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トイレすら

※オレはこの物語の語り手。
今回はオレが怖い話を任されたが恐怖を与えるなんて向いてないと言ったんだがな。
そんなオレの怪談だ。

用を足す場所というのはいつでも嫌な気分になる。
自宅のトイレなら兎も角、駅や公園のトイレは余程運が良くなければ汚いなんてもんじゃない。

トイレは老いも若きも観察するにはピッタリの場所だ。
現代では若手の方が綺麗に使っているだろう。
だからこそ老人が穢らわしく見えるのかもな。
学校のトイレでいつも誰が使うのか。
一昔前ならヤンキーのタバコ、もう少し前ならぼっちトイレ。
今ならなんなのだろう。
トイレで意地汚さなんて指摘するなとは我ながら思うよ。
だがこっちは人間としての立場で言っているわけじゃない。
単純に誰が使うか分からない場所なのに誰もが訪れる可能性が確定している場所がトイレだ。

歌の中にはトイレに神がいると記されているものもあるがそんなものはいない。
いないが大切に使って欲しいな。
それにさあ。
トイレすらちゃんと使えない奴が綺麗事や戯言言ってたら、あんたらの弱みとして一生叩き続けるぜ。
それすらもオレの弱みなんだけどな。

トイレすらも居場所じゃない。
だが人間同士は分かり合えないし長続きもしない。

せめて大切に誰が使うか分からないが誰もが使うトイレくらい綺麗に使って欲しい。

まあオレは誰も呪ったり、祟ったりはしないが、弱みを握っても得が無くてつまらないのさ。

トイレすら、オレの居場所じゃないんだよ。
群れて楽しんでる奴らは少しぐらいオレの孤独を汲み取って欲しいな。
ああ、汲み取って欲しいの(汲み取り)は昔あったトイレの話じゃないぜ。
座りにくくても水洗の方がいい。
もう少しそこが工夫されると嬉しい…いや、掃除さえされてればいい。
汚い綺麗事を吐くよりもシンプルな掃除がいい。

おっと、これじゃホラー感がないな。
ただの説法だ。
面白くない教本の真似事をしているなんてオレらしくもない。

そんなオレも汚れた魔獣のようだ。

今日もお前達の行いを見ている。
言葉じゃ綺麗なものはない。
綺麗な行動が魅力を産むんだぜ。

丁寧なくらしというのはそこからはじまりそうだ。
オレは道具さえあれば掃除ができるのだが、
誰かオレを見つけてくれないかね。
悪いようにはしないんだけどな。

オレ


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