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宝塚記念の戦評 ~信頼の大外強襲~

1~3着馬とドウデュースのレース運びを、私見を込めて詳報します。
私は1~3着の各馬の騎手は完璧な騎乗を行うも、道悪適性やちょっとした運の大小で勝敗が決まった気がします。

1着 ブローザホーン(5歳牡)
スタートを普通に出ると、そのまま最後方あたりまで下げます。その結果、ドウデュースの外側にポジションをとることになり、ドウデュースを最後まで内側に閉じ込めることになりました。
道中はユッタリと進み、脚を溜めます。向こう正面、淀の坂を上ったあたりでペースが上がると、ドウデュースを置いて単騎で上がっていきます。
直線はどのあたりを走らせるのかなと観ていたら、菅原騎手は彼の末脚を信頼して、距離のロスがあっても走りやすい外ラチ沿いの一番大外の進路を選択します。ブローザホーンもその判断に応えて、長く鋭い末脚を披露して、最後は2着のソールオリエンスに2馬身の差を付けて快勝しました。
道中の位置取り、淀の坂を上ったあたりからのロングスパート、直線でのコース選択、よく考えると横綱相撲の戦い方です。馬の実力を信頼して横綱相撲の戦い方を選んで完璧なエスコートをした菅原騎手、その信頼に応えたブローザホーン、人馬の相互信頼が勝ち取ったビッグタイトルでした。

2着 ソールオリエンス(4歳牡)
ソールオリエンスも後ろ目にポジションしました。彼もまた末脚勝負と決めて、道中はユッタリと進みます。
向こう正面でペースが上がった時もついていかず、ブローザホーンを先に行かせます。この直後、外側に展開しようとしたドウデュースより半歩早く外に持ち出した横山武騎手の判断とコース取り、追い出すタイミングは最高でした。自然と無理なく4コーナーまでブローザホーンの後ろに付け、彼を先導馬代わりにして上位進出し、残り300mくらいでは突き抜けるのではないかという勢いでした。
ところが、残り200mでべラジオオペラとブローザホーンの間に突っ込もうとしたときに進路が狭くなり、少しブレーキをかけたことが敗因となりました。ブローザホーンが突き抜けた後、目の前にスペースが広がってから再加速しましたが2着まででした。
残り600mはブローザホーンと同じ最速の34.0秒で走り切っていますので、進路が狭くならずに、あのまま加速できていれば、勝ち負けまでもっていけていたかもしれません。勝負に「たら・れば」は禁物ですが、運が少しだけ足りなかった気がします。

3着 べラジオオペラ(4歳牡)
スタートで躓くも、態勢を立て直しながら加速し先頭に立ちますが、外から来た馬にハナを譲り、4番目の位置をとります。3番枠でしたので内に包まれることを避けるべく、1コーナー過ぎでうまく外側に展開できました。
道中は左右に馬がおらず、ストレスが少ない状態のポジションを確保できており、彼が勝つのではないかと思って観ていました。走っているコースも絶妙に馬場の良いところを選んでおり、横山和騎手の騎乗にミスは全くありませんでした。
4コーナーを回った段階で先頭に立つと、直線の進路も上手く外目のルートをとりました。雰囲気は非常に良かったのですが、最後の最後で後ろから来た2頭よりも脚色が鈍りかわされました。
前述の通り、騎乗にミスはなかったのですが、距離適性や道悪適性が1~2着馬より少し劣っていたのかもしれません。それでも、前走の大阪杯での勝利と合わせて、中距離路線での中心馬であること変わりありません。

6着 ドウデュース(5歳牡)
4番枠という内枠だったため、スタートのあとは最後方まで一旦下げて、馬場の状態が少しでも良い外側に運ぼうとした作戦だったと思います。素人の浅はかな妄想にすぎないかもしれませんが。
ところが、ブローザホーンに外側から蓋をされてしまい、外に持ち出せません。向こう正面の坂の上りでブローザホーンが上がっていったときに外に展開するチャンスが巡ってきましたが、ソールオリエンスが下がってきて、同じように外側に蓋をしてしまいました。これは武豊騎手にとっても想定外だったと思います。
そのため4コーナーを回った後は、直線荒れ気味の内側ルートの一択となり、末脚が爆発しませんでした。
それでも、確り追い込んできて6着まで上がってきたのには意地と実力を感じます。秋G1戦線の主役の1頭であることに変わりありません。

最後に、貼付したジョッキーカメラは共に雨の影響で所々曇っていますが、特にドウデュースのカメラからは、ドウデュースの苦労、ブローザホーンのロングスパート、ソールオリエンスの見事なコース取り等が見られます。


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