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43歳、会社を辞めて一週間温泉に行ってみた その②

 7時起床。美味しい朝食をいただく。
晩ご飯もそうだったが、女将さんはほっかむりのようなものをかぶり、まるで忍者のようなスタイル。客は二組だけなので、受付・部屋の案内・食事などあらゆる業務を女将さんが担っている。忍者のように手際がいい。

最後にひとっ風呂浴び10:00に出発。

2日目 群馬県 奈女沢温泉(釈迦の霊泉)

本日は10年ほど前に「月刊ムー」でも取り上げられていた「釈迦の霊泉」に行くことに。
「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」の「月刊ムー」に取りあげられる温泉。俄然、気分は盛り上がる。
「釈迦の霊泉」からTELが来る。13:30に上毛高原駅前に車で迎えに来てくれるとのこと。

上毛高原駅でバスを降り、昨日チェックしたスーパーマーケットに行く。
散歩がてら途中にある月夜野神社に寄る。
神社は荒れていた。
階段には立ち塞がるような倒木があり、道はボコボコしている。まるで入ってくるなと言われているようだ……。

まるで入ってくるなというような倒木

本殿まで行くと裏側に細かい木彫りの本丸がある。重要文化財らしいが、このほったらし感はなんだ?

神社の奥の方にひっそりとある。彫刻はすばらしい

スーパーに到着。
「釈迦の霊泉」は素泊まりのため、弁当・カップラーメン・納豆・プリンなどを買う。お会計は群馬のクーポンを使用。
なぜかレジのおばさんがザワつく。初めて扱うようだ。
なんとかお会計を済ませ袋詰めしていると、同僚のおばさんにコソコソと「スーパーなんかでクーポン使う人いるんだね」
と言われる。
なんだか恥ずかしくなり、食品を慌てて詰めて足早に店を出る。

上毛高原駅に戻り、立ち食いそば屋で天ぷらそば(生たまご付)を食べ、NEWDAYSでホットコーヒーを買い、駅の待合室でしばし休憩。

生卵が優しく美味い


13:30になり外に出ると「釈迦の霊泉」と横書きされたハイエースが止まっていた。
近づくと、セミロングのヘアスタイルで元バンドマンといった風情のお兄ちゃんが「〇〇様ですね?」と声をかけてきた。
「はい」と緊張気味に返事をし車内に乗り込んだ。
車は猛スピードで進む。
人家は無く、寂しい。
山道の入口にある「釈迦の霊泉」というアーチをくぐると
「ここから私道」
という看板が見えた。
私道ということは、部外者は立ち入り禁止。
ということは、何をしても外部には分からない。知るすべがない。
山道の峠道をずんずんと進む。
しばらく走ると突然雪景色になり、道も凍っているので減速して進む。
途中、巨大な宗教施設が現れる。
柵には六芒星のようなマークが付いている。否が応にも気分が盛り上がる。行ってはいけない場所に行くドキドキ感。
そして、突如車が止まる。
運転席から振り返ったお兄ちゃんはガスマスクをつけている。
心なしか、ニヤリと笑った気がした。
その瞬間、催眠ガスが車内に充満し意識が遠のいていく……。
気が付くと鎖で手足を拘束され、チェーンソーを持った男が隣に立っていた……
という展開にはならず、無事に到着した。
車に乗っている間はこんな妄想し、ムダにドキドキしていた。
楽しすぎる。
宿はトキワ荘のような造りで、私は「まんが道」の満賀道雄になった錯覚を受けた。余談だが私はメガネでも丸坊主でもない。
優しそうなおばさん二人が出迎えてくれ宿の説明を受ける。さっそくお風呂をいただく。

和風の部屋にベッド。実家のようで落ち着く
広々とした休憩所
浴室はキレイ。ミストサウナもあり
ありがたく御神水をゴクゴクいただく


温泉に入る前に御神水をたくさん飲み、さらにペットボトルに汲んで飲みながら入れと説明を受けたのでその通りにする。
ぬるめのお湯なので永遠と入っていられる。
キモチイイ~~~!!
肌もツルツルだ。ミストサウナもあり一時間ほど過ごす。
客は私一人だった。
その後、2セット入り、夕食はカップ麺・鶏重弁当・ポテトサラダ・納豆・もずくを食べる。23:00就寝。

スーパーから調達した食事。統一感がない

夜中の1:00、尿意で目を覚ます。
トイレは部屋の中に無く、廊下の奥だ。
しかも電気が消えている。
泊まり客は自分ひとりで、廊下が暗く造りもトキワ荘風なので怖い。
だが午前3時の丑三つ時には絶対に起きたくない(なんか見てはいけないものを見てしまいそうな時間帯だから)のでガマンして手早く行く。
こんな時に限って尿が長い。
止まらない。
逃げるようにベッドに潜り込む。

昼は電気が点いているが、夜は消えていて真っ暗だった……
流しで歯磨き。実にトキワ荘風だ
トイレの中も夜は暗い

時計を見ると午前3時。
目が覚める。
見つめる天井の端に蛍が飛んでいる。
へぇ~群馬の山奥は冬でも蛍がいるのかぁ、と思っていると外で車のクラクションが3回鳴りハッとする。
よく見ると蛍だと思っていた光はエアコンの点灯だった。
しかし、あきらかに光が動いていたのだが……。
それに、あのクラクションはなに……?
疑問が頭の中をグルグル回るが、温泉の疲れもあり、尿意もなく、そのまま泥のように眠る。

6:30に起床。2セット温泉に入り、ゆっくりと10:00にチェックアウトする。
駅までは女将が送ってくれるとのこと。
小さい女将が4駆を巧みにあやつり峠を攻める。
ドライビングテクニックは確かだ。
下山途中にある大きな施設を横目に
「この施設は信者の皆さんが寝泊まりするところですか?」
と聞いてみると
「娘と息子が住んでるのよ」
と。
山のお城のような真っ白の大きなお家。
宿泊所は年季の入ったトキワ荘のようだが……そのアンバランスさがいい。
女将、相当儲けてるなと思った。

女将が4駆で颯爽と去り(窓から手を振って去っていったのが印象的)、上牧駅でしばらく電車を待つ。
次の目的地は大塚温泉だ。

上牧駅。寒さに震えて電車を待つ

その3に続く




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