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ただ守りたい… 1話

薄暗い部屋の中でうずくまる。

体が震えて立ち上がることも、言葉を発することもできない。

??1: 次はお前だな。

とうとう僕の番が来てしまったようだ。

僕に銃口が向く。

目の前の男が引き金を引いた。

??2: ○○ーーーー!!!

闇の中に響き渡る銃声。

突然目の前を何かが塞ぎ、それが下に落ちる。

咄嗟にそれを抱える。

視界を下に向けると、その何かは僕の大切な家族だった。

○○: え…ね、姉ちゃん、、、

自分の手に付く赤い血。

??1: 順番が狂っちまったな、まぁどっちにしろ死ぬんだから関係ねぇかw

思考が止まる。

??2: じゃあな、恨むなら…

男が何を言っているのかも頭に入ってこない。

男が再び銃口を向けてくる。

視界の端で倒れている人と、自分の手に抱えられている人。

そして目の前に広がる赤い液体。

○○: よくも、、、俺の大切な人を!!!!

バキ

そこで僕の(俺の)意識は途絶えた…


カーテンの隙間から部屋に光が差し込む。

ベッドの上にその光が当たる。

○○: ん…うん〜もう朝か。

ベッドから体を起こし、枕元に置いてある携帯を取る。

○○: 10時か、結構寝たな。お腹も空いたし朝ご飯食
べよ。

そう言って部屋を出て階段を下り、キッチンへ行き冷蔵庫を開ける。

○○: 何食べよう…うん、あんまり食材もないんだよね。今日買いに行こうかな。

冷蔵庫を閉めつつ、リビングの方へ行く

○○: お、いいの発見!!

ダイニングテーブルに置いてあった食パンに気づき、手に取る。

○○: そういえば、昨日の夜に食べて、そのまま机に置いてたんだったな。

食パンをトースターに入れて、焼き上がるのを待つ。

明日が始業式か、もう俺も高2なんだな。

去年は可もなく不可もなくって感じだったけど、今年はどうかな。

楽しく過ごせれば良いな。

未来に期待を膨らませつつ、去年の思い出を振り返る。

チン

パンの焼き上がりを教えてくれる音が広い部屋に響く。

○○: あ、焼き上がった。

焼き上がった食パンにかじり付きつつ、テレビをつける。

ピ

「では、食べていきたいと思いまーす!!
ん、これ!相当美味いよ!!ぜひスタジオにいるゲストさんも食べて見てくださいよ!!」

ピ

「ノンストップ!!!」

ピ

「いやー凄いですね、金山社長の腕には驚かされますよ!たった数年でここまで会社を大きくするとは、、これからが楽しみですね。では次のニュースです。」

ピ

「サクッ!!さぁ始まりました!そこ曲っ」

ピ

「最近、ここも治安が悪くなってきてねぇ、昨日もあそこの、えーとなんて言ったっけな。あ、そうそうあそこの三角公園で騒ぎがあったのよ。でね、、」

ピ

「待たせたな!!はい、始まりました、ひな」

ピ

「明日の天気は晴れ、、」

○○: 良いの無いな〜、やっぱテレビはいいや。

ピ

そう言って黙々と食べ始める。

食べ終わったところでインターホンが鳴った。

○○: ん?なんだろ。はーい

「宅配便でーす!」

○○: 宅配便か、なんか頼んでたっけ?

玄関に向かい、扉を開ける。

ガチャ

業者1: どうも〜

○○: あ、いつもお世話になってます。お疲れ様です。

外に立っていたのは、いつもこの家に荷物を届けてくれる配達業者だった。

彼らは1人暮しをしている僕に気を遣ってなのか、よく話しかけてくれる、気の良い人達だ。

業者2: お届けものっす。

○○: はい、ありがとうございます。なんか随分と大きい荷物ですね。

業者2: そうっすね。重いので気をつけて下さい。

○○は荷物を受け取る。

○○: …確かに重いですね。

受け取った荷物を玄関に置き、伝票を受け取って、サインをする。

業者1: 春休みも今日までですか。

○○: そうなんですよね、もうちょっと休みたかったです笑

業者1: まぁ学生ですから。学校で青春していきましょ!

業者2: そっか〜もう高2になるんすよね。あの坊っち…

パシ

業者2: 痛っ!!

話している途中でいきなり業者がもう1人の頭を叩いた。

業者1: バカ!ダメだろ!!

○○: え、えーと…大丈夫ですか?

業者1: いや、あの…こいつの頭に虫が止まっていたもんですから笑

業者2: そ、そうなんすよ。もう兄貴ったら力が強くて笑

○○: へーそうだったんですか。あ、はいこれ!サイン書き終わりましたよ。

○○は業者1に伝票を渡す。

業者1: では失礼します。明日から頑張って下さいね。

業者2: 頑張って下さいっす!!

○○: はい!頑張ります。そちらも頑張って下さいね。

そう言って業者二人は門を出て行った。

ガチャ

○○: ほんと愉快な人達だな笑、多分僕がこの家に引っ越してきてからずっとだもんな。

ん?今更だけど、ずっと同じ業者の人が配達し続けるってことはあるのかな。

まぁいいか。

○○: さっ、この大きな箱の中身を確認してみますかねっと…え、何これ?

箱の中には大量の生活用品と食料が入っていた。

○○: なんでこんなのが…あとこれ送ってきたの誰よ。

疑問に思いつつ、荷物を倉庫や冷蔵庫にしまっていく。

空っぽになった箱の底に一通の手紙があった。

○○: あれ?なんだこれ、手紙か。

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○○へ
明日、14時に⊿モールの地下駐車場の46番に来て。久しぶりに会おう。それに伝えたいことがある。
父より
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○○: え、父さん?!!絶対に行かないとだな。にしてもホント久しぶりになるな。1年ぶりか…

中3までは父さんと2人で暮らしてたけど、今は父さんとは、離れて暮らしている。

父さんは昔から家を空けることが多かったから、一人暮らしは問題ないんだけど、いきなり引っ越しすることになって、父さんとも連絡が取れなくて、中々大変だったんだよな。

今何やってるんだろうな〜明日会えるのが楽しみだな。

食料が沢山届いて、買い物に行く必要もなくなったし…

○○: よし、新学期の準備でもするか!

父との再会を心待ちにしながら、新年度の準備をして、その日は終わった。


翌朝

朝日が登り、鶏の鳴き声が響きそうな頃…

○○の家の前で、制服姿の女性が仁王立ちしていた。

??: おーーーーい!!!○○!!!学校行くよーーー!!!!

大きな声が辺りに響き渡る。

??: (もう、まだ寝てるのか。起こしに行こ!!!)勝手に家に入っちゃうからねーーー!!!

??はカバンから鍵を取り出し、玄関の扉を開ける。

ガチャ

??: おっじゃましまーーーす!!

ドタドタドタ

足音を鳴らしながら階段を登り、沢山ある部屋のうちの○○の部屋に一直線に向かう。

ガチャ!!

ドアノブを壊すような勢いで、○○の部屋の扉を開ける。

??: (まだ寝てるのか…なら笑)オリャー!!!

??は飛び上がり○○の寝ているベッドにダイブした。

○○: グハッ!!!!!

??: おい!!○○起きろーー!!

○○の上に飛び乗った??は○○の肩を掴み、めちゃくちゃに揺らす。

○○: 分かった、起きるから!!まず退いてくれ!
日奈子!!

日奈子: はーい!

○○: もう朝からなんだよ、まぁまぁ痛かったぞ。

日奈子: それはごめんって、でも起きない○○が悪いんだからね!!せっかく幼なじみが、一緒に学校行こって誘いに来てるんだから。

○○: いや、幼なじみでも、勝手に家に入ってくるやつはいないだろ。

日奈子: それは私達が特別だからってことで許してよ笑

○○: …

こいつは"北野日奈子"。話にも出ている通り、僕の小さい頃からの幼なじみで、性格を一言で表すと「天真爛漫」って感じだ。

とにかく元気で明るくて、ずっと僕の隣にいる。

困っている人がいたら、助けずにはいられないような正義感の強い良いやつ。

でも、いかんせんバカだし、力の加減がわかってないんだよな。

僕が引っ越してからは、周りに他の家がないから問題ないんだけど、あいつのバカでかい声は中学の頃、地域住民から鶏の鳴き声扱いされてたぐらいだ。

日奈子: ほら○○!さっさと朝ご飯食べて、学校に行こ!!

○○: はいはい、すぐに準備するから先に下に行ってて。

日奈子: はーい!!

日奈子はすぐに部屋から出て行き、階段を降りていった。

○○: ふぅ…朝から疲れるな笑

クローゼットを開け、制服を取りだし着替える。

○○: よし、行くか。

学ランとカバンを持って階段を下りる。

リビングに入ると日奈子はキッチンに立っていた。

日奈子: お、○○やっと来たか。この私が○○のためにチーズトーストを作ってあげたぞ!ほら早く食べろ!!!

○○: 笑、分かったから。ありがとな、日奈子。

日奈子: いえいえ。

まっこんな関係だ。

日奈子と喋りつつ、朝食を食べ終え、その他諸々の準備を終え、玄関に向かう。

日奈子: よし!!出発だーー!!!

○○: あんまり大声で騒ぐなよ。

日奈子: はーい!!

○○: いってきます。

そう言って○○は日奈子と共に家を出た。

日奈子: そういえば○○!

○○: なに?

日奈子: 昨日のわんちゃん特集見た?

○○: いや見てないよ。

日奈子:めちゃくちゃ面白かったんだよね。特に子犬ちゃんたちが競走してるやつ。

○○: へぇー、ホント日奈子は犬が好きだよな。

日奈子: あ!いい事思いついた!!!行くぞ○○!!

○○: え?!

日奈子: 学校まで競走だ!!!、負けた方は明日の昼ご飯奢りだよ!!よーいドン!!!!!

そう言って日奈子は走り出した

○○: おいおい、嘘だろ!!

○○は呆れながらも日奈子に続いて走り出した

くっそ!あいつめちゃくちゃ足速いんだよな。


学校まで残り100m

○○: やっと追いついたぞーー!!!日奈子!!

日奈子: 負けないぞー!!○○!!!

二人は並んで猛ダッシュしていた。

よしあともうちょっとでゴールだ!!!

お、あの後ろ姿は!!

道の先に1人で本を読みながら、とぼとぼ歩く小さな背中が見える。

○○: おはよーー!!飛鳥ーー!!!!

日奈子:あ!ホントだ!!あっしゅんおはよー!!!!
またねー!!!!!

2人は友達に挨拶をしつつ、全力でその横を走り過ぎる。

飛鳥: え…うん…おはよ。

いくぞ!!!ラストスパートだ!!

○○: うぉーーーーー!!!!

日奈子: 負けるか!!!!

そのままの勢いで2人は校門を通り過ぎる。

「やったーーーー!!!」

勝負に勝ったのは、、、

日奈子: 勝ったーー!!○○明日のお昼奢ってね笑笑!!

○○: くそーーー負けた!!

あー疲れた、朝からこんなことするもんじゃないわ。

しかも負けたし。

○○: ハァハァ…

日奈子: ほらっ!!早くクラス割り見に行こうよ!!

○○: 日奈子がいきなり競争を始めるから、こうなってんだろ。

日奈子: そんなこと言うなら、わざわざ勝負に乗ってこなかったらいいじゃん!!

○○: いや無視したら、日奈子めんどくさくなるでしょ。

日奈子: なんだって〜〜!!

○○: この前なんか勝負を無視したら、永遠に後ろから脇腹小突いてきたじゃないか。

日奈子: もう忘れました〜

○○: あの時結構、辛かったんだからな。

日奈子: そんなに言うならまたやってあげよう!!

○○: やらないで!!

そうやって言い合いを続けていると…

飛鳥: いつまで、騒いでんの。新学期初日からみっともないよ笑

○○: 飛鳥か…

日奈子: でもだってね、○○がね、日奈子のことめんどくさいとか言うんだもん。

飛鳥: 笑、それは同感。

日奈子: あっしゅんまでそんなこと言うのーー!!もう知らない!!!

飛鳥: まぁまぁ冗談だから、ね、○○もそうでしょ。

飛鳥から否と言わせないようなオーラのこもった視線が向けられる。

○○: え、うん、そうだよ。冗談だよ。日奈子。

日奈子: そっか笑、冗談か、なら良かった。ほら2人とも早くクラス割り見に行こ!!!

流石だな飛鳥、日奈子の扱い方が完璧だ。

飛鳥: 分かったから。○○も行くよ。

○○: うん。

この子は"齋藤飛鳥"。僕達は小学生の時に友達になって、そこから中高と同じ学校に通っている。

日奈子とは真反対の性格で、クールで頼れる存在って感じかな。

○○: えーっとクラス割りが張り出されてるところはどこかな。

飛鳥: あそこに人だかりができてるから、そこにあるんじゃない?

○○: そうっぽいね。行こうか。

日奈子: みんな同じクラスになれるかなーーウキウキ

○○: それだと色々と楽だからいいんだけどな。

飛鳥: まぁそうだね。

○○: にしても人が多いな、もうちょっと早めに来れば良かったか。

日奈子: だから私は早く学校行こって言ってたんだよ、○○!

飛鳥: いや絶対そんなこと考えてなかったでしょ笑

日奈子: うっ、バレたか…

○○: 俺が二人の分も見てくるよ、待ってて。

日 飛: よろしく!

○○: えーっとどこかな、、、おっ!日奈子の発見、1組か。それに飛鳥の名前もすぐ下にあるな。じゃあ、あとは僕のなんだけど。

苗字的に後ろの方にあるかな。

○○: よしよし、あった、あった。って俺も1組か。みんな同じクラスだな。

日奈子:あ!○○が戻ってきたよ。

飛鳥: ○○、結果は?

○○: みんな同じクラスだったよ。

日奈子: やったね飛鳥!

飛鳥: うん笑、そうだね。

○○: じゃ、教室行こ。

日奈子: お先に行きまーす!!!

日奈子は校舎の方に駆け出して行った。

○○: 流石、日奈子だよな笑

飛鳥: だね、でもあの子クラス聞かずに言ったよね笑

○○: どうせすぐ戻ってくるよ笑、ほら…

日奈子: ○○!!!私たちのクラスどこ!!!

飛鳥: みんなで行くよ、日奈子!

日奈子: はーい!!

○○: 去年は1階だったけど、今年は2階か。移動教室の時は楽だけど。行き帰りはちょっと面倒くさいかな。

飛鳥: だね。もう階段は疲れるよ。

○○: なにおばさん臭いこと言ってんの笑

飛鳥: ギロッ

○○: いやっ怖!

飛鳥: そうやって余計なことをすぐ口にするから、彼女が出来ないんだよ○○は!

日奈子: そうだ!そうだ!

○○: うるさい笑、そんなこと言われても、勝手に口から出ちゃうからしょうがないだろ。

飛鳥: 治しなさいよ、その癖。将来変なことに巻き込まれるよ。

○○: 飛鳥が言ったら、実際に起こりそうだから、やめて。

日奈子: もういいから、早く教室に行こ!!

飛鳥: ふん!

○○: ごめんって飛鳥、気をつけるから。

飛鳥: はいはい。

上履きに履き替え、階段を登って教室に入った。

ガラガラ

日奈子: みんなおはよーー!!!

??1: おはよー、今日も元気だね日奈子。

??2: おはよ、日奈子。

日奈子: 未央奈にみなみちゃんじゃん!!

○○:二人も同じクラスだったんだな。

飛鳥: 今年もよろしく。

堀: よろしくね。朝から大変だね。

○○: いや〜大変だよ。でも5歳の時からだから、慣れた。

堀: そっか。

星野: でも日奈子の声聞くと、朝から元気でるよね。

飛鳥: 確かに笑

日奈子: みなみちゃん、良いこと言ってくれるじゃん!

星野: 日奈子は、もちろん昨日のわんちゃん特集見たんでしょ?

日奈子: もちろん!!!あれ、可愛かったよね!

星野: うん、可愛かった!

堀: ホント日奈子は犬が好きだよね。

飛鳥: 日奈子自身も犬っぽいし笑

星野: 確かに笑

堀: それは言えてる笑

日奈子: そうかな〜笑、なんか嬉しいかも!

堀: 話変わるけど、なんかうちのクラスに転校生来るらしいよ。

転校生ねぇ…

日奈子: え、それホント?!女の子かな、男の子かな?

星野: 日奈子はどっちがいいの?

日奈子: 私はね〜女の子かな!!

星野: なんで?

日奈子: それはね〜

ワイワイ

○○: 女子で盛り上がってる所だし、僕は自分の席に行こうかな。

○○は自分の席を見つけ、座った。

○○: 今日は始業式だけだから、昼までに終わるとしても、家に帰ってる時間はないかな。直接⊿モールに行こう。

堀さんと星野さん以外に、同じクラスの人は誰がいるのかな。

○○は教室を見渡す。

○○: 結構もう人が来てるけど、意外と知らない人が多い…ん?、あいつは。

教室の後ろの方に机で突っ伏している人が見える。

○○: あれは確実に祐希だな笑、相変わらず、ぐ〜たらしてんな。

飛鳥: なに先に席に着いて、キョロキョロしてんのよ。

そう言って飛鳥が隣の席に座る。

○○: いやいや、誰がいるのかなって思ってね。ってか、隣の席なんだね。

飛鳥: そうよ。授業中寝てたら、引っぱたいてあげるから笑

○○: それは怖いな、寝ないようにするよ。

飛鳥: ちなみに日奈子はあそこね。

飛鳥が指さした方向を見ると、日奈子と堀さん達が座って話していた。

○○: 日奈子はあっちか。

飛鳥: 私じゃなくて日奈子が隣の方が良かった?笑

○○: いや、そんなことないよ。ただ日奈子の周りに話せる人がいるなら、僕の方に話に来ることがなくて、静かに過ごせるかなって思って。

飛鳥: 確かにそうかもね。

○○と飛鳥が会話を続けていると、チャイムがなった。

キンコンカンコーン

○○: チャイムが鳴ってるのに、まだ誰も来てない席があるな。

飛鳥: 初日から遅刻とは、中々やる人がいるみたい。

バタバタバタ

ガラガラ!!

??: 危ねー!!ギリギリセーフか!!

○○: お!春時じゃないか!

春時: ○○!!お前も一緒か!!

??: 挨拶は後にして、早く席に着いてね金川君。さもないと遅刻にするわよ。

春時: 了解しました!!すぐに席に座らせて頂きます!!!

ものすごい速度で、春時は空いている席に座った。

??: じゃあ、全員が揃った所で…私はこのクラスの担任をすることになった"高山一実"と言います。1年間よろしくね。

全員が揃ったって言っても、あと1つ空いてる席があるんだけどな。

転校生の席か…

高山: さっそくなんだけど、しぎょうすぃき。いや始業式があるから、みんな体育館に移動してね。

○○: ねぇ飛鳥、これってツッコんだ方がいいのかな。

飛鳥: 笑。やってみたら?

○○: じゃあツッコんでみるか、と行きたいとこだけど、僕以外の人がやってくれるみたいだよ。

春時: 先生!!しぎょうすぃきですね笑!!

高山: もう金川君、ツッコまないでよ笑。私滑舌が悪いから勘弁してね笑

春時: 分かりました!!

○○: だってよ。

飛鳥: 良い先生みたいで良かった。

高山: はーい、みんな移動して。

全員が体育館に移動し始めた。


体育館

校長の話の最中

○○: 相変わらず校長の話は長いな。

飛鳥: ちょっと、余計なことを口にしないでよ、じゃないと…

日奈子: ホントそうだよね!!!全く校長先生は長話が好きなんだから!!!

飛鳥: 手遅れだったか…

日奈子の声が体育館に響き、校長の耳にその声が届く。

校長:あ…スイマセン

日奈子: いや、あの〜

高山: ちょっとそこ。静かにして笑

○○ 日奈子 飛鳥: はい…

高山先生、苦笑い。

校長: これで話を終わります…

校長は肩を落として、ステージからはけて行った。

先生: 次は生徒会長からです。

体育館内の空気が少し引き締まった。

1人の女子生徒が堂々とした様子で壇上に上がった。

流石、生徒会長だな。

会長: 皆さん、おはようございます。生徒会長の"桜井玲香"です。校長先生とは違い、長話は好きではないので、手短に済ませます。

校長の立つ瀬が無いな笑

桜井: 今年度も校則をしっかりと守り、乃木高生徒であることを自覚し行動して、良き学校生活を生徒全員が送れるようにしていきましょう。これで、私からの話を終わります。

そう言って生徒会長は壇上を降りていった。

○○: やっぱ、桜井さんはカッコいい。

飛鳥: だね。


始業式終了後

教室

高山: 委員決めとかは、本当は今日やる予定なんだけど、うちは明日やるね。今日はこれで終わりだから、また明日。さようなら。

そう言うと高山先生は教室を出ていった。

ガヤガヤガヤ

○○: やっと終わったな。

飛鳥: もう、○○のせいで始業式中に注意されたじゃない。

帰る準備を進めていると、隣の飛鳥が話しかけてきた。

○○: ごめんって、でもあれは日奈子のせいじゃん。

飛鳥: いや、日奈子が会話に参加してきたのは○○の言葉がきっかけでしょ。

○○: 確かにそれは、僕も迂闊だったな。日奈子は声が大きいから。

日奈子: なになに!私の話?!

飛鳥: いや日奈子が可愛いねって話。

いや、誤魔化し方笑

日奈子: え、そうかな?○○もそう思う?

○○: うん、そうだね可愛いよ笑。

日奈子: やったぜ!

飛鳥: ふふ。

日奈子: そういえばさ、今から春時も誘って、4人でカフェに行かない?

飛鳥: うん、いいよ。暇だし。

○○: ごめん!僕ちょっと用事があるから。また今度ね。

日奈子: えーその用事ってどうしても今日じゃダメなの?

○○: うん、ごめんね。

父さんに会わないとだから。

日奈子: 分かった!!また今度ね!!あっしゅん行こ!

飛鳥: じゃあね。

○○: うん、また明日。

さてと、父さんに会いに行きますか。


to be continued

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