「どこにも停まらないバスに乗って(「殺され屋」第五話)」#シロクマ文芸部
12月の景色が通り過ぎていく。寒さに震える人々。木々から落ちる枯れ葉。暖かい場所へと姿を隠して見えなくなった野良猫たち。乗り込んだバスがどこのバス停にも停まらない。私たちの乗るバスに乗り込もうとしてバス停で待っていた人の、驚く顔が見える。
「秋山君、このバスはひょっとしてまともなバスではないのでは?」
バス最後部の長い座席に秋山君と並んで座っている。他に誰も乗客はいない。変装が得意な役者兼探偵の秋山君は、ゴスロリファッションに身を包んだ美少女として私の横にちょこんと座って