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アヤソフィアモスク化、その後


Netflixでオスマン帝国を見て以来、トルコ関連のニュースが気になってきてしまって、また溜まってきたので一度整理する。

前回の記事では、「アヤソフィアがモスク化されそうだ」という件について述べたが、結局7月24日にアヤソフィアで集団礼拝が行われ、モスク(イスラム教の宗教施設)として転用され始めたようだ。

この日、アヤソフィア周辺には約35万人が集まったというが、想像通りというか、やはりCOVID-19感染者が発生し、感染拡大の原因になったのではないかと物議を醸しているというニュースも・・・。

ちなみにアヤソフィアは現在は宗教施設となったため、無料で開放されているそうだ。礼拝の時間を避ければ普通に見学できるようなので、いつかトルコに行った際には是非訪れてみたい・・・(海外旅行なんていつまた出来るようになるかわからないが)

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そもそも、エルドアン大統領はどうして、わざわざイスラム教色を強めるような事をするのか?それには少し歴史的な説明が必要だ。

トルコ共和国はオスマン帝国滅亡後、1923年10月29日に誕生した。この際に、初代大統領のケマル・アタテュルクは「政治と宗教を分離しなければこの国に発展はない」と考え、世俗主義を断行する。

(※)世俗主義: 国家の政権・政策や政府機関が、特定の宗教権威・権力に支配・左右されず、それらから独立した世俗権力とその原則によって支配されていなければならないという主張・立場(Wikipediaより引用)

ここから、トルコは「イスラム教徒が国民の9割を占める」にも関わらず、「政治から宗教色を排除」する方向へ向かう。1937年には憲法に「世俗国家である」と規定を定め、そこからは世俗主義の政党と軍がイスラム色排除を徹底していく。

中東の厳格なイスラム社会は、イスラム法(クルアーンなど)に従った生活をする。イスラム法には食事の仕方など社会生活のありとあらゆるルールが書いてある。政治の指導者もイスラム法に従った行いを求められる(しばしば中東国家に宗教指導者がいるのはそのため)が、トルコはこのイスラム法に従う社会からの脱却をはかったのである。

流れが変わるのは、2002年のエルドアン政権誕生からである。エルドアンは軍の影響力を削ぐ事に精力を注いだ。言うなれば、格差社会やムスリム差別などの社会問題を放置して軍とタッグを組んでいた世俗主義政権に愛想を尽かした民衆の心を掴んできたともいえるだろう。その流れでこのアヤソフィアのモスク化を捉えると非常にわかりやすいと思われる。

全然書ききれなかったので明日もトルコネタにします。(勝手)

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2013年の内藤正典さんの記事、今回めちゃくちゃ読んだ。

こちらは郵便学者の内藤陽介さんの動画。いつも「郵便切手からそこまでわかるんか」っていう話をしてくれて面白い。今回のアヤソフィアの話もとてもわかりやすかった。

↓前編

↓後編



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