見出し画像

怪談・THE私47team100モノ

※寄せ集めた怪談です。

第一怪

第二怪

第三怪

第四怪

第五怪

第六怪

メンバー。

解滴 榾建ときしずく ほたて

心霊現象は嗜む程度だが、自覚なく怪奇現象に見舞われている。
怪談は恐らく実質ノンフィクションである。
女子大生。

獬焼 依奈巾かいやき いなは

スポーツ好きの男子高校生。
浮気性で様々なスポーツを楽しむ。
口癖は「俺〇〇極めた。」
クラウドファンディングで心霊番組に協力するほどのホラーファン。
怪談は慣れてないからか、スポーツ関係の実体験での話が怖さをかもし出している。

ワデス竿翔冠さおとめ

自称ハーフの欧米出身男子中学生。
本名不明。
何処から聞いたのか00年代のホラーよりな話が多い。
呪いをかけているつもりはないのに相手の負の予兆を直感で分かるからかあだ名は「呪詛師」
恨みの相談を頼まれることが多い。

惰鯛 船護たいた にっく

映画に影響された家族に見切りを付けて早くから双子の姉と共に二人暮しをしている女子高校生。
決して暗い性格ではないのだがやたらと怖い体験が多く、そんなに仲が良くない姉と怖い話の時だけ盛り上がる。
最近は話す練習のために怪談を始めた。

惰鯛 筏船たいた ごふ

船護にっくの双子の姉で女子高校生。
妹と仲は悪いが「自分達に大した財産ないし親族の介護もしたくない気持ちは一致してるからからいいじゃないか。」
と若いうちから未来の準備をしている。
それでもおじいちゃん、おばあちゃん子で年配者から聞く令和の怖い話を多く持つ。
手続きさえしっかり終わればある決断をするつもりでいる。

遂に正面衝突&あらすじ


 解滴 榾建ときしずく ほたてが受け継いだ「心霊コミュニティ」に二名の男子、二名の女子が参加してくれた。

 一方、天寿を全うした筈の四体の霊が現世に留まっている理由に冷静ではあるものの、このままの状態でいられるのはどれくらいなのか悩み続け日本国内を歩き続けた。

 いつものように心霊コミュニティで解滴 榾建ときしずく ほたてが心霊、怪奇現象を話していると彼女の不幸を知らせるように
「コモドオオトカゲサイズの黒い尻尾」が彼女にだけ見える話をメンバーは聞くことになる。

 その後、このコミュニティで解滴 榾建ときしずく ほたてを除いた四名で話していると霊体達が自分達の輪廻から解脱する目的のためにコミュニティメンバーを利用して彼女を追跡することになった。

 なぜなら。
霊体達と解滴 榾建ときしずく ほたてにしか「黒い尻尾の主」は見えないのだから。

 解滴 榾建ときしずく ほたてを監視する
惰鯛 筏船たいた ごふ
今日は奇跡的に皆がスケジュールに穴が空いている。
船護は合流するか口を濁していたが。
後から三名と一部の霊体達がついてきた。

「必ズ榾建サンに不幸が付き纏いマス。
その時に霊体達がちゃんと見てイレバ黒い尻尾をこのメンツで捕まえラレル!ハズ…」

 ワデスはインドア派なのに男子高校生の獬焼 依奈巾かいやき いなはと謙遜ないくらいには身体は丈夫だった。

「ああ。
榾建さんの身の安全を守るには俺みたいな奴の力の方が怪しいトカゲなんざよりよっぽど頼りになるって。」

 筏船ごふは目と手を動かし、じっくり榾建を観察する。

 あれだけ心霊、怪奇現象に見舞われて死にかけながらも人並みに信頼関係を築いたり、大学生活も送り、余裕のあるお姉さんである彼女が何だか
不可思議な存在とコネクションがある仲介役に思えた。
本当は自分が話す怪談の数々にどんな感情を持っているのだろう?
もっとも、霊体達の存在を自分達は認めているので大体の答えは出ているのだ。

「このルートだと人里離れるなあ。
さっきからあのお姉さん、後ろに目があるようにこちらを撹乱してない?」

 再び人間に戻らず、今度こそ解脱したい割に冷めた指摘だ。
だが霊体の彼の言うことに間違いはない。
やや森林に近い榾建の通学ルートを抑えてから何故あれだけ田舎を蔑んだ怪談もした事がある彼女が向かうのだろう。

「罠だ。」

 どうやらここ最近の自分達の動きは筒抜けらしい。
それも承知だ!
尻尾の主に弱みを握られているのかもしれない。
男子二人組は榾建を守ろうとしている。
筏船は冷静に彼女を追う。

 人混みを抜けていくうちに、定番の廃墟へ誘われるように筏船達は彼女の後を向かう。
霊体達は本当に何もしない。
フィクションが過激すぎなのだ。
手助けも憑依もするわけが無い。

 三人と霊体達は榾建を探す。
廃墟の割に手入れはされている。
色々と拍子抜けだ。

「若いねえみんな。
わざとか心配してくれたのか分からないけれど、折角一人でネタ探しに来たのにこんな所まで来ちゃだめなのに。」

 幽霊のように唐突に現れる榾建。
辺りを見渡しても自分達以外誰もいない。

「今までの話は嘘じゃない。
まあ、心霊現象なんて出会えるのは数少ないし一定の概念や条件が揃わないと見えないことって世の中あるしさ。」

 すると筏船達に花瓶や木々が落ち、倒れてくる。
傍にはコモドオオトカゲサイズの黒い尻尾の主!

「この子は私に不幸を与える存在じゃない。
どんな不幸もこの子さえいれば、怪奇現象に出来る。
本来なら私にしか見えない。
けれどそこの霊体達?が、この子の行動を拡大解釈して地獄から救ってくれる救世主に聞こえたのかもね。
やっと集まった大事なメンバーを巻き込んで、人間達は金の為。
霊体達は自分の為にこの子を利用する。

わざと。
この子を霊体達にも見せて、今、メンバーにも見せてるわけ。

日本の女子大生って意外とストレス溜まるんだよねえ。
この子がいる限り私に泥臭い不幸が巡ることはない。
ただ、この子については私も知らないことが多いから霊体達だけしかしらない、この子の力があるのかもね。

なら、どうする?」

 無力すぎた。
霊体達の話を聞くなんて大人気ないことをせず、彼女のコミュニティを楽しめば良かったのだ。

 霊体達もまだ救いがあると彼女が仄めかしてから何を聞き出そうか考えている。
こういう所は人間死んでも変わらない。

 筏船達はこのトカゲに殺される。
霊体達にとっては望まれたことかもしれないが自分達にとっては裏切り…違う。
裏切ったのはこちらの方だ。
失望の怒りを大学生の余裕で抑え、笑顔でトカゲの一撃が繰り出される。

「悪いがそれはさせない。」

 お茶を注ぐ仕草しか自分達に見せなかった精悍な男性の霊体がトカゲの一撃を食い止める。

「筏船!みんな!生きててよかった。」

 ワデスと依奈巾は落ちた花瓶や木々を避けたはいいものの少し怪我をしていた。

 船護にっくだった。
副業と女子高校生の両立ですっかり不測の事態へ対応出来る筋肉がついたらしい。

「榾建さん。
何を考えているのか知りませんけれど、まだまだあなたの怪談聞き足りないんですよ。
ここのメンバーもそう思ってるはず。

 榾建は平静を装い、話を進める。

「まさかそこの霊体はこの世に留まるつもり?
仲間達はさっさとこの世界から抜けて無になりたいらしいのに。
それと、あなたの姉達は私から企業秘密を盗んで売るつもりだった。
このご時世、無料でアナログでマナー良く大学でホラーが聞けるなんて贅沢でしょう?
欲をかいたことを反省してくれないと、一度下がったモチベーションは上がらないのに!」

 こりゃ怒らせすぎた。
その言い分は最もだ。

 船護と精悍な霊体に免じて自分達のエゴは許された。
まあ、保留と言ったところが妥当か。

 しかしあの二人、いつの間に親交を深めたのだろう。
謎も深まってしまった。

 大人しく自分達は解散するしかない。
帰りは何事もなく榾建さんからディナーをご馳走してもらってしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?