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インテントセールスがもたらすBtoBマーケティング革命

初めまして。DORIRU株式会社でひとりマーケターをしております中村と申します。本記事は、「インテントセールスアドベントカレンダー」に寄稿させていただくのですが、優秀な会社さんの優秀な方達と同じところに記事が並ぶとのことで、引き締まる思いで執筆させていただいております。

私が所属するDORIRU株式会社では、ターゲット企業の開拓を目的としたBDR支援をサービスとして販売させていただいております。
 
「要はテレアポでしょ?」

違うんです、DORIRUは商談取ってきますよーっていうよりもその先の案件化や受注、さらにその先の事業成長やクライアント様が抱える従業員の幸せまで考えてご支援をさせていただいております。

私はそんな会社でひとりマーケターをやっているわけですが、今回は「インテントセールスとBDRについて」でなく、「インテントセールスがもたらすBtoBマーケティングの変革」についてお伝えをさせていただきます


1.インテントセールスとは

インテントセールスとは、顧客のWEB上での興味関心をスコアリングし、早期に接点を持とうとする手法ですね。

元々はアメリカで発展した手法で、顧客の「インテント(意図)」を起点にセールス活動を行うという点が特徴です。購買行動において顧客の優位性がますます強くなっていく中で、インテントを起点にアプローチを行うことで顧客体験を悪化させることなく、検討の早期段階で接点を持つことができるという画期的な手法です。

事業をグロースさせる上で、比較検討層を早期に顧客へと引き上げることは最優先の取り組みです。一方で、この層はn数が少なく、費用を投下し続けたところで成果が2倍、3倍と良くなっていくわけではありません。そのため、グロース施策においては費用対効果が徐々に悪化する方向へと投資するということを行うこととなります。そうやっていろいろな施策を網羅し続けて、かなーり最後の方に「テレアポ」に取り組む、というのが大体の流れです(もちろんバーティカルSaaSなどは早期にテレアポに投資するということもあります)

大前提として、企業の成長にはテレアポは有効な手法です。世界最大級のベンチャー企業データベース「Crunchbase」の調査によると、「コールドコールを行わない組織は、それを行う組織よりも成長率が42%低い」というデータもあります。

ところがどっこい、テレアポというものは顧客体験がすこぶる悪いのです。いきなり知らない人から電話がかかってきてサービスの話をされた時に「ちょっと待ってなんの話?」となるのは自然なことかと思います。顧客優位性が強く、それでも商談を積み上げなくてはならないセールスが苦しむこのご時世だからこそ、「顧客起点でのアプローチを実現できるインテントセールス」がこれほどまでに爆発的な広がりを見せたのだと思います。

おそらくですが、この顧客の優位性は不可逆かと思われます。結論はなんだって話ですが、インテントセールスは今後の営業活動に不可欠になる可能性があるって話です。

2.(もっと)インテントセールスとは?

前の項では、インテントセールスの起源というか、概念的な部分に少し触れさせていただきました。この項ではインテントセールスのもっと深い部分に触れていきたいと思います。

インテントセールスとは、ただシグナルを検知してフォームや電話でアプローチを行うということではなく、「認知からリッチ顧客までの一貫した顧客体験」そのものをインテントセールスと呼ぶのだと考えています。

つまり「Sales Markerを導入→さあインテントセールスの完成だ!」とはならないわけです。

インテントセールスの強みは、「企業のインテントが可視化される」ということにあります。つまり、これまで可視化することが難しかった認知施策が可視化されるわけです。

TVCMなどのマス広告は、ブランドの認知度を短期間で大幅に向上させる効果がありますが、必ずしも購買意欲の高い顧客にリーチできるわけではありません。さらには、効果の検証がしづらく投資判断がしにくい、という側面があります。しかし、インテントセールスを組み合わせることで、マス広告が生み出す認知とインテントデータを連携させ、ターゲットに最適化されたアプローチが可能になります。マス広告によって広がった認知をインテントセールスが的確に拾い上げ、タイムリーなフォローアップを行うことで、見込み顧客をリッチ顧客に変えるプロセスを一貫して提供できるようになります

インテントセールスの本質は、単なるリードジェネレーションやデータ分析にとどまらず、顧客の全てのタッチポイントを通じて一貫した体験を提供することにあります。認知段階から興味を喚起し、購入に至るまでのプロセスをシームレスに結びつけることができるため、最高の顧客体験を届けることができ、それが結果としてリッチ顧客、つまり価値の高い長期的な顧客を育成することにつながるのです。このようなアプローチは、顧客中心のマーケティング戦略を具現化するものであり、インテントセールスの価値を最大限に引き出すものと言えるでしょう。

これは弊社も直面している課題ですが、ツールを入れてすぐに取り組みができたり、ワークするものではありません。インテントセールスを本気で事業のグロース戦略として捉え、セールスだけを切り取るのではなく、フルファネルで施策を実行するリソースと実行力があるということがインテントセールスを成功させるポイントです。インテントセールスで日本を代表する企業のSales Markerさんが「PIVOT」での露出を起点として2年でARR20億の急成長を実現した、という事実がこのことを証明しているでしょう(コンテンツの質が最高、ということが大前提ではあります)

3.これからのインテントセールス

インテントセールスはここまで急激な広がりを見せてきました。コロナ禍の直後に展示会に人が溢れたり、先進機器が当たり前になったからフィルムカメラが若年層に広がりを見せたりと、急拡大の次にはそのリバウンドが多くの場合発生します。インテントセールスも今現在まさにその中にあるのではないでしょうか。

おそらく、多くの企業がインテントセールスが広がり始めた時に「欲しい人に欲しいタイミングで届けられる夢の手法だ!」と思ったのではないでしょうか。これまで述べてきたことではありますが、はっきりと言います。そんな夢のような手法ではありませんし、今後もそんな夢のような手法は出てきません。セールスや事業成長においてウルトラCはありません。常に仮説と実行、その振り返りと改善の繰り返しでやっと事業も人も成長を遂げることができるのです。

これも先述の通りですが、インテントセールスを活用して事業グロースを最大化させるためには、シグナルスコアを確認してアプローチ、というセールス活動だけを切り取るのではなく、フルファネルで施策を実行するリソースと実行力が重要です。そして、それをグロース戦略の基盤にするという覚悟が必要です。それだけのポテンシャルがあると私は思っています。

インテントセールスは、今後さらに進化し、より高度なAIと機械学習の導入が進むでしょう。インテントデータの精度はさらに向上し、よりパーソナライズされたアプローチが可能となると考えています。より一貫した顧客体験の提供が可能となり、今後インテントセールスはマーケティング戦略の基盤ともなり得ます。インテントとAIの活用に本気で取り組むことができる企業は、コモディティ化が進む現在の市場の中で競争優位性を確立できるでしょう。取り組むなら今です。

そしてこれらのインテントセールスの進化は、現在のセールス活動にも大きな変革をもたらすと私は思います。

現在のマーケやセールスの活動は大きく「プッシュ」か「プル」かの2つだと思います。インテントセールスは、顧客の自発的な行動(プル)を元に、最適なタイミングで積極的なアプローチ(プッシュ)を行うという点で、両者を融合させた手法なのです。

インテントセールスは、このプル施策で得られたデータを元に、最適なプッシュ施策を実行することで、顧客に対して一貫性のある体験を提供します。このアプローチにより、プル施策とプッシュ施策の相乗効果を最大化し、より高いコンバージョンを狙えるのです。つまり、インテントセールスにおいてはこの「プッシュ」「プル」の施策の垣根がなくなり、顧客のインテントを起点とした全く新しい形としてのセールス・マーケティング活動が生まれてくるのではないかと私は考えています。

4.まとめ

これまで散々述べてきたように、現在の購買活動の主体は企業ではなく顧客です。そしてこれは不可逆です。なぜ不可逆かというと、現代社会における個人主義の台頭とニヒリズムがどうこうの話ですが、これだけで1つどころか2つくらいのnoteを書かないといけないと思うので、一旦言及は避けることにしますね。

セールスや事業成長において絶対のウルトラCは存在しません。しかし、このインテントセールスにおいてはセールス・マーケティング活動に大きな変革をもたらし、ウルトラCになりうる可能性すらあります。

お客様に「買ってよかった」「話を聞いてよかった」を届ける、そして企業の担当者は「今日もいい仕事をした」とジムに向かって筋トレをする。そんな日常が日本の社会にありふれたとしたら、それは少しだけいい社会になったと言えるのではないでしょうか?そんなちょっとした幸せを実現するために、インテントセールスを活用したグロース戦略についてこれからも考えていきたいなと思っています。

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