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2024年も懲りずに新年早々中日ドラゴンズの展望を書く

 あけましておめでとうございます、昨年はnote執筆欲が失せて下書きだけが溜まっていったドリーです。

 新年を迎えたからこそ気持ちを新たに、ということで毎年恒例の中日ドラゴンズの戦力チェックと今年の戦い方についてのnoteを書いていきます。

1.投手

2023年オフの中日ドラゴンズ投手入退団一覧

 今オフの投手補強は穏やかなものになりました。開幕直前にMLB挑戦を目指し亡命したロドリゲスはそのまま退団。ドラフトではリリーフタイプを下位と育成で指名し、1位で完投能力のある草加勝が入団しました。現役ドラフトでは先発候補の鈴木博志が去った一方で、リリーフとして実績のある梅野雄吾が加入。

2023年オフに退団した中日ドラゴンズ投手の投球イニング数

 222回1/3の投球回が空くことになりますが、昨年は「2軍がカツカツだった状態での」222回1/3なので、それ以上の穴埋めが必要になります。大野雄大や岩嵜翔といった故障者の復帰や、メヒア(昨年5月末に加入)、フェリス(昨年7月末に加入)、齋藤綱記(昨年6月末に加入)のイニング数増加も考えられますが、代わりに誰かが故障するのが常です。また、フェリスや齋藤は増えても合計で50イニングほどで、そこまでイニング消化に期待できません。イニングを消化することができた鈴木や岡野を放出した今年も綱渡りの投手運用になる危険性を孕んだままシーズンを過ごすのでしょうか。くれぐれも高卒1年目の福田幸之介や怪我明けの森山暁生と野中天翔に負担がかからないようにしてほしいです。

 では投手の戦力チェックをしましょう。

2024年中日ドラゴンズの投手戦力マップ

1-1.先発

高橋宏斗

 柳裕也、小笠原慎之介、高橋宏斗は中6日で1年間先発ローテーションを守ってもらわなければ困ります。高橋宏はカットボールやナックルカーブの質を向上させれば、もっと上のレベルにいけるはずです。大野雄大は中8~10日からスタートするのでは。涌井秀章と松葉貴大はコンディションを見て登板間隔を調整しながら、優先的にローテに入ることになると思います。そこに割って入らんとするのが、メヒア、根尾昂、梅津晃大、上田洸太朗、仲地礼亜、草加勝といった第2グループ。メヒアと根尾は空振りを取れるボール、梅津は故障の多さ、上田は出力、仲地と草加はピッチトンネルを通して空振りを取れる変化球、と大きな課題はそれぞれにありますが、谷間からローテを掴んでほしい選手たちです。梅津が一歩リードか。メヒアと根尾と草加はオフで変化がないと今年の成績は跳ねづらいと見ています。先発かリリーフかはっきりしない福谷浩司はアメリカでの自主トレで掴んだものを発揮しないと厳しい立場になってしまいます。

1-2.リリーフ

ライデル・マルティネス

 抑えのマルティネスに加えて、勝野昌慶、清水達也、松山晋也、フェリスは奪三振能力も高く、与四球が減れば7回以降は盤石になります。昨季は準勝ちパターンとして起用された藤嶋健人と齋藤も高い奪三振率、低い与四球率を記録しており、勝ちパターン入りは十分あります。仮にシーズン途中で先発が不足し、中継ぎが多くいるようであれば、藤嶋の先発も考えても良いかもしれません。黄色靭帯骨化症の手術を行い成績も良化した福敬登、経験のある祖父江大輔と田島慎二がその脇を固める布陣が理想でしょうか。
 しかし、懸念点も多くあります。特にマルティネス、清水、藤嶋、祖父江はこれまでの勤続疲労による離脱も考えられ、一気にリリーフ崩壊が起こる可能性もあります。また、山本拓実、岡野、鈴木の放出でロングリリーフ要員が減り、昨年のようにその場凌ぎで2軍で先発している投手を1軍のブルペンに置く可能性もあります。負け試合の作り方が下手になる編成になっていますが大丈夫でしょうか?
 新加入の土生翔太と加藤竜馬は期待できる速球派ですが、制球など粗削りで即戦力として期待するには少し早いです。しかし、土生は後半戦に照準を合わせれば1軍戦力になる可能性を秘めており、まずは地に足をつけて課題を克服することを優先したいです。加藤竜は学生時代から怪我が多く、1年間プロで投げられるかを見る必要があります。育成2位の菊田翔友もリリーフ型で、7月までに支配下登録されてBチームですがショートリリーフとして1軍で起用する考えはあってよいと思います。
 現役ドラフトで加入の梅野雄吾は制球面を改善させてBリリーフとして活躍することを期待しています。ロングリリーフもできると他の投手の負担を減らすことができ、縁の下の力持ちになれると良いですね。

1-3.投手全体

 こう見ると投手陣は怪我さえなければ盤石に見えます。ですが、先述の通り、2軍に控える投手が不足する可能性が高いことが大きな不安になります。人数を見て数は足りているという人もいますが、プロ入りしてから何年も経つのに実働1年にも満たない投手や1イニング投げることもその日の調子次第でコロコロ変わるような投手を頭数に入れていても後で苦しむだけです。
 そして、門倉健元2軍投手コーチの退団後、2軍からの突き上げがかなり弱くなっていることから、将来の世代交代に向けての準備が遅れています。このままいくと、いつ崩壊するかわからない状況です。落合英二コーチを2軍に配置転換したことで少しでも改善されると良いですね。

 昨年は与四球率(BB/9)がリーグワーストの3.11を記録してしまいました。ストライクゾーンの四隅を狙いすぎる投球と、援護のなさが要因になって過度に慎重になっている部分があると思いますが、まずは目の前の1失点を恐れるよりも、失点を自分のできる限り少なくする努力を優先してほしいです。

 投手についてまとめると、
◎勝ちパターンは複数人の怪我さえなければ盤石
○先発には程良くレベルの高い競争が期待できる
○高橋宏は中6日が可能になり、大野も復帰
△ロングリリーフはどうする?
△2軍からの突き上げの早期改善を
△2軍の投手不足が起こる可能性大

といった感じです。

2.野手

 昨年も打撃成績において悲惨な数字ばかりが並びました。塁に出ることもランナーを返すことも長打を打つこともできない打線で、何か1つが課題といえるチームではありません。阪神を模倣するならば、好球必打を前提に際どいストライクの見逃しを許容できるかでしょう。打順もポジションもほとんど決まっていない状況から頭一つ抜け出す選手がキャンプ・オープン戦の段階から1人でも多く出てこないと厳しいです。
 得点数はリーグ5位に106点差(1試合換算0.72点差、リーグ1位とは1.15点差)をつけられて最下位の370点。昨秋のキャンプでは得点圏でのケース打撃などを多くしたようですが、得点圏打席数も少なく、得点圏打率はリーグワーストの.229、得点圏でのIsoP(長打率-打率)はリーグ5位に.034もの大差をつけられての圧倒的最下位の.078、もちろん全体でのIsoPも最下位ですが、他球団と比較すると得点圏時ほど差はつけられていません。もう2000万回くらい言っていると思いますが、あと1本でどうにかなるレベルではありません、それに気づかないなら今年も点を取れずに他の場面を切り取ってあと1本がと繰り返すだけです。

2023年オフの中日ドラゴンズ野手入退団一覧

 今オフも大幅に野手が入れ替わりました。ドラフトでは2位と3位で二遊間を指名し、他球団を戦力外となった選手も支配下で3人、育成で1人獲得。彼らは控え野手の層を厚くすることが期待されます。なんといってもオプトアウト権を行使して巨人を退団した中田翔の獲得は資金の限られる中日にとっては大きな補強です。そして新外国人は3番タイプのディカーソンが入団しました。

2023年オフに退団した中日ドラゴンズ野手の打席数、守備イニング数

 2軍のファーストの62.1%が空くことになり、今年は様々な選手がファーストに入ることが予想されます。裏を返すと、他のポジションで出る機会が制限され、1つの守備機会でちゃんとアピールすることが必要になります。また、打席数も新加入選手と宇佐見真吾、川越誠司が通年で在籍する分が1513打席で賄えるわけがなく、既存選手が割を食らう形になるため、のんびりしている暇はありません。

2024年中日ドラゴンズの野手戦力マップ

2-1.捕手

木下拓哉

 昨年は木下拓哉が中盤に離脱しましたが、結局正捕手は譲らず、今年も正捕手として起用されそうです。侍ジャパンにも選ばれた石橋康太、木下の離脱期間に打撃で活躍した宇佐見真吾が2番手になることが考えられますが、打撃・守備ともに伸びしろを考えたら石橋に投資するのが無難では。宇佐見は8月後半から成績が低下したことやBABIPなどの指標を見ても、揺り戻しで低迷する怖さがあります。正捕手木下、2番手石橋、3番手兼代打兼有事の際のファーストで宇佐見の体制を1年通して続けられることが理想です。昨年2軍でも優先して出場機会を与えられた山浅龍之介、育成1位の日渡騰輝を中心にして2軍は回すことになると思われます。日渡は国際派かつ元NHKディレクターを監督に据えるなどの挑戦的な運営を行う茨城アストロプラネッツから入団した選手で、木下以外にフレーミング意識が低い捕手陣に新たな風を吹かせるなどの役割も期待でき、守備から信頼を勝ち取ってほしいです。

2-2.内野手

石川昂弥

 どのポジションも流動的になっており、無数にある組み合わせの中からスタメンを選択していく形になります。

 ファーストは中田翔とビシエドが中心になりますが、彼らの成績次第では外野手が好調だった場合に細川成也や鵜飼航丞がファーストに入ったり、二遊間争いが好調ならば福永裕基や高橋周平がサードを守って石川昂弥がファーストという可能性もあります。打撃で期待できる中田やビシエドがスタメンに入ることが理想ですが、2人とも加齢による衰えや故障のリスクが高い選手で、何が起こるかわからないものです。開幕は中田がクリーンアップに入ると思われますが、シーズン途中でも全体的な競争は続きます。

 二遊間は40パターンを超える組み合わせがあり、一つ一つに対して見ていくことはできません。注目は龍空の守備位置。昨年終盤はセカンド龍空、ショートカリステになっていましたが、総合的な守備能力から判断をすると逆の方が良いのでは。慣れないポジションをすることによる負担もあるので、安易に肩の強さで判断するものではありません。そもそも、どちらのポジションも肩の強さは必要で、ゲッツーを取る際はセカンドの方が反動をつけにくい分、肩の強さが求められます。
 津田啓史は1年間2軍で実力を磨いてから二塁打を量産できるタイプの選手として見たいです。まだ攻守ともに能力の高さはわかるけどまだプロの1軍では…という感じがします。辻本倫太郎は守備に関しては一級品で、打撃と体力がどこまで持つかが重要です。
 いずれにしても、新人が体力も技術も簡単には1軍で通用しないことを考えると、龍空の打撃が良くならないことには安定しない状態で、田中幹也も肩の脱臼でまずはセカンド中心に使いたいです。村松開人は膝の状態と相談しながら守備力を考えると基本はセカンドとなり、打撃が良くなればレギュラーも近づきます。福永は逆に守備が良くならないことには使えない選手で、これは数をこなすことで身につけたいです。打撃はストレートに強い武器を捨てず、逆方向を意識しすぎないようにしてほしいです。
 今年1年の布陣としては、セカンドを福永と村松、ショートを龍空にしてたまに田中を出すことが理想だと思います。カリステはどうしても守備に不安があり、打撃で突出しなければレギュラーは厳しいです。

 サードは基本石川昂です。とにかく怪我無く打ち続けるのみです。速球対策が必要です。守備はもともと上手い選手で、膝の感覚がだんだん馴染む頃だと思うので、大きな心配はしていません。高橋周平はとにかく打撃成績を戻すことです。ストレートに力負けしない状態にしないと本当にチームからいなくなりますよ。

2-3.外野手

岡林勇希

 外野は昨年フルイニング出場を果たした岡林勇希を中心に考えていくことになります。もう少し長打が増えれば四球も増えて怖さのある1番打者になると思います。目指すは近本光司(阪神)。細川はファースト起用の選択肢も念頭に入れながら昨年の課題を克服したいです。あれだけボール球を振っていてもレギュラー格では木下の次に四球率が高い(.085)なので、ドンと構えていればいいです。あとは意外と速球に弱かったところを改善したい。昨年打率.289と安定した成績を残しながらも出塁率.316、OPS.650、盗塁6と少し使いづらい選手になってしまった大島洋平を脅かす存在が出てくるかが問題です。レギュラーとして起用されるなら今の大島を超えてもらわないと困るレベルです。ディカーソンは守備に課題があるため、どれだけ打てるかが勝負です。2番か3番に入ると打線が面白くなりそうです。鵜飼は確実性の向上、ブライトはストレート対策と再現性の定着ができれば一気に伸びる可能性を秘めています。大卒3年目の彼らには大きく飛躍することが求められます。2軍で成績を残せることはわかったので、誤魔化しのきかない1軍の舞台で成績を残せる打撃を身につけることが必須です。新加入の上林誠知は何か復活のきっかけを掴んでほしいです。

2-4.控え野手

田中幹也

 代打は中島宏之、宇佐見とスタメンから漏れた選手が基本線。ビシエドか中田は代打に控える試合が多くなると予想。あとはレフト争いが活発になり、ディカーソン、鵜飼、ブライト、大島のうち誰かがベンチにいると面白くなってくると思います。
 守備固めや代走についても見ていきましょう。田中が1軍にいれば代走→セカンドの守備固めに入れることができ、接戦になりがちな終盤において非常に心強いです。山本泰寛が戦力になると、若い選手を1軍ベンチに控えさせることなく2軍で課題克服に取り組めるので、山本は若手育成のためのキーマンになるのでは。ベンチ枠に余裕があるなら内野の複数ポジションを守れ、いざという時は長打でのワンチャンスに期待して代打でも起用できる石垣雅海も入れたいです。
 外野手では、昨年は代打で多く起用された加藤翔平や後藤駿太が再び守備固め中心に長所を生かす起用ができそうです。立浪監督からの評価を上げている濱将乃介がここに競争に入れると、バックアップの世代交代もできて良いですね。

2-5.野手全体

 全体の層は間違いなく厚くなっています。あとは若手の成長に賭けるしかありません。昨年と同じくギャンブル要素の強い1年になるでしょう。
 打順を組むことは非常に難しく、現段階でこれというものはできません。キャンプ~オープン戦にかけて選手の状態を見ながら組むことになります。誰かを我慢して起用するにしても、どこかで結果を残せる爆発力を見せないとそのチャンスは回ってこないと思います。

○競争は活性化されている
○若手が成績を残し始める時期に入っている
△レギュラーといえる選手は岡林と木下くらい
△結局新人に負担がかかりそうな二遊間
△得点増のアプローチの仕方

3.采配

立浪和義監督(右)と井上一樹2軍監督(左)

 2年間終えて言えることは「お前、変わらんかったな」です。繋ぎ重視、得点圏打率信仰、左右への強いこだわり、三振を異常に怖がるアプローチの指示など、現代野球どころか昭和時代でも成功例の少ない野球を目指してきました。今年も変わらないようでは采配面でのプラスは見込めません。「そういうセオリーでしょ」と勝手に信じ込んで、根拠のない采配を連発しているようなものです。

 投手運用については、落合ヘッド兼投手コーチ(2軍投手兼育成コーチに配置転換)から大塚晶文投手コーチにベンチ担当が、大塚コーチから山井大介投手コーチにブルペン担当が変更されることが予想され、その影響がどこまで出てくるか注目です。昨年は相手打者の左右にこだわった小刻みな継投が多かったですが、相手が左打者になるとよく交代させられていた清水、勝野、藤嶋は左投手を苦にせず(フォーク系が得意な投手はこの傾向にあります)、意味の大きいものではなかったです。勝負に入りすぎてその後や翌日以降の運用が見えていない采配が多く、そこの改善は求められます。

 野手は片岡篤史ヘッドコーチがベンチ入りすることで現代野球に少しでも対応できるかにかかっています。また、今年は阪神のマネをして四球増を目指すことが予想されますが、阪神がやったことは四球狙いのアプローチをするのではなく、見逃し三振は許容しながら際どいコースを見送って、投手が甘い球を投げたら強く振るアプローチでした。あとはもうアンチ現代野球を直してくださいとしか言えないです。

予想開幕スタメン
1(中)岡林 勇希
2(二)田中 幹也
3(右)細川 成也
4(三)石川 昂弥
5(一)中田 翔
6(左)大島 洋平
7(捕)木下 拓哉
8(遊)龍空
9(投)高橋 宏斗

4.まとめ

 今年はこれまでの2年以上に結果が求められます。2年間若手を使って血を入れ替えて改革をしてきたアピールを続けたのなら、その若手が成長すれば自ずと順位は上がってくるので、最低でもAクラス寄りの4位は取らないと改革の成果が出たとは言えません。3年連続最下位なんてもってのほかです。改革に多少の時間がかかることはわかりますが、一昨年・昨年と即戦力寄りのドラフトを行ってきたことからも早めに結果が出るように動いてきたことは明白です。

 また、昨年の3月にnote記事にした「中日ドラゴンズ2025年問題」も課題として放置されたままです。チームのピークをどこに持って行くか、本当にチームの未来のことを考えていたらこの問題に踏み込むはずで、そこに対して手を打てるかのラストチャンスになりました。今年は球団のビジョンが問われる年です。

 例年以上に補強しました。デプス崩壊を覚悟しながらここ3年で多くの野手を獲得してきました。今年は選手も首脳陣も結果を出さなければ今後の生活が脅かされます。「若い」という免罪符はいつまでも、どんな結果でもついてくるものではありません。それは昨オフに伊藤康祐が高卒6年目(早生まれなので当時23歳)にして戦力外になったことで選手もわかっているはずです。

 以上で2024年の中日ドラゴンズ展望になります。最後まで読んで頂きありがとうございました!


データ参照 1.02-Essence of baseball 
      nf3-Baseball Data House


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