイの取り分、取り易さ、過度な欲望の抑制などを探求しているのです。
この探究方法は多岐に亘るので、学習者は個々の技巧を学ぶ前にまず理念を習得することが必要ですが、逆に技巧を通じて様々な角度からその根本理念を検証することもできます。今回は陽占に纏わる「回転法」についてその辺りを考察してみたいと思います。
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