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【49】過去を振り返ることが現状打破のきっかけになることがある

突然ですが、皆さんは、自分の過去と、どう向き合っていますか?

もし、今、停滞感があったり、何か足りていないような不足感がある場合、過去を振り返ることが現状打破のきっかけになるかもしれません。

とりわけ、過去のきつかった出来事については、自分では気づいていない無意識の領域で今に影響していることが多々あります。(参考記事【30】

ですから、向き合うことで突破口が開ける可能性があるんですね。

どういうことか、さっそく、動作学のレンズを通して見ていきましょう。

自己受容とは過去の自分も認めること

まず前提として、私たちは今、自己実現を目指すことに幸福感や充実感を抱くような時代を生きています。

ですから、ここでは、「停滞感」や「不足感」=「自己の実現に向かってスムーズに動けていない状態」と定義して話を進めます。

自己の実現に向けてスムーズに動くためには、自分が何者かを知っていること、そして自分が何者であってもありのままに受け入れること、この二つ(自己受容)が必要です。

自分とは何者か…なんだか哲学的で、いろんな回答ができそうな問いですが、動作学をベースにすると、「今のあなたの状態」=「自分」。

つまり、動作学的には、「今のあなたの状態」をあるがままに認めて受け入れることが自己受容と言えるんですね。

ただ、これ、口で言うほど簡単ではありません。

なぜなら、つらい、悲しい、苦しい、というふうに感情的にしんどい時は、あるがままを受け入れることに耐えきれないことが往々にしてあるから。

耐えきれない時、人は何をするかというと、その時の感情に自然と蓋をするんです。

もちろん、それは本能的な自己防衛とも言え、悪いことではありません。

ただ、感情に蓋をしたということは、その時のあなたの状態をあるがままには受け取らなかった、つまり、自己を受容しなかった、ということ。

ですから、自己実現に向けて動き出すと、どこかの段階で、過去に受容しなかった自分を認めて受け入れる必要が出てくるのですね。

それが停滞感や不足感として出てくることがあるので、過去を振り返って、受け入れていなかった自分を認めることで、風穴が開くことがあるのです。

過去の自分を認める=当時の感情を認める

では、過去に受け入れることができなかった自分を認めるとは、具体的にはどういうことでしょうか?

まず必要なのは、過去に認めていなかった自分を見つけること。

これについては、自分が不愉快な気分にさせられることをヒントにすると探しやすいと言えます。

たとえば、甘え上手な人を見るとイライラする場合、かつて助けを求めたかった時にその欲求を認められずに孤軍奮闘した経験があるのかもしれません。

マイペースな人に嫌悪感がある場合、本当は自分のペースで進みたかった時にその欲求を認められずに人に合わせてきた経験があるのかもしれません。

そんなふうにして過去に認められていなかった自分を発見できたら、その時に本当は感じていただろう感情を感じるのが次のステップ。

というのも、その時、感じていたことこそが、あなたの自己と言えるから。

本当は助けを求めたかったのに一人でやらざるを得なくて孤独で寂しかったとか、本当はマイペースでやりたかったのにそれを受け入れてもらえなくて悲しかったとか、その痛みを今の自分がちゃんと感じて認めてあげることが、自己を受容することになるんですね。

「え?それだけ?」と思うかもしれません。

でも、それだけのことでも、実践すると、生命(いのち)のシステムの循環が、本来のパワフルな状態に近づきます。

どういうことかというと、蓋をしていた痛みがある時、人は、その痛みを感じなくて済むように、「あれは必要があって起こったことだった」というような正当化のフィルターを無意識に作り上げるんです。

このフィルターはもともとは生命のシステムにはないものだから、維持するのにものすごくエネルギーを使いますし、何より、情報をインプットして、脳がプロセスして、アウトプットを出すという生命システムの循環を阻害する一因になっています。

ただ、このフィルターは痛みを感じなくするための防御壁として自らが無意識に作り上げたもの。ですから、その痛みを感じて認めることができた時、防御壁というフィルターは必要なくなって、自然に消えるんです。

そうするとインプット・プロセス・アウトプットがよりスムーズになるし、フィルターを維持するために使っていたエネルギーを自己を実現する方向に使えるようになるんですね。

なんとも素晴らしいのは、どんなに昔の出来事でも、今この瞬間に認めることができれば今から変えられるということ。

蓋をしていた過去と向き合うのはなかなかしんどい作業ですし、場合によっては専門家にサポートを求めた方がいいこともあります。

時には、涙が出てきたりして自分が弱くなったように感じるかもしれません。

でも、過去のつらい出来事と向き合ってその痛みを感じることは、強くないとできないことです。

ですから、過去と向き合う作業ができた暁には、ひっそりでいいので自分で自分を讃えることもしていただきたいのです。

そうすることで、自己肯定感がちょっと上がるというオマケもついてきて、自己を実現していく道のりをさらにパワフルに進んでいけるはずですから。