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無の先導人だよ!

先導人だよ。
これから先は未知が満ちて朽ちていくんだよ。

・隠しパラメーター

今はあっついねえ。
溶けてしまうし茹でダコになっちまうねえ。
これじゃアイスも食えやしないよ。
冬にハーゲンダッツを食す方がよっぽど季語になるんじゃないのかい?

川では若者がバーベキューをしているじゃないのさ。
もしかしてクランクアップかオールアップかい?
映えの為に仲間を呼ぶなら映像制作をしてほしい先導人だよ。
もしデーブイデーに出すなら先導人買っちゃうかもしれないねえ。
多分SNSにアップしちゃうんだろうねえ。
恐ろしいねえ。
ホームビデオも単なる欲求の発散でしかないのかい?
先導人はついていけないよ。

・よく焼ける

先導人である私も川の若者見習って足腰鍛えなくっちゃねえ。
これがなくっちゃ、これがなくっちゃ、これがなくっちゃ、ひぃ、ふぅ、みぃ、アートネイ茶ぁぁぁぁ!
私もキャンプをしていたんだった。
麦茶持参でチャカメカファイヤーしてあんだった。
アウトドアは虚無を討ち滅ぼす一つの趣味だわさ。

先導人であるからして、私の願いに近い者を探す。
この場所にいると聞いていたのだが私の見間違えか?
まだ私も耄碌していないと思っていたが経験と若さは追いつかぬものだ。
ふっふっふ。
やっと獲物が網にかかったようだ。

「鮭はよく焼けるねぇ!」

鮎や山女かと思っていたら鮭が釣れました。
いくらが欲しいところだったけどね。
ありゃすじこって呼んだ方が正解なのかい?
先導人にも分からないことばかりだよ。
はぁ恐ろしい。
と、やっているうちに奴が来たようだ。

今日の品物は川のヤンガー。
流された魂で作った我々のアクセサリーだ。

「川の流れを一段と激しくした。やはり俺目線でも海と川の違いにはいつも驚かされるね。」

先導人である私も自然界の恐ろしさは計算外の一つとしてカウントしている。
私は奴の手にスマートフォンが握られていることを指摘した。

「その端末は魂の主か?」

「いいや落ちてたのを拾っただけさ。」

そういえば鮭が釣れてから若者達が騒がしい。
大方誰か溺れたのを助けようとしているのだろう。
川はよく鍛えて入れと習わないものではないのか?

「出して、出してくれ!」

ふん。
どうやら奴が渡したアクセサリーにヒントがありそうだ。

「せっかくの仕事を終えた後だ。私とともにアウトドアを楽しもうじゃないか。」

「先導人直々の手料理か。よほど俺の腕を気に入ってるのな。じゃあ、お言葉に甘えようか。」

仲間と酒を交わすのは頗る気分がいい。
そうだろう、川の若者よ。

・あれから

先導人だよ。
今後は夢か水晶の先導人でもなって誰か引き摺り込んでやろうかねえ。
そんな私を見てあなた達もこう思ったのかい?

恐ろしいねえ

と。
ほんと恐ろしいよぉ。

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