エンジニアリングマネージャーとしての在り方に悩んだら「エレガントパズル」を読むといい
エンジニアのマネジメントという難問
岩瀬義昌さんの翻訳により、ついにエレガントパズルの日本語版が登場しました。書籍「スタッフエンジニア」の著者であるウィル・ラーソンが同書の前に執筆していた一冊で、スタッフエンジニアの中でもエレガントパズルは紹介されていました。スタッフエンジニアを読んだエンジニアリングマネージャーたちは、きっと本書の邦訳を心待ちにしていたのではないでしょうか。
幸運なことに「エレガントパズル」の翻訳レビューに関わる機会があり、出版前に一通り読んではいたのですが、あらためて完成した書籍を読み、これは現場で思い悩むEMの多くの悩みを解決してくれそうだな・・・と感じたので、そのポイントを書いておこうとおもいます。
おすすめポイント1 エンジニアチームの観点で組織づくりについて解説されている
第2賞「組織」では、成長するチームの4段階、チームファーストに徹する、といった内容が含まれています。
いかにして負債を返済していくのか、急激に組織が変化していく中でどう対応していくべきなのか。また、たくさんの問題が横たわっている場合、どのような順番で向き合っていくとよいのか。
チームがどのような成果を出せているかを起点にチームの状態を判断するというのは、多くの現場で参考にできるものです。
おすすめポイント2 チェンジマネジメントについて突っ込んだ話をしている
第3章「ツール」の主題はチェンジマネジメントです。急速に成長する組織ではマイグレーションは避けては通れないものですが、そのときに「どうしてもっと先を見越して設計しておかなかったんだろう・・・」という自責の念にとらわれてしまったりしまいます。けれども本書では、そうなっていることは適切なんだよ、と解説しています。
チェンジマネジメント、変化をしかけていくということには一定の過去の否定が伴い、自分の過去の意思決定に痂皮があるのでは、という気持ちを喚起してしまいます。それが変化の足を鈍らせる要因にもなるわけですが、本書ではそうではない、とはっきり伝えてくれています。
おすすめポイント3 継続的な変化を後押ししてくれる
「多くの場合、『最高の変化』とは気づかれない変化である」というフレーズや、ビジョンの文書化は一貫性よりも有用性を優先しようという主張、正しい解決策を選び続けるよりも安価な検証をうまくできることのほうが信頼に足るよね、という解説が、変化を後押ししてくれます。
また、変化していく際には目指すゴールが重要な役割を果たすわけですが、そのゴールの設定に対して以下の4つのポイントが紹介されており、とても有用だと感じました。
ターゲット
ベースライン
トレンド
タイムフレーム
おすすめポイント4 耳の痛いことを言ってくれる
本書では、物事を進めるときに例外を作らない、「もっと頑張る」で乗り切るヒーローを育む環境はつくらない、ノーを伝える、など「わかっちゃいるけどなかなかできない」ことが、やはりやるべきことであることを厳格に伝えています。
ある種の居心地悪さと同居するこれらのアクションを避けると、組織的な認知負荷がどうしようもないほど増大したり、誤ったメッセージを送ってしまったりということにつながる。「サーバントリーダーシップだから後方支援で成長を見守る」ではなく、マネージャーとして先導しなければならないことがらについてはっきりと示されています。耳が痛い。でもやるんだよ。
悩めるエンジニアリングマネージャーのみなさん、ぜひご一読ください!
翻訳レビューを経て改めて読んで、これはEMが読むべき一冊だと感じた私のおすすめポイントは、ざっと上記のとおりでした。これらのキーワードでひっかかるところがあった方は、ぜひご一読ください。
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