【閃ハサ】Aerial Environmental Botany(空中環境植物学)の中身が知りたくて……

※この記事は「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のネタバレを含んでいます。

ごあいさつ

 はじめましての方ははじめまして!
 どうもこんにちは、ばさしみです。

 2021年の6月はまだまだ大変なご時世ということもあり、最近の私はずっと家にこもってゲームやアニメという典型的なオタクの趣味に興じておりましたが、一週間ほど前にTwitterの相互の方から映画のお誘いを受けて「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」をその方と共に観ることとなりました。

 で、色々あってこの記事を執筆しているのは私が二度目の閃ハサ鑑賞を終えてBDを購入した後となっています。
 いやあ、二回目はドルビーシネマで観たんですけどすごかったっすね!
 通常上映で観た時は「画面が暗いな~」と思った夜間の戦闘シーンもドルビーではよく見えましたし、何より音響がすごかったです……!
 あれ、そういえばこの記事はドルビーの宣伝じゃないんだよな……。

 無理矢理な軌道修正を行いますが、この記事を読まれているあなたは「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を恐らくもう観ていることでしょう。
 そして、映画の冒頭の地球に戻るハウンゼンがマフティーを騙るテロリストたちに襲撃される少し前のシーンで、主人公のハサウェイが座席に座りながら何らかの本を読んでいた(BDだと00:01:44辺り)ことにもきっと気付いているのでしょう。

 件のシーンはYoutubeのガンダムチャンネル(公式のやつ)にアップロードされている「冒頭15分53秒+オープニング」の動画内で観られるので、動画を貼っておきます!
 この動画だと本文2ページが見えるのは1:42辺りですかね?
 動画の画質を1080pに切り替えると、「なんとか読み取れる……」っていう程度には本の文字が見えるようになります!
(ちなみに01:08:45でイラムが同じ本の同じ2ページを読んでいるシーンでは、冒頭のシーン以上にはっきりと文字を読み取ることができます。BDをお持ちの方は確認してみてください)

 だからなんだ、と思ったかもしれませんが……何を隠そう私がこの記事を書いている理由は、ハサウェイが例のシーンで読んでいた架空の書籍、Aerial Environmental Botany(『空中環境植物学』)の本文を頑張って読み取って(DeepLにぶん投げて)翻訳したからなのです!

 内容もなかなか面白いですよ。

経済や政治の論理で安易に地球環境を破壊することは、人類の自殺行為に他ならない。

 とか書いてあるし。
 (でも、これがあのテロリズムに繋がるんだよな……)

 では、その本のはっきりと読み取れた本文2ページを写経したものとその訳文を以下に載せておきます。


Aerial Environmental Botany(空中環境植物学) 表紙&本文(英語原文)

 注釈は日本語訳のところに載せておきます。


表紙:
Aerial Environmental Botany
The Ecology & Environment of Earth

Amada Mansan


本文:
      The diversity of species produced by natural selection has turned Earth into a paradise, whether on land, at sea, or in the air. However, their useful traits achieved their diversity through all manner of divergences. Whatever mechanisms of the natural world selected them and made them prosper were the same mechanisms that bring about mass extinctions; these are two sides of the same coin.

        The divergence of traits caused by natural selection leads to diversification of structure, behavior, and physiology. As the number of organisms inhabiting a given area increases, it seems obvious that the most diversified species will be victorious in the struggle for existence. The basic units of life, individual cells, have undergone this kind of divergence many times to create the abundance we now see everywhere on Earth. But at the same time, in this process many intermediate species are produced whose improvements are incomplete. It is also a fact that, due to their intermediate traits, these intermediate species are eliminated and destroyed. In the shadow of the victor, there must be losers.

        What geologists began studying through fossils and other extinct organisms, as was later made clear by molecular biology via genome analysis, is an endless graveyard of species whose lineages were cut off in this fashion. The species that currently exist in this world are those that, during the branching process of evolution, somehow managed to survive in the terrestrial environment of their time. In other words, we should think of them as the miraculous products of chance.

        Through the mechanisms of nature and the environment, existing species are also selected and weeded out. Of these natural mechanisms, the environment is one of the survival conditions which determines whether or not an organism will continue on. However, we must remember the fact that an organism's environment also changes. There are surprisingly few who understand this. For example, phytoplankton release oxygen into the sea in massive quantities, and there is no doubt that this has increased Earth's oxygen concentration. Without the increasing oxygen concentration, the organisms that currently thrive on Earth would never have been able to achieve their diversity, variety, or numerical abundance.

        Organisms and their environment exist in an interdependent relationship of mutual interaction, as in the concept of "oneness of self and environment" that arose in Asia. Life is greatly affected by its environment, and life in turn forces that environment to change. Humanity became aware of this philosophical concept more than 3,000 years ago, but in the present day, there are probably only a few who truly accept it.

        It is certainly not a good thing that only a minority of people should grasp this idea of the interdependence of life and environment. In particular, consider the arrogant behavior of present-day humanity towards Earth, the unique cradle of life, and the environment in which life was born and cultivated. This is a wickedness beyond description, but how can it be corrected? Can we grasp the possibility that the future of humanity, one part of terrestrial life, might also be eliminated? Carelessly destroying Earth's environment according to the logic of economics and politics would amount to an act of suicide by humanity. The science of aerial environmental botany can also be effective in promulgating this argument.

        DNA analysis in the aerial environment was already an established analytical technique during the previous era. As well as monitoring common species, this also made it possible to accurately detect the presence of endangered species using genetic techniques, and use this information to conserve them. Because environmental DNA techniques could be used to monitor organisms without collecting specimens, it became possible to survey dangerous organisms, organisms that were difficult to capture, and endangered species, all without direct human involvement.



Aerial Environmental Botany(空中環境植物学) 表紙&本文(日本語訳)

 ほぼほぼDeepLくんによる翻訳……ですが、訳文は少し手動で修正していたりします。
 注釈を載せています。


表紙:
空中環境植物学 [*1]
地球の生態環境と自然環境

アマダ・マンサン [*2]


 自然淘汰によって発生した種の多様性は、地球の陸・海・空全てを楽園に変えた。しかし、その有用な形質は、あらゆる分岐を経て多様性を獲得した。自然界がどのようなメカニズムでそれらを選択し繁栄させたかは、大量絶滅をもたらすメカニズムと同じであり、これらはコインの裏表のようなものである。

 自然淘汰による形質の多様化は、構造、行動、生理の多様化につながる。ある地域に生息する生物の数が増えれば、多様性の高い種が生存競争に勝つのは当然のことである。生命の基本単位である細胞は、このような分岐を何度も繰り返して、現在のような豊かさを地球上に生み出した。しかし、その過程では、改善が不完全な中間種も多く生まれている。また、その中間形質ゆえに、これらの中間種が淘汰され、滅びることも事実である。勝者の影には敗者がいるはずなのだ。

 地質学者が化石などの絶滅生物の研究を始め、後に分子生物学によるゲノム解析で明らかになったものは、このようにして系統が途切れた種の無限の墓場である。現在、この世に存在する種は、進化の枝分かれの過程で、当時の陸上環境でなんとか生き延びてきた種である。言い換えれば、奇跡的な偶然の産物であるとも言える。

 また、自然や環境のメカニズムによって、既存の種は淘汰されていく。この自然のメカニズムの中で、環境は生物が存続するかどうかを決める生存条件の一つである。しかし、生物の環境も変化するという事実を忘れてはならない。このことを理解している者は意外にも少ないのだ。例えば、植物プランクトンは海中に大量の酸素を放出しており、これによって地球の酸素濃度が高まっていることは疑いようもない。酸素濃度の上昇がなければ、現在地球上に生息している生物の多様性や種類、数的な多さは実現しなかっただろう。

 生物とその環境は、アジアで生まれた「依正不二 [*3]」の概念のように、相互に依存し合う関係で存在している。生命は環境から大きな影響を受け、生命は環境を変化させていく。人類がこの哲学的概念に気づいたのは三千年以上も前のことであるが、現代ではそれを実際に受け入れている者は少ないだろう。

 生命と環境の相互依存関係を理解している者が少数派であることは、決して良いことではない。特に、生命の唯一の揺りかごであり、生命が生まれ育った環境である地球に対して、現代の人類が傲慢な態度をとっていることを考えてもみてもらいたい。これは筆舌に尽くしがたい邪悪な行為であるが、どうすればそれを修正できるだろうか。地球上の生命の一部である人類の未来もなくなるかもしれないという可能性を理解することができるだろうか。経済や政治の論理で安易に地球環境を破壊することは、人類の自殺行為に他ならない。この議論を広めるためには、空中環境植物学という科学も有効である。

 空中環境下でのDNA分析は、前の時代にすでに確立された分析技術である。これにより、普通種のモニタリングはもちろんのこと、遺伝子技術を用いて絶滅危惧種の存在を正確に検出し、その情報を保全に役立てることが可能となった。環境DNA技術は、標本を採取しなくても生物のモニタリングが可能なため、危険な生物や捕獲が困難な生物、絶滅危惧種などを、人間が直接関与することなく調査することができるようになったのである。

*1: BDのブックレットを見ると、公式ではAerial Environmental Botanyは「空中環境植物学」と訳されていることが分かります。
どういう学問なんでしょうか……? 文系なのでさっぱり分かりません。

*2: ブックレットには、この人は植物監視官の訓練を受けているハサウェイの教官であると記されていました。

*3: 「依正不二 (oneness of self and environment)」というのは仏教の考えであるようなのですが……日本語で検索すると特定の宗教に関連するウェブサイトが多くヒットします。
敬虔な仏教徒じゃないのでよく分かりません。
ただ英語訳をキーワードにして検索してみると、この言葉が日本よりカジュアルに使われているような印象を受けました。

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