千人伝(百九十六人目~二百人目)
百九十六人目 読者
どくしゃ、は読みたい物を書こうと思った。自分が読みたいと思う理想的な書物は、どこにも見当たらなかった。好きな本はたくさんあったが、本当の理想の物語というと、見つけることが出来なかった。
読者は、自分のあらゆる好みを数え上げた。逆に苦手なタイプ、嫌いな話も数え上げた。読みたくない要素を一切書かず、読みたくなる要素だけを詰め込んだ話を書けば、理想の物語が出来上がるはずだった。読者は書き始めた。
しかしそううまく話は続かなかった。理想を詰め込んだ話はすぐに