P&Gはどうやって市場規模を推定しているのか?
「市場構造を理解することで、自社が取るべきポジショニングは見えてくる。」と、マイケル・ポーターやUSJの元CMOの森岡毅さんも言っているわけで、「まずは、その製品カテゴリーの市場規模ってどうやって推定するの?」ってところを解説したいと思います。
参考文献は僕の大好きな本のこちらです。
市場規模のシンプルな式
市場規模を、以下のようなシンプルな式に分解します。
そして、「客数」、「年間購買回数」、「購買単価」をかんたんなパネルリサーチを推定していきます。
1. 客数の求め方
まずは客数ですが、「直近1年間でそのカテゴリーの製品を買いましたか?」という質問にYesと答えた割合に、人口を掛けた数です。
例えば、成人の方に「直近1年間でシャンプーを購入しましたか?(※)」という質問に対して、80%が回答したとします。
20歳以上の人口は約1億人なので、8000万人が客数となります。
※シャンプーなどの購買間隔は3ヶ月を想定しているので、9ヶ月間の買った人の割合を掛け算しているようです。
2. 年間購買回数の求め方
こちらはよりシンプルです。1年間でその製品カテゴリーを購買した人に対して、「そのカテゴリーの製品を1年間に何回購入しますか?」という質問の平均値を取ります。
3. 購入単価の求め方
1回あたりの購入金額は、パネルリサーチを用いることで算出します。
しかし、最も重要な指標は「顧客シェア」であると、森岡毅さんは述べています。
なぜなら、顧客の年間購入回数は固定(シャンプーを一人で月に10本使う人はいない。)であり、価格もそこまでコントロールできない(価格と販売個数はトレードオフなので)からです。
まとめ
1. 最近その製品カテゴリーをいつ購入しましたか?
2. 1年間にその製品カテゴリー何回購入しますか?
3. 1回の購入でいくら使いますか?
というシンプルなパネルリサーチを取ることで、市場規模を推定できます。
P&Gでは他にも、特定のチャネルに絞った市場規模推定等の計算と照らし合わせて、市場規模・マーケットシェアが大きくハズレていないことを確認するらしいのですが、まずは第一歩目として、最も汎用的でかんたんだと思われる市場規模推定のやりかたをまとめました。
発展
実は、「最近その製品カテゴリーをいつ購入しましたか?」という質問のみで、購入回数までを数理モデルで推定できる「ガンマ・ポアソン・リーセンシーモデル」というのがあるんですが、興味があれば本著をお読みください。
マーケティングの世界における、数少ない数理モデルとのことですが、勉強すると「購買は確率に支配されている。」の意味が分かります。笑
いつかまとめるかもしれません。
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