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STマイクロ SiCウェーハ製造の理由

STマイクロエレクトロニクス、初のSiCウェハ製造を発表

🟩SiC生産能力の向上へ

SiC(炭化ケイ素)200mmウェハは、150mmウェハと比較してほぼ2倍の面積をチップの製造に使用することができ、1.8倍~1.9倍の良品チップを製造することができます。パワー・エレクトロニクスの小型・軽量化、高効率化、および低コスト化へ貢献するはニーズが高い車載・産業分野の需要増加に対応できます。

SiCの特徴

SiC(炭化ケイ素)は、Si(シリコン)を上回る性能や効率を発揮する化合物半導体材料です。SiCパワー半導体は電流導通時、スイッチング時の双方のエネルギー損失低減を実現できる特徴を持っています。

🟩SiCデバイスへの流れ

EVの需要

EVの航続距離増加のため、SiCパワー半導体がパワーエレクトロニクス業界で焦点となっていた。現在STマイクロはテスラのEVにSiCパワー半導体を量産供給し、SiCウェーハの安定調達へ長期供給契約もしている。ただしシリコンとの価格差が大きいため、EVでもフラグシップモデルからSiCを採用していく流れになっている。

自社でウェーハ開発

STマイクロエレクトロニクスは2019年に買収したノルショーピン(スウェーデン)のSiCウェーハメーカーであるノルステルのノウハウによって200mm SiCウェハを製造した。200mm SiCウェハへの移行には品質課題への対応に加え、製造装置や製造をサポートするエコシステムの全体的な性能向上が必要でST自ら主導して進めている。

歩留まりの改善

STの200mm SiCウェハは高い品質を備えると共に、歩留まりに影響する不良や結晶転位による欠陥が最小に抑えられているという。一般的にSiCはウェーハの品質がシリコンには及ばず量産に向いていないといわれた。品質が向上し200mmウェハへの移行すれば、生産能力が向上し普及に弾みがつく。

🟩まとめ

STはSiCウェハ大口径化により、生産量増加とコストダウンを狙う

ウェーハの大口径化には多額の設備投資を要するためリスクは高いが、5年後、10年後を考えるとコスト競争力に圧倒的な差になってくると予想される。日本勢もスピード感をもって投資に踏み切って、お家芸であるパワー半導体の地位を死守してほしい。

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