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「NOR型」メモリー価格上昇の原因

「NOR型」フラッシュメモリーの価格が上昇している

🟩前年同期比で約50%上昇

値上がりは2四半期連続で、前年同期と比べた上昇率は48%なる。代表品種のSPIタイプの256MB品は4~6月の取引価格が1個1.63ドル前後。1~3月に比べて0.4ドルほど高い。

🟩スマホの有機ELパネルの需要

スマートフォンは新興市場での不振は続くが、経済再開が進む欧米市場では高機能品の販売が好調である。韓国サムスン電子を筆頭にスマホメーカーの有機ELパネルの採用が進んでいる。米アップルは最新のiPhone12で、ディスプレーを液晶から画像が鮮明に映る有機パネルに全面的に切り替えた。この有機ELパネルには「NOR型」メモリーが使われているため需要などが伸びている、

🟩「NOR型」が使われる理由

NOR型は容量が小さいものの、データの読み出し速度が速く制御機器向けの需要は根強い。Bluetoothワイヤレスイヤホンや自動車などのIoT機器が代表製品である。また有機ELディスプレイはパネルのムラをとる制御向けにNOR型メモリが使われる。

NORの代表サイズ
 Bluetoothイヤホン:16/64/128MB
 IoT機器:8/16/32MB
 有機ELディスプレイ: 4/8MB

🟩「NOR型」は古いプロセス

NOR型に比べて容量が桁違いに大きいNAND型メモリーが普及したことで、大手メーカーはNOR型メモリーから次々と撤退した。現在ではフラッシュメモリー市場でのNOR型のシェアは3~4%程度となっている。

製造技術の面では、NOR型メモリー製品の主流プロセスは65nm~50nmノードであり、数世代前のプロセスを使用している。更に低密度NORフラッシュ製品では、まだ65nm以上の更に古いプロセスを使っている。

NORの代表プロセス
 旺宏電子(マクロニクス):55nm
 華邦電子(ウィンボンド):58nm or 90nm
 北京兆易創新科技(​ギガデバイス):55nm or 65nm

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https://www.trendforce.com/presscenter/news/20200617-10351.html

米政府の中芯国際集成電路製造(SMIC)に対する事実上の禁輸措置により、北京兆易創新科技(​ギガデバイス)のNOR型の生産委託は手控えざるを得なくなっている。その不足を埋めるため、旺宏電子(マクロニクス)や華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)など台湾メーカーへ注文が集中している。こういったことが供給不足に拍車をかけている。

🟩まとめ

「NOR型」メモリー価格上昇の原因は、有機ELディスプレイスマホ需要と台湾NORメーカーへ注文が集中しているため

NOR型メモリーの不足が長期化すれば、スマホに製造にも半導体不足の影響が顕著に表れるでしょう。

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