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舞台『はら、はらり』江戸衣装のお話。〜花香編〜

すっかりお正月気分を満喫しておりましたσ)>ω<*)
ありがたいことにこのマガジンを楽しみにしてくださる方もいらっしゃるとのことで、そろそろ続きを書いていこうと思います❗️

今回は、花香

物語の最初、豊島屋に買われてくる気の強い女の子。
彼女の強さが、物語の主人公 一蓮にやがて大きな影響を与えていくことになります。

花香の衣装はですね、ほんと楽しいエピソードがいっぱいでして、どこからどう話していこうか迷っちゃう💖

まずは懐かしのヴィジュアル撮影のときの意気込み動画から。

あれ。と思った方❗️
そうなんです((o(*>ω<*)o))

ではこちらの、最初の衣装プランスケッチもどうぞ♪

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むむ❓ってなった方❗️
そうなんですっ❗️❗️((o(*>ω<*)o))

花香の打掛

衣装プランスケッチは台本が上がった段階で出されたものなので、まだどのシーンをどんな風に繋げていくかも決まっていないなか、台本の文字で描かれたキャラクターを元に起こされています。

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なので豊島屋の遊女たちは全員打掛ありきでスケッチが描かれていました。
この花香のスケッチでは着物がほとんど見えていませんが、衣装プランの小泉美都さんのご指定の花香の着物は《濃いピンク》。

稽古が進むにつれ、演出の夢ちゃんとシーンごとの打掛の有る無しを確認していったところ、本番衣装では新米遊女である花香は打掛なしとなりました。

ただこうして見ると、やっぱりこのヴィジュアル撮影時の鮮やかなオレンジの打掛を着た花香、可愛いですね💕
現在オンラインショップで販売されているブロマイドはそういった意味でもオススメです♪もちろん他のキャストのも素敵ですから、是非ともたくさんお身請けしてくださんし💖

さてさて。稽古が進む中、花香の衣装でもうひとつ議論がありました。

それは《着替えのタイミング》。

実は一番着替えが多かった花香

当初は花香の着替えは一回と想定していました。
ところが実際には2回、3種類の衣装が用意されました。江戸チームの中で一番衣装が多かったのが、花香(一番下っ端のクセに🤣)。

当初の想定では《登場シーンで着ているボロ着》からの《衣装プランの花魁衣装》。
豊島屋に連れてこられた花香を見た高尾が「ぼろ雑巾」と吐き捨てる台詞もありましたしね(実はこれ、高尾役だった私が稽古期間中に一番言ってた台詞だと思います。なかなか人をぼろ雑巾呼ばわりできませんので、ここぞとばかりにσ)>ω<*)。その度にあやけちゃんも慶子ちゃんも付き合ってくれるので楽しかった💖ありがとうございます♪🤣)。

論議が立ち上ったのは、稽古中盤。

花香が足抜けしようとして失敗する場面、オンナ役の操る赤い布がリズミカルな音楽の中で豊島屋の面々のシーンを切り抜いていくあのシーンが出来た頃でした。

少なくとも、一蓮が「まずは風呂だよ」と言った後には風呂に入っただろうから、ボロ着からは着替えていた方がいいように思う。
その後にあの足抜けのシーンがあることを考えると、あの激しい動きを振袖でやるのか。少なくとも髪飾りはない方がいいけれど、ぼろ雑巾のときには髪もメイクもある程度ぼろ雑巾であって欲しいからヘアセットの直しもぼろ雑巾メイクの直しも必要。となると、退場から足抜けのシーンまでに早着替えさせた上にヘアメイクの直しもあって間に合うのか。しかもあの激しい足抜けシーンでは着崩れも必至。早着替えでどこまで対策できるか。
それに物語の流れとしては、水揚げの決まったタイミングで花魁の衣装に着替えた方がいいような気もする。。。。

そんな話を夢ちゃんと確認しあい、風呂後の衣装として《浴衣着》が追加されることになったのでした。

花香、足抜けのシーン(ちょいと脱線:夢ちゃん賞賛タイム)

まぁここでちょっと衣装の話からはズレるんですがね、ちょっと私の夢ちゃん讃歌を語らせてください。

あの足抜けのシーン、めちゃくちゃ凄くないですか⁉️

やーほんと、ぜひとも台本をお求めいただいた人はそのシーンを読んでい欲しい。私最初台本読んだとき、このシーンがどうなるのか想像できなかったんです。

はじめてこのシーンの稽古を見たときはもう楽しすぎて大興奮でした。
でもね、皆さま。そのときはまだ、
音楽もなくて❗️
赤い布はもちろんオンナ役たちもいなくて❗️
カウントだけで❗️
役者たちが大運動会してたんです❗️
なのにもうそれだけでほんと楽しかった。

そのときの私の興奮ツイートがこちら🤣

ここにオンナ役入って赤い布入ったときには思わず夢ちゃんに詰め寄って最高すぎると雨あられの賛辞を降り注ぎ、音楽入った日には稽古場ながら終演待たずに椅子の上でスタンディングオベーションしかけました。ほんと夢ちゃん天才。

まだ観てない⁉️早くDVD予約するなり配信観るなりしてください❗️
台本もそちらもこちらのオンラインショップからどうぞですからね❗️

今井夢子の脳みそ最高すぎるんです。

とり乱しました。花香の衣装に戻ります。

衣装①ぼろ雑巾着物

夢ちゃんからも「ほんっとにボロッッッッボロがいい」と、
強調吃音たっっっぷりにオーダー入っておりました。

さぁ❣️
こちらが撫子のぼろ雑巾。

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続いてこちらが牡丹のぼろ雑巾。

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見てください❗️この見事なぼろ雑巾ぶり❗️

ぼろ雑巾着物、ぼろ雑巾髪の毛、ぼろ雑巾メイク❗️
まさにこれぞぼろ雑巾❗️
VIVAぼろ雑巾❗️

この素晴らしきぼろ雑巾着物は、美都さんが作ってくださいました✨この衣装を初めて見たときの感動は今でも覚えてます。
「あぁ〜っっぼろ雑巾だ❣️ぼろ雑巾がホントにいる❣️」
ぼろ雑巾って台詞に否が応でも気持ちが入っていきますよ、そりゃ。

そいでもってこの絶妙なぼろ雑巾髪の毛❣️
何がすごいってこのぼろ雑巾ぶりはもちろんなんですが、これが次の着替え終わってぼろ雑巾じゃなくなった花香がメイク場に来ると、顔はまだぼろ雑巾の花香がぼろ雑巾メイク落として直してる間に、ヘアメイクのまりあんぬさんとあかねさんがめっちゃ涼しい顔でぼろ雑巾髪の毛をさささって直しちゃうのがホント感激だったのです。

やはりプロの仕事って、すごいです。

ちなみに、、、このぼろ雑巾は中庭から板間に上がって退場するのですが、その時の足裏の土の払い方が、ふたりとも違うんですが、どっちも私、最高に大好きでして❤️
稽古場でもいつもその瞬間を心待ちにしていました。うっかりするとそのあとすぐ私が出番なんで、何度か出トチリかけたのは内緒の話です🤫

ぺちって音と膨れっ面と睨み目のコラボが最高なんで、ぜひご注目ください((o(*>ω<*)o))

(パンフレットに書いた私のアンケート、正確じゃなかったなって今は反省してます。一番好きな台詞、間違いなく「ぼろ雑巾」だったわσ)>ω<*))

衣装②風呂後の浴衣着

撫子の浴衣着がこちら。

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そして牡丹がこちら。

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現代の夏のオシャレ着の浴衣ではなく、この時代の寝巻きとしての気楽な浴衣着。
思い切り暴れられるようにと撫子牡丹ともに浴衣は紺地、帯はアイコニックに赤を選びました。

美都さんからは現代っぽくならないようにしたいという話があったのですが、そこはこの帯たちがいい仕事をしてくれました。

浴衣も帯も私の私物なのですが、この帯も実は、この年の夏に私の手元にやってきた子たち。
私の夫の友人のお母さまからお譲りいただいたものなのです。たくさんの素敵なお着物を見せていただいた中で「こんな地味なのは要らないよね?処分しようと思ってるの」と見せてもらった浴衣と帯。

聞くと、亡くなられた妹さんが和裁をされていた方で、その妹さんが作られたものもあるとのこと。その浴衣を見ると、袖が綺麗な丸角に仕上げられており、和裁士さんとしての技術がとても高いことがわかります。今市販されているものの中からはもう出逢えないであろう、昔ながらな素朴な素材感、生活のなかに存在していたからこその気負いなさ。

あぁ。。。あの言葉を全力で止めて、この子たちを連れて帰ってきてほんとよかった((o(*>ω<*)o))

この帯を見て美都さんも太鼓判を推してくださり、正直、浴衣着が追加となった際に浮かんだ“予算大丈夫かな”の不安は、無事に雲散霧消してくれたのでした🤣

衣装③花魁衣装:2枚の着物とふたりの花香

さてさて。花魁衣装へと参りましょう。

撫子の衣装がこちら。

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牡丹の衣装がこちら。

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ヴィジュアル撮影の2日前に私のところへやってきてくれた《桐箪笥さんシリーズ(詳しくは八兵衛編で綴っています)》。
その最たる戦利品が、牡丹の慶ちゃんが着ているこの振袖でした。

ヴィジュアル撮影用に元々は別の咲匂さんのお着物を用意してもらっていたのですが、写真ではなく実物を見てみると濃いピンクというよりも桃色がかったオレンジ色でかなり印象が違ったため、当日予備にと持っていったこの着物が急遽採用となりました。
このときの「セーーーーーフっっっ」感ったら❗️今思い返すと笑っちゃいます♪

もう一枚も、“ザ・ピンク”な一枚。ただし金彩と白のみで表現された雲取の柄で、とてもシンプル。

この2枚の着物を、あやけと慶ちゃんのどちらに割り振るか。はじめはちょっと迷ったんですけどね♪

あやけちゃんとはスピンオフ作品の上演イベント【逢瀬の巻】と【吉原の巻】でご一緒してましたが、この2回のイベント、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、同じ本でありながら全然違う2作品になりました。

逢瀬の巻では花香でしたが、吉原の巻ではなんと現代の女の子!

あやけちゃんは可愛い女の子ですが、その全然違った2回のイベントをご一緒するうちに、私密かに、彼女には男性性が似合うんじゃないかと目論むようになっていました。
ボイスドラマの収録時にディレクションをしていたまなみんが言ってたけど、あやけは声が強い、というのもそう感じたひとつの要因だと思う。

かたや慶ちゃん。
稽古をご一緒していくうちに感じたのは、“めっちゃアグレッシブにトライを繰り返す人”。

彼女の眼のまっすぐさはほんと花香にぴったりだなぁと思いつつ、花香という役の眼の奥に俳優大内慶子の観察眼がめっちゃ光ってる。
線の細い身体の中に、一瞬にして弾ける針金のような、細かろうが構わず強いエネルギーをぐるぐるさせてるのが、とても頼もしかった。

あとなぜか知らないですけど慶ちゃん曰く、普段はSなんだけど私の前だとMになるらしく👀私にちょっかい出されにきて悶えてるのを秋枝ちゃんが冷静に突っ込むっていうやり取りが稽古序盤にあったのが楽しかったです(なんの話だ)。

あ。なんか今日は話が逸れますね、すみませんm(。>__<。)m

ぶっちゃけてしまいますとね。
ふたりの花香は性質こそ違えどエネルギーの真っすぐさという意味でどっちもしっかり花香として強かったので、
ザ・ピンクの着物とザ・水色の帯さえあればよし❣️って感じがしておりました。
なので衣装の細かな違いがふたりの花香の見え方に影響する感じがあんまりしなかったんです🤣ちなみに本衣装がお初で勢揃いした日、花香の水色帯にめっちゃ反応してたのがセーラたんでした💖(なんでか気になる方は清花編をご参照ください♪)

なので私の個人的楽しみで着物や小物を割振っておりまして、
あやけっつぁんを男性性で彩りたい目論みがあった分、
慶ちゃんを女の子性で彩ろうというプランに落ち着いてからは、
もうとんとん拍子でした。

即ち【あやけ:慶ちゃん=大柄め:小柄め=男の子的色:女の子的色】

着物と半襟は、大柄のものをあやけに、小柄のものを慶ちゃんに。

帯揚げと帯締めの色の振り分けは、
あやけを紺とオレンジで男の子イメージ、
慶ちゃんをフューシャピンクとレモンイエローで女の子イメージ。

あー楽しかった❣️

そうそう❣️ちなみに花香の髪飾りは、咲匂代表、制作のちよPの手作り✨

そしてこちらも💖

うん。この花束を抱いて言うあの嬉しそうな台詞にね。いつも胸が
ときん、ってしてた。

お芝居が好きだなぁ、愛おしいなって思うのは、こういう細やかなものづくりにまで、愛がいっぱい詰まっているから。

時間あるようで意外とギリギリな、早着替えタイム

花香の衣装を語るなら、やっぱり早替えの話題は外す訳にはいきません。
花香、舞台上でも激しかったですが、舞台裏でもずっと大忙しでした。

ぼろ雑巾→風呂後の浴衣着
 ・ぼろ雑巾着物を脱ぎ捨てる
 ・浴衣を着る
 ・ぼろ雑巾髪の毛を直す
 ・地黒のぼろ雑巾メイクをベースから直す
ぼろ雑巾退場から次の登場までの時間はそれほど短くは無いのですが、やることが地味に多い。そして途中で投げ出せない案件ばかり。

風呂後の浴衣着→花魁衣装
 ・浴衣を脱ぎ捨てる
 ・襦袢から花魁全着付け
 ・髪飾りをつける
他の花魁たちの本番前の着付け準備は多少余裕を持って20分を想定していました。
花香は1幕ラストの暗転まで舞台上にいるため、着替え時間は休憩時間と2幕開演後のワンシーンの間。15分もなかったように思います。その間に髪飾りもつけなくてはなりません。
花香は振袖を着た後の登場シーンでもそこそこ激しく動くので、髪飾りが取れないように付けるにはある程度の時間を確保せねばならない上に、新米遊女ということで帯結びを文庫にしており、この文庫結びが意外と大変。
ヘアメイク直しの時間を考えると、休憩が終わる頃には着物は着終わっていなければならず、
休憩終わりのアナウンスをラストコール、
2幕が始まって最初に入るSEを終了のゴングとして、
着付けスタッフ2人と花香本人の息を合わせて精査した手際で進めていかなくてはなりません。
撫子着付けスタッフのまなみん、牡丹着付けスタッフの私と、着付けスタッフのしゃこさんとゆかさんで集中稽古中から試行錯誤し、日によってスタッフが入れ替わった際にも花香自身が的確に手順をわかってくれていたことで、ドキドキしたことは何度かありつつも、無事に全ステージを乗り越えられました。
あの一体感も、演劇の醍醐味。

ダブル花香、おつかれさま。

最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました

楽しいことがいっぱいだったのでついつい脱線するのを、ここまでお付き合いくださってどうもありがとうございました。

なんせいちばん下っ端なクセに🤣いちばん衣装数が多いので、分量が多くなっちゃいましたね(脱線のせいもあります、はい🙇‍♂️)

今こうして書き進めてきて改めて思うのは、本当にたくさんの方の想いと時間と技術とアイデアが凝縮されて、演劇という世界がお客様の目の前に届くのだ、ということ。

同じ空間を共有し、ダイレクトに音を喰らい、その温度を体感してもらうために、
ありとあらゆるものを、ありとあらゆることを、見えるものにも、見えないことにも、充満させる。
そのエネルギーって、どこからきているんだろう。

コロナを経て、演劇は新たな可能性を手に入れました。大変なことはもちろんいっぱいあったけれど、これは確かな事実だと思う。
それでもやっぱり私たち演劇人は、共有する劇場空間を欲することをやめないでしょう。

確固たる想いと確固たる実践をもってして手に入れた幸運によって、
私たち『はら、はらり』は無事にこの公演を終えることができました。

しかし年が明け、今またたくさんの仲間たちの悲痛な叫びが溢れ始めています。

今自分たちに何ができるのか、何をしたいのか、どうすべきなのか。

わからなくなっても、見つからなくても、迷っても、
考えて考えて考えて考えて、自分自身で選び取りたいと思います。

自分たちの未来を、自分で選び取るために。


みんな、がんばれ。

わたし、がんばれ。

でも、いろんながんばり方があっていい。


どうかどうかどうか、未来を
すべてのいのちとすべての存在がしあわせに過ごせていますように。









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