千人伝(二百十一人目~二百十五人目)
二百十一人目 スナップ
スナップは、どこにでも映り込んだ。何気ない街並みを撮影すると、いつも片隅にスナップの姿があるのだった。ある時は柱そのものにスナップの顔があったり、米粒ほどのスナップが地面に落ちていたり、空に浮かぶ無数のうろこ雲の全てがスナップの顔であることもあった。
スナップの姿を写真の中以外で見ることはなかった。どこにでもいて、どこにもいなかった。
一時期、スナップの隣に、スナップと同じくらいの歳に見える人の顔が映り込むことがあった。時には寄り添い、抱き合い、