ホットサンドとりんご

#暮らすということ #不器用な朝ごはん

ばたばたばた。

そんな朝の忙しなさ。いつもの風景。

ご飯を軽くチン。冷蔵庫の高菜を混ぜ混ぜ、去年のおばあちゃんの梅干しの最後の紫蘇を、包丁の背で叩いて混ぜ混ぜ、小さなおにぎりをラップにちょこんと作る。

これが夫さんの朝ごはん。たくさんは食べない、けどちょっとお腹に入れたいんですって。いつもはふたつなんだけど、今日はみっつできた。高菜いっこに紫蘇ふたつ。まぁいっか。おばあちゃんの梅干しは最高に酸っぱい。最高に酸っぱくて、最高に体に良さそうで、最高に身体が喜んでる感じがする、最高に美味しい梅干しだから、大切に大切に食べてきた、その最後の残りの紫蘇。残りのいっこは私が喜んで食べよう。やったね。だって最後だし。

結婚してしばらくお互いにバタバタした日が続いて、ようやくひと息ついた頃、ケンカをした。私たち夫婦の生活時間は、結構ズレる。何せ私が自由業なものだから、始発で出かける日もあれば、数日間何もない日が続いたりする。かたや夫さんはカレンダー通り、毎朝決まった時間に出かけていく。ひと息ついた頃、私はそこそこな燃え尽き症候群ってやつで、ぐうたら嫁の特に酷いバージョンの見本みたいだった。そりゃ怒るよねって、そのときの私も素直に思った。「せめてもうちょっと早く起きててよ」

基本的には、冷蔵庫に作り置きの何かがあって、それを夫さんがお弁当箱的な何かに自分で詰めて持っていく。私はそれでも朝が弱いので、夫さんのシャワーの音に目を覚まして、もぞもぞとおにぎりを作り、夫さんが着替えている間に、夫さんが用意したお弁当とおにぎりとカトラリーを袋に入れる。そんな流れが今のところ定着しそうな感じ。

でも今日は、ちょっと早く(15分くらい)、起きられたから、りんごも剥いた。いただきものの美味しいりんご。小さなタッパーに入れて爪楊枝付けてお昼用。ふたきれラップに包んで朝ごはん用。

夫さんは冷蔵庫にあるカレーにするか賞味期限の短いパンでホットサンドを作るかちょっと迷って、ホットサンドを準備して火にかける。彼が身支度をしている間に私が火加減を見ながらひっくり返す。うん、なかなかにいいコンビネーションじゃない、新婚さん(笑)

出来上がったホットサンドをホイルに包み、いつものように朝ごはんと一緒に袋にまとめていると、「お腹すいちゃった。一番ちっちゃいこいつ、今食べていい?」と嬉しそうに紫蘇おにぎりをぱく。そうしてもう2枚のパンをホットサンドプレートに乗せて「今焼く?後で自分で焼くにする?」

あれ。いつのまにかホットサンドの具、私の分も用意してくれてたんだ。私はいつも朝ごはんは食べない。起きぬけは食べられないのです。そしてうっかり夜まで何も食べなかったりする。そういうところも、リズムと優先順位が違う、私たちふたり。「後で自分で焼くにする?」の一言が、さらりと“焼くだけ”でいいように準備してくれたことが、すごく嬉しかった。

夫さんが出かけていく。玄関とベランダから見送る。

こんな風に毎朝誰かを見送る生活が来るなんて、自分じゃ想像もしてなかった。

ついついうきうきして、早速ホットサンドプレートを火にかける。残りのリンゴも付け合わせにしよう。

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案の定、すぐにおなかがいっぱいになってしまう。

また後で、梅干しが入ってた瓶の中にごはんを入れて、最後の最後の紫蘇エキスまでおにぎりにしよう。最後の紫蘇おにぎり、あんなに嬉しそうに食べられちゃったからね。

新婚、よきよき。





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