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餌付け、タンチョウ、オジロワシ

 前回の記事「ロシア文学が余所と違うのは」がnoteの方で「スキ」がいっぱいついた。いっぱいといっても微々たる数だが、肩書きが作家や詩人というのが多い。これはnoteが読書好きの集まるプラットフォームだからということかな。自称も含めて世の中こんなに物書きがいたのか。びっくりだ。もしかして宇宙人もその一人なの? え、いつの間に? ともあれnoteでは算命学の記事よりロシア文学の記事の方が食いつきがいいことに改めて驚く宇宙人。この種の記事を増やしてみるかな。
 昨今では「投げ銭」ていうのがあるんだって? ネット上の「推し」アイドルにジャラジャラ投げ銭をして出費をしては喜ぶ、遊びというか生き甲斐があるそうな。宇宙人は生まれてこの方アイドルに夢中になったことがないのでその喜びは理解に苦しむのであるが、では「好みのロシア人作家やロシア文学者に投げ銭をしたらネットでちょっと言葉を掛けてもらえる」なんて仕組みがあったらどうだろう。宇宙人でもうっかりジャラジャラ有り金を突っ込んでしまうのだろうか。
 うーん。いやないな。「金銭を積めば叶うという」過程が白ける。誰かの金儲けに利用されていると思うと冷める。「囲い込み」の匂いがしてゲンナリする。世の中そんな仕組みの娯楽ばかり。馬鹿にされてるな。もっと潔い感動が欲しい。仕組まれていない、思いがけない、人と比べる必要のない感動が。AIなり何なりがもっと精度を上げて、人の感動を正しく測れるようになったら、その偽りでない本物の感動を与えてくれた人に対し自動的にお米が届けられる、みたいな仕組みができないかな。なぜお米? だって生きていて欲しいじゃん。こんなサブスクなら宇宙人だって申し込むのにな。皆さんだって宇宙人節でひと笑いした後は、茶碗一杯分の米くらい餌付けしてやってもいいと思うでしょ? 「スキ」が自動的に米や味噌になって届いたらいいのにな。あ、「スキ」や「記事購入」をすると宇宙人からは自動で感謝メモが送信される仕組みになってるので、試してみてくれたまえ。いくつかバリエーションを作っておいたから、ランダムに色々届くと思う。

 さて餌付けと言えば、釧路湿原に越冬にやってくるタンチョウ観察のできる季節だというので、宇宙人は休日の社用車を飛ばして北海道を南下した。知床半島から鶴見台まで140km。餌付け時間の朝9時前後に間に合うよう出発したが…案の定道を間違える宇宙人。ナビ無し車につきスマホのマップで走行し、最短経路から大きく外れて雪道をゴトゴト進む宇宙人。だめだ、全然間に合わない。諦めて中間点の屈斜路湖に進路を変更する宇宙人。砂湯という名所にこちらも越冬中の白鳥が見られるスポットがあるので、先に回ることにする。お、いるいる! わんさかいるではないか。屈斜路湖はこの時期凍結しているが、温泉の流入するこの湖畔は氷が解けて、白鳥の憩いの場となっている。というより白鳥のスパ? 完全に雪見温泉になっている。白鳥も湯治をするのだな。白鳥の群れと言えばバレエ「白鳥の湖」の群舞シーンだが、ここの群れは悲壮感ゼロであるな。〽いい湯だな。
 非日常の光景を脳裏に焼き付けて、再び車を飛ばす宇宙人。途中の道の駅摩周温泉に立ち寄り、可愛いアイヌの木彫りストラップを購入。『ゴールデンカムイ』のアシㇼパさんのヘン顔そっくりな子供の顔のものがあり、恐らくこちらが元ネタで、『カムイ』の作者が作品に盛り込んだものと思われる。アイヌの木彫りにはもっと有名な女性の横顔のものもあります。でもアシㇼパさんには似ていない。

 タンチョウ、タンチョウ。再び車を走らせ、餌付けタイムを無視した時間にようやく現場へ到着。期待を裏切らず、タンチョウはこれまたわんさかなのだ。良かった間に合って。見学柵を右へ左へと移動して観察する宇宙人。観光客にサービスして鶴らしい歩き方をするタンチョウたち。翼を広げて優雅に飛び立ったり、片足立ちしたりしてサービスに余念がない。フラミンゴといい片足で立つ意味は何であろう。
 観光バスが続々到着したので、出発する宇宙人。この後は釧路経由で厚岸の著名な道の駅まで行く予定であったが、検索したら連休明けで休みだという。あらま。釧路は以前観光したし。冬季通行止めの温根内木道を行けるところまで歩きながら思案し、結局引き返すことにする。帰路は網走湖の氷上ワカサギ釣り会場に寄ってみよう。間に合ったらワカサギを釣ってみよう。
 先程の砂湯とは反対側の屈斜路湖畔の美幌峠まで81kmを飛ばし、ここにある小洒落た道の駅は去年来たことがあったなと思い出して休憩し、そこから37km走って道の駅メルヘンの丘へ到着。ワカサギ会場はすぐそばだ。でももう間に合わないな。もうすぐレンタル道具の返却時間だから。見学だけさせてもらおう。入口で断って、中に入れてもらう宇宙人。網走湖は完全に凍結し、足元の頑丈な氷には、専用ドリルで空けた穴が点在している。穴の中は既に氷が張り始めている。テントがちらほら見える。もう帰り支度の客が多い。テント無しでやる客もいるが、これは寒さに強い人向け。ワカサギの天ぷらを楽しめるほど釣りたいなら、テントの中の椅子に腰掛けてじっくり釣るのが王道。どうしようか、後日もう一度来てやってみようか、みまいか。
 氷に空けた穴のそばに、大振りのワカサギを何匹も見つける宇宙人。網走湖のワカサギは他の道内の湖より大きいと聞く。誰かがわざとワカサギを撒いていったようだ。もしかして餌付け? 氷上を見やる宇宙人。その先には人間から距離をとったオジロワシが夕日を背にたむろしている。人間が去った後に残る置き土産を狙って待っているのだ。先日はオオワシに遭遇した宇宙人、オジロワシは初めてなので近寄ってみる。しかしすぐ飛び立ってしまう。警戒の仕方が白鳥の比ではないな。こんなに大きいのに。
 人が更に減ってオジロワシが近づいてくるのを待ちたかったが、夜道の運転に自信のない宇宙人は出発することにする。網走経由でウトロまで81km。途中、揚げたてのホタテ天で知られる北見食品に寄ってみたが、これまた臨時休業で味わえず。もう一回来るかな。この日の走行距離は350km。溝にはまることもなく、安全運転に努めた宇宙人の休日でした。

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