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俳句物語まとめ

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Twitterで詠んでいる俳句物語のまとめ。
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俳句物語0101~0110  寒戻る次々と逝く私小説

 何から書こう。  娘が学校に復帰し、三時間目からとはいえ、一週間以上休まず登校出来ていることか。  家庭で見ることが出来る幼児は、出来るだけ園に預けず家で見てください、という市の要請に従い、日中長時間息子と過ごしていることか。  レッド・ホット・チリ・ペッパーズが新曲を発表したことか。  西村賢太氏の死か。 「芥川賞作家の西村賢太氏が急死」という文字を見た瞬間、私は大きく口を開けた。アクションの後に驚きがやってきた。驚きの後に「どうしてこの死にこんなに驚いているのだろう」

俳句物語0091~0100 蕪村忌にバックビートがのたりだす

 開始105日で100句達成。  句作の方向性が見えてきたという感じ。一つの大きな世界の一部を切り取り続けるような。実状ももちろん入ってる。  アイデア出しも、季語を見てPCの前でうんうん唸るより、季語を覚えておいて、他のことをしながらの方がいい。家事やらトイレやら子どもの相手やら。  読書中の本の影響、聴いていた音楽の影響も顕著。 「阿修羅咳く」はP-MODEL「ASHULA CLOCK」を聴いていたので。 「神経の衰弱基準」は森内俊雄「夢のはじまり」を読んでいた最中。

俳句物語0081~0090 寒月で見知った人が踊り狂う

 娘が久しぶりに学校に行った。三時間目から最後まで。二日続けて登校した後、疲れたと言って休んだ。またしばらく休むのか、一日休んでまた行けるのかはこれを書いている時点では分からない。いきなり最初から最後まで、いきなり一週間続けて、では元々体力がもたないだろう。つらいとか嫌だとかは言っていない。  息子を連れて公園で遊んだ帰りに、綺麗な月が出ていた。前座席で歌い踊りながら、息子は「月が暴れている」と表現した。暴れているのは自分の方だろ、と突っ込んでおいた。  クレヨンしんちゃ

俳句物語0041-0050 ゆりかもめ浅川マキの歌で飛ぶ

 週一ペースのぶっ倒れが週二に近くなってきた。  文章を書くペースが落ちたが、数少ない書ける機会には、昔ながらの作風に戻っている。  俳句とそれに連なる物語は、書けない季語の日以外は書くようにしている。  その日の季語を確かめてから、息子を幼稚園に送っていく際とその帰りに句を固めていくことが多い。  かつて三年ほど毎日詩を書き続け、小説向けの詩は小説化した。それらは図書カードや現金に変わった。厳選した詩も詩誌で毎号のように結果を出していた。「毎日○○」というのは、地力アップ

俳句物語0071~0080 もももももややややししし七日粥

 昨年詠んだ句のベスト10句など選んでいたが、それをどこかに出すということはしなかった。写生句などめったにないし、句そのものだけで評価出来るというものも少ない。ここに置くだけにしておく。 2021年自選十句 海底はすべてハマグリ 元・雀 露寒し素肌でないから寄り添える 小雪降る積もらぬ白に文字記す 小春日の子の指先の月の朝 紅葉散る無限掃除夫頭上また 枯園に廃線伸ばせば駅舎来る 寒暮読む全て未完の物語 寒潮だネギが落ちる落ちる落ちる 冬帽子探せど探せどプ

俳句物語0061~0070 寒凪にまだ浮かんでる昨日の子

 年末進行という感じ。  年末年始の特別企画で慌ただしかったり、主力パートの主婦層が休むために人員が少ない職場、ということから解放されている現在。前の職場の同僚達は大丈夫かと心配はする。どのような形でもヘルプメッセージは送られてこないので大丈夫なのだろう。寂しくない。ほんとに。大丈夫。大丈夫。  夜一から日記帳まで。体調崩すとその様子をすぐに反映させている。ホラー句入ってるのは恒川光太郎読みの影響か。 0061 一茶忌に眠れず夜一茶器さすり  四楓院夜一(しほういん・よ

俳句物語0051~0060 寒潮だネギが落ちる落ちる落ちる

 寒さが本格的になってきた。季節ごとの行事や記念日などに疎いというか、昔からあまり興味を持たずに生きてきたので、その対極にある季語というものに日々刺激を受けている。  お気に入りはネギの句。「寒潮」という季語でどう詠もうか考えていた時に、エコバッグからネギが落ちかけた。ただそのことを詠んでいる。 0051 寒暮読む全て未完の物語  昼間がそれほど寒くなかったからと油断した格好でいたら、冬の夕方の寒さに身を切られる。人恋しさからか、すれ違う人らがかつての顔見知りのよう

俳句物語0031~0040 小雪降る積もらぬ白に文字記す

秋から冬に変わる時期。 飢えを凌ぐとかどうにか生き延びるといった想いが多い。 そんな中ジョナサンとディオはラグビーをしている。 0031 子が指した鮫に食われる風呂の中  家には鮫がいる。UFOもいる。ドラえもんもいる。各種の鬼もいる。子どもが言えばそこら中に何でもいることになる。それに慣れてしまうと、本当に鮫が出た時も気付かないことがある。今回の「パパ、サメ!」は本当だった。気付いた時には手遅れに。 0032 冬うらら出てきた猫がすぐ戻る  家族で散歩してい

俳句物語0021~0030 冬ざれた街蹴り崩すデビルマン

冬の季語とデビルマンの親和性の高さ。デビルマン俳句はシリーズ化していきたいくらいのお気に入り。 0021 秋の果て昨日までいた人がいない  冬に入れぬ人がいた。秋尽きるまでの命だと言っていた。朝夕すれ違い、時折言葉も交わした。名前を聞かず仕舞いになった。寒さが近付くたびに衰えていく様子は見ていてつらかった。今日からそんな想いを味わう必要はなくなった。来年は自分か。 0022 なにもかもなくした末に冬が立つ  金もない。仕事もない。妻子は去った。夢など早々消え失せた

俳句物語0011~0020

一家揃って体調崩したりして(コロナではない)、思うがままに書けないでいるこの頃。 家族の健康より執筆優先、ということにはならない。 思えば自分も子ども時代、季節の変わり目ごとに風邪を引いていた。 寝込んでいると、「蒲柳の質(生まれつき身体が弱く、病気にかかりやすい体質のこと)」という言葉を体感する。 1~10はこちら 0011 見えぬ目でヴラマンク見る美術展 目が見えぬ。瞼の裏の黒ばかり見る。美術館にももう行けぬ。黒い絵を思い出す。ヴラマンクの寒い冬の景色を描いた絵が

俳句物語0001~0010

Twitterで詠んだ俳句まとめ。 毎日季語を紹介される方がいるので、それに合わせて詠んでいる。 季語に相応しい光景に出会える機会も少ないので、俳句の前景または後景に、物語を付与していく。 無理やり毎日続けることはしていないので、週5~6ペース。 毎日句作していたのは20代半ば。16年ぶりの俳句生活。 0001 群れている「青の時代」に色鳥が 外への扉が開かれた美術館でピカソ展が開かれている。迷い込んだ極彩色の渡り鳥達は、皆「青の時代」の絵に吸い寄せられるように群れて