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荒廃想い

あらすじ

二〇〇六年のある日のことだった。
小ノ上龍希このうえたつきはトラブルメーカーで読書家だ。
そんな龍希には好きな人がいてその人は後輩と交際している。
そこへ不良達が現れ後輩を虐めはじめた!
龍希は好きな人のためなら何でもできると覚悟を決めた。
壊し、壊される愛。
龍希は不良達を潰し始める!

―あんたがたどこさ

海辺付近では理想の夢に溢れていた。
服については詳しくないのだが、白い服に身を包んだ麗がこちらへ手を招いている。

「一緒に青春しよう?」

「青春?そんなもの何処にもありやしないのに。」

もう、だなんて言って水をかける麗。

「でも好き。」

そういって麗は俺に寄ってくれた。
これは?
これはもしかして、もしかするのか?
俺は麗の方を抱こうとする。
やっと俺にも恋の瞬間が訪れる。

「龍希!何寝ているんだ!」

時は二〇〇六年。
どうやら小ノ上龍希、十四歳は夢の中で青春をしていたようだ。
クラスから笑われる俺、龍希は麗を抱くのではなく悔しい思いを抱えるのだった。
まあ、これもたまにある中学生ならではのシチュエーション。
それよりも俺が徹夜で勉強していたかる仕方ありませんとフォローをしてくれる麗によって場は治まった。

時原麗は俺の思い人。
成績も良くて、クラスメイト思いの女子中学生。
だが、彼女にはもう好きな人がいるのだ。
今年中学一年生になったばかりで、同じ水泳部。
運動部かよ。
そりゃあ発展するよな。
我ながら俺はひねくれていると思うよ。

加納哲也。
中学一年生ゆえに身長も低くて水泳部だがそこまで泳ぎは上手くないらしい。
だから水泳部に入ったのだろう。
いい志だ。
俺にはそんな度胸もない。
だから麗にもそっぽ向かれてしまう。
そりゃあ可愛い後輩にうつつを抜かすわけだ。
少しくらいの嫌味は言わせてくれ。

―放課後

帰ろうと準備をしていると加納哲也を見かけたので少し追跡をした。
麗と何をしているのか気になった。
すると不良達に殴られていた。
くっ。酷いやつらだ。
しかも自分と同学年。

「ゆとり世代の負の遺産め!」

あまりにも呪詛がデカくなって一瞬こちらを不良達に見られた。
やばい!
色々とシチュエーションが!
一人の不良がこちらを覗こうとしたのでロッカーに隠れた。
バケツとモップの臭いがイカすほど臭い。
なんで?
なんで嫌なことは連続して起こるの?
俺は加納哲也を虐めるこの不良達へのフラストレーションが溜まっていく。

不良はロッカーのすぐ側に寄ってきた。
ははっ。バレているのか。
なら腹をくくればいい。

「ここに…いるよ…」

「ああ?」

不良はこちらに気を取られている。
さあ、ロッカーを開けろ!
ゆとりモンスターめ!

「ここに…いるよ…」

「うるせぇ!」

思いっきりロッカーを開けた不良目掛けてモップで脳天唐竹割りをお見舞いする。

「ここにいるよぉぉぉ!」

不良は額から血を流して倒れた。
へっ。
現代不良は大したことないようだ。

「な、なんなんだお前?」

何だこのシチュエーションは?
込み上げてくるなあ。

「後輩いじめをして幸せに過ごそうだなんて、あんまりにも虫が良すぎやしないかい?」

なんだてめえと言った不良と後ろから攻撃してきた寡黙な不良の攻撃を交わして金的にパンチを食らわす。

「おふっ!」

はっはっは!
弱いものいじめのリスクはこういう所にある。
さてと、なんだか燃えてきた。
俺は夢中でモップを手に不良達に攻撃をした。

「先に突っかかってきたのはてめえらの方だろ?なら、俺は完全正当防衛ってわけ!」

意外と動けるじゃねえか。
そう思いながら次々と脳天唐竹割りで不良達を倒してくいく。
セーラー服と機関銃ならぬ、学ランにモップだ。
俺にこんな戦闘能力があるとはな。

そうこうしているうちに不良達は全滅した。
すると加納哲也が俺に話しかけに来た。

「あ、あの…ありがとうございます。」

アドレナリンが収まって冷静になったがこの状況って加納哲也からしたら不味いよな?
俺は静かに去ろうとした。
そしてこう言い残す。

「また助けるからな。」

麗の為に。
これでまた部活に励めるさ。

―それから

数週間後のことだった。
夢に麗が出ることはなくて、告白することも無いのかもしれない。
すると加納哲也が俺のクラスにやってきた。

「弟子にしてください!」

とクラス全員の前で恥ずかしげもなく。
ったく困ったなあ。
だけどこれで麗に対しても報いることが出来そうだ。
あれ以来俺もどこか懐が広くなった気がした。

「よろしくね。」

こうして俺たちのオーバーエイジは激動を繰り返していく。
どこか間違っていそうだが。

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