#112 九月病めいた症状を、「放出する」ことで乗り切った話
つい先日、九月病めいた症状がドスン!と現れた。「何もおもしろくねえなあ」とか「頭にガスがかかっているようだなあ」とか。深みにハマり、鬱っぽくなるような気がしたので、対処法を考えた。たどり着いたのが、汗を出す、声を出す、ゴミを出すというもの。身軽に生きているようでも、おりのようなものは自然と溜まっていくもので、意識的に放出することが大事だと再認識した次第である。
ゴミを出すことは、万人にとって効果的な方法だ。もう、とにかく捨てる。使う使わない抜きに、捨てる。有休をとって、清掃工場に直接持っていく勢いで捨てる。因みに私は、夏休み中に清掃工場と最終処分場に行き、不要なものを捨てた。これはもう年一の恒例行事である。今回捨てたものは、大量のトリセツと若かりし頃の思い出写真、数百枚あったCD。それらが占拠していたウォークイン・クローゼットの一部が開放され、それにともない頭のガスが3割はれた。
汗と声を出すことも効果的だった。アップルウォッチの目標データをもとに、ガンガン走った。昨日の自分に負けるもんかと走った(これは心に負荷をかけるからよくないと思うが)。田舎には誰も通らない秘密のルートが複数あるから、クールダウン時は道すがら、ブッダブランドの人間発電所を熱唱した。無敵の三本マイク、BUDDHA MCである。昔のドラマには、「バカやろー!」と海にて大声で叫ぶというテンプレートが存在したが、あながち悪くない。
IWGPの主人公であるマコトは、「精神が不安定なときこそ、健康的に労働した方がいい」と果物屋である稼業に精を出したが、これは真理だ。日が昇ると同時に働き、飯を食い、日が沈むと同時に寝る。そうか、私は不健康な生活をしていたが故に、九月病めいた症状に襲われたのだなあと、この時気づいた。
生きていれば、スマホのキャッシュが溜まるみたいに、目に見えない何かが溜まっていく。それは無自覚なうちにオーバーフローをし、かけ流しの温泉みたいに、常に満杯の状態になってしまう。だから、スマホのストレージを管理するみたいに、不必要なものは放出・削除していかなければならないのだなあと思う。
ウォークイン・クローゼットには、妻の所持品がまだ大量にある。これを勝手に処分してしまえば、また別な深みにハマってしまう(しかも抜けだせない)ような気がするので、暖簾で目隠しをした。見て見ぬ振りとはよくいうが、知らない方が幸せなこともままある。九月病が十月病にならないようにしようと思った、中秋の名月。
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