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楽譜を移動ドで読む
高校の合唱部で習った移動ドの読み方をご紹介します。少しだけ楽譜に書き込みをしますが、全部の音符にドレミをふっておく必要はありません。
そこの部では、最初の音だけ先生にピアノを弾いてもらうと、すぐに全パート一斉に移動ドで歌いました。ときどき先生にピアノで助けてもらいながらゆっくりとですが、初見の紙の楽譜からハモって合唱ができました。
声楽は、ドの音の高さが変わってもカラオケでKeyを上下する感覚で簡単なので移動ドと相性が良いようです。譜読みも、自分の歌うところだけなら単旋律なので比較的シンプルですしね。絶対音感がなくてもできるので、幼少時の特別な訓練など受けていない、音大を目指すわけでもない普通の高校生でも取り組めました。
そして、声楽でない場合でも、主旋律やベースのライン、内声部の動きなど部分部分に着目すれば比較的簡単に移動ドで読めます。移動ドで読むとメロディーやコードが分析しやすくなります。それはクラシックでもポップスでも、共通にいえることです。
『大きな古時計』『アメイジング・グレイス in F』『アメイジング・グレイス in B♭』 『小犬のワルツ(冒頭部分の左手)』の4曲を題材に、すすめていきます。それでは始めましょう。
(なお、臨時記号の♯や♭の音は、ここにある方法だけでは読めません。階名を「ドレミファソラシ」の7音から12音に拡張することが必要です。文末の※補足に、参考となる本等をご紹介します。)
■『大きな古時計』
音があまり飛ばないこの曲から始めましょう。楽譜は文中にもありますが、PDFの楽譜を以下に添付しますのでこちらもご利用ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1691790431046-4RgIn9byz4.png?width=800)
⒈ 調号から調を判別する
何の調かをまず読み取ります。※詳細は『調号をみれば調がわかる』にあります。
▼♭が階名で「ファ」、そこから「ファミレド」と下がると「ド」
→ Fの音が「ド」だからKey=F(ヘ長調)
![](https://assets.st-note.com/img/1691628573217-kpmephVnnJ.png?width=800)
⒉ 「ドミソ」を目と耳に馴染ませる
ここがとても大事なところです。
▼調号のとなりのあたりに「ドミソ」と記入します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691625933000-VogPTub03E.png?width=800)
▼ピアノ等でドの音を鳴らして、「♪ ド〜」と歌います。
▼その音を元にして、ピアノなしで「♪ ドミソミド〜」と歌います。
▼記入したドの線間(線と線の間)をじっと眺めて「ここがドだ、ここがドだ」と自分に言い聞かせながら「♪ ドー 」と歌います。
▼ミの線間をじっと眺めて「ここがミだ、ここがミだ」と自分に言い聞かせながら「♪ ミー 」と歌います。
▼ソの線間をじっと眺めて「ここがソだ、ここがソだ」と自分に言い聞かせながら「♪ ソー 」と歌います。
▼ドミソの線間をみながら、「♪ ドミソミド 〜」などと歌って音を自分に馴染ませます。
⒊ ゆっくりと階名で歌う
この曲は、最初の音がドミソと記入した範囲から外れています。
▼外れている音は、予めドレミを読んでおくとよいです。そこだけ「ソ」などと楽譜に鉛筆で書き添えてもOK。
![](https://assets.st-note.com/img/1691626019647-D63okQdKJL.png?width=800)
ではスタートです。
▼どの線間、線に音符がのっているかを確認しながら、ゆっくり歌います。調号の♭は気にしなくても歌えます。
↓ それでは、続きもどうぞ!
![](https://assets.st-note.com/img/1696315604937-8jlfdwjfhL.png?width=800)
どうでしょうか、読めましたか? 最後のところは、「♪ ドーシード〜 」となって落ち着く感じです。
■『アメイジング・グレイス』 (Key=F)
これも、Key=Fの楽譜です。PDFを以下に添付します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691729298506-sMWlnUbjp2.png?width=800)
⒈ 調号から調を判別する
『大きな古時計』と同じKey= F
⒉ 「ドミソ」を目と耳に馴染ませる
▼調号のとなりに「ドミソ」と記入します。
▼ドの音をピアノで鳴らし、楽譜をじっと眺めて「ここがドだ、ここがドだ」などと自分に言いきかせながら「♪ ドミソミド〜 」と歌い、音を自分に馴染ませます。
![](https://assets.st-note.com/img/1691625933000-VogPTub03E.png?width=800)
⒊ ゆっくりと階名で歌う
▼音が離れているところは、予めドレミを読んでおくとよいです。(鉛筆で書き込んでもOK)出だしは、『大きな古時計』と同じですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1696119114502-DWsFbI7e0m.png?width=800)
▼どの線間、線に音符がのっているかを確認しながら、ゆっくり歌います。調号の♭は気にしなくても歌えます。
↓ それでは、続きもどうぞ!
![](https://assets.st-note.com/img/1696119150634-9y2L4nvMAa.png?width=800)
■『アメイジング・グレイス』 (Key=B♭)
さらに♭の多いKeyでやってみましょう。楽譜のPDFを以下に添付します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691729127669-O1YhUstNTQ.png?width=800)
⒈ 調号から調を判別する
▼一番右の♭が階名で「ファ」、そこから「ファミレド」と下がると「ド」
→ B♭の音が「ド」だからKey=B♭(変ロ長調)
![](https://assets.st-note.com/img/1691626142444-JVPrG0Az0r.png?width=800)
⒉ 「ドミソ」を目と耳に馴染ませる
Key=B♭ではドが線上にあります。
▼調号のとなりに「ドミソ」と記入します。
▼ドの音をピアノで鳴らし、ドの線をじっと眺めて「ここがドだ、ここがドだ」などと自分に言いきかせながら「♪ ドミソミド〜 」と歌い、音を自分に馴染ませます。
![](https://assets.st-note.com/img/1691626142795-fPkeVYNWHc.png?width=800)
⒊ ゆっくりと階名で歌う
▼音が離れているところは、予めドレミを読んでおくとよいです。(鉛筆で書き込んでもOK)
![](https://assets.st-note.com/img/1696119419019-aWYwLy5Dsz.png?width=800)
▼どの線、線間に音符がのっているかを確認しながら、ゆっくり歌います。調号の♭は気にしなくても歌えます。
↓ では、続きもどうぞ!
![](https://assets.st-note.com/img/1696119347375-P2t8Rzy9TF.png?width=800)
ドミソが楽譜上いろいろに移動するのに、慣れてきましたか?
では次に、ピアノの楽譜の左手の伴奏を読んでみましょう。♯や♭がたくさん付いていても、意外とシンプルなことがわかります。
■ショパン 『小犬のワルツ』の左手
ショパンの『小犬のワルツ』を題材にします。PDFを添付します。
![](https://assets.st-note.com/img/1691734999158-1c9zwX6dAr.png?width=800)
⒈ 調号から調を判別する
▼一番右の♭が階名で「ファ」、そこから「ファミレド」と下がると「ド」
→ D♭の音が「ド」だからKey=D♭(変ニ長調)
![](https://assets.st-note.com/img/1691626266684-dTwdjX4Vcg.png?width=800)
⒉ 「ドミソ」を目と耳に馴染ませる
左手なのでへ音記号ですが、やり方は今までと同じです。
▼調号のとなりに「ドミソ」と記入します。
▼ドの音をピアノで鳴らし、楽譜をじっと眺めて「ここがドだ、ここがドだ」などと自分に言いきかせながら「♪ ドミソミド〜 」と歌って、音を自分に馴染ませます。
![](https://assets.st-note.com/img/1691626266369-jn7Pg8H4v0.png?width=800)
⒊ まず、各小節の一拍めのベース音だけ読みます。
▼各小節の一拍目の音だけ読んでみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1691626404234-4qLDqnfP3v.png?width=800)
▼1拍めだけでみると、 1〜4小節めは「ド、ミ」、5〜8小節めは「ソ、レ」でできています。その後の8小節も、そのくり返しです。
⒋ 次に、和音の部分を読みます。
1〜4小節め
▼ 1小節めの和音を読んでみましょう。五線から外れていますが、音を順にたどっていくと「ソドミ」とわかります。
▼4小節めまで、このくり返しです。
5〜8小節め
▼ 5小節めの和音を読みましょう。音を順にたどっていくと「ソシファ」とわかります。6小節めも同じです。
▼ 7小節めは、ソを間引いた「シファ」です。和音は、間引かれながらも同じ働きをします。8小節めも、そのくり返しです。
9〜16小節めは、1〜8小節めと同じ音が使われています。
『小犬のワルツ』は、調号に♭がたくさんあって一見難しそうですが、左手は、要するに「ドミソ」と「ソシレファ」でできていることがわかります。Key=C(ハ長調)でいうC、G7に対応するコードです。
この曲はKey=D♭(変ニ長調)なので、ドの音はD♭、ソの音がA♭ですから、コードはD♭、A♭7となります
以上、楽譜を移動ドで読むやり方の一例でした。いろんな楽譜で、是非やってみてください。
なお、ここでは「ドレミファソラシ」の7音だけでしたが、臨時記号の♯や♭も含めた12音については、以下をご覧ください。
※補足 12音の移動ドについて (参考文献)
臨時記号の♯や♭も読んで歌う12音の移動ドのメソッドは、どんな響きでも歌えるので、ジャズやポップスの複雑な音、美しい音を読み解く鍵となると思います。以下をご紹介します。ぜひご覧ください。
▼『ジャズ ソルフェージュ 1、2 ジャズ・ミュージシャン ボーカリスト 作曲のための移動ド ソルフェージュ(12音)とイヤー・トレーニング』
宇野重行 (著, 編集) 出版:UNOジャズレッスン
→ バークリー方式と呼ばれる移動ドのソルフェージュ(楽譜を読んで歌うことを中心とした音感訓練)の本です。ハ長調の簡単な曲からスタートして基礎から学ぶ内容で、12音の移動ドについても順を追って詳しい説明があります。また、楽譜の移動ド読みについても、この私のnoteとはまた違った、Keyごとの攻略方法などが載っています。
手前ミソですが、私の以下↓のnoteも、ピアノコードを覚える手段として12音の移動ドをのせています。目と耳を使って感覚的にピアノコードをみつける、という内容で、上記の『ジャズ・ソルフェージュ』からもヒントをいただいて書いています。こちらも是非ご覧ください。
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