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プロセスはプロセスである〜インセプションデッキ作成を通して感じたこと〜

なぜ「それ」をやるのか

今週はインセプションデッキ作成のお手伝いをする機会が2回あった。


「プロジェクトの向かう先」についてチームの方向性を揃えるデッキで、作り上げたもの自体以上に作り上げるプロセスが大切だと私は考えている。
互いの価値観、得意分野の違いから自然と発生する方向性の相違。
それを対話しながら整えていくこと自体に大きな価値がある。
異論はあるかもしれないが、全ての項目が埋まらずとも対話し相互理解することができたならば、それは意義のあるインセプションデッキだと思う。

片方のチームは、外部(といっても社内の人間だが)のファシリテーターのコントロールから早々に逸脱した。
前提の段階からズレがあったので、それは事前共有などしているべきだった。
ある程度インセプションデッキの「型」にはめようとするファシリテーターと、対話でチームの抱えている課題やビジョンを掘り下げようとするチーム。
おそらくファシリテーターは大変だったとおもうが、その一種の緊張関係が結果としてよい方向に作用したと見ている。
型に嵌り表面をなぞった「われわれはなぜここにいるのか」に陥ることなく、かといって当初の目的から大きく逸脱はせず「チームの方向性を整える」というところに着地する。
いや、「方向性を整える」から一歩進み、「向かうべき先を明らかにする」ところまでいけた。
メンバーたちのすっきりとした、意思のこもった目がこのプロセスの成功を物語っていた。

対話、対話、対話

この成功を目の当たりにしていたため、2つ目のチームでははなから対話による深掘りへと向かうよう水をむけた。
「やらないことリスト」ではペイオフマトリクスをベースに対話がなされたが、ここでも「リストを完成させること」ではなく「チームがパフォーマンスを発揮するためにできること」という視点で対話が続けられた。
事前に「偏愛マップ」で人となりを共有していたのもよかったかもしれない。

このチームは途中から相互の対話が活性化し、ファシリテーターのテコ入れはほぼ必要ない状態になった。商売あがったりである。

デッキを埋めることは目的ではない。プロセスはプロセス。
本当に達成したいことを描きながら行動することの重要さ、そしてその効果の大きさを再確認した出来事だった。

で、バリュー出してんの?

そして、なにより大切なのは「バリューを出すこと」だ。
方向性を揃えることでチームは強くなっただろう。
しかし、なぜチームは強くならなければならないのか?

これはもう、「バリューを出すため」にほかならない。
プロセスはプロセスでしかなく、プロセスばかり上達しても世の中は変わらない。
プロセスにより「強くなった」と実感したチームが次に向かうのはアウトプット志向。バリューを出すことにこだわるジャーニーが始まる。
そしてファシリテーター的な役割を請け負うことが多い私としては、チームが強くなったあと、バリューを出せるようになり実際にバリューを出すまでジャーニーをともにしたい、ということを願っている。

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