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『あの子』

寝る前にふと思い出す
はっきりと見えるのに 音はなく
音がないはずなのに笑い声が聞こえる
楽しそうにしているその音を
聞こえないはずだけど 聞いていた

目が覚めると 僕は学校にいた
あの笑い声が聞こえてきたので
音のなる方へ向かってみた
楽しそうに笑うその中心には
1人の男の子が笑っていた

なぜだろう
僕はその男の子の音が聞こえなかった
笑っているのに、その音が聞こえなかった


聞こえるはずの声を 聞いているだろうか
聞かなくていい声を 聞いてしまっていないだろうか
誰かに届けと願う音を 僕はそっと拾いたい
みんなが聞こえるその音が 正しいと信じるその前に
みんなが聞こえていないあの音を 見つけられる人でいたい

たまに聞こえるあの音は
誰かがそっと拾ってくれているだろうか
僕には拾えないあの音を
誰かが聞いてくれているだろうか

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