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映画レビュー『アメイジンググレイス』

横浜の小さな映画館で『アメイジンググレイス』を観た。
この曲はもちろん知っていたし、ゴスペルは聴いたことがあったけれど
アレサ・フランクリンについては全く知らなかった。

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まず驚いたのは、もちろん彼女の歌声。彼女が歌い出すと場の空気が一瞬で変わる。
でも私はそれ以上に、この1970年代のアメリカで、黒人たちが教会でこのようなコンサートが開かれていて、それを映像で観ることができたことに感動した。
まだ黒人への差別があらゆるところで残っている時代に、信仰が、ゴスペルが、彼らの支えになってきたのだろうと察する観客たちが、彼女の歌声に涙して、陶酔して体を震わせ、一緒に踊り歌う姿。映像は古くて粗削りな部分もたくさんあるのに、これは間違いなく歴史に残るミュージックフィルムであるとこの映画を観た誰もが感じたのではないか。

そして今、わたしたちはコロナで分断を余儀なくされ、人との繋がりを肌で感じることが難しい状況の中、この映画を観る意味を改めて考えさせられた。
わたしたち人間は、けっして一人では生きていけないだけでなく、周りの人と共感して、心を一つに合わせる体験がいかに尊いものか。スクリーン上ではあるけれど、時代を超えて、このコンサートの人たちと繋がりを持つことができたような素敵な時間だった。


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