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ソーシャルネットワーキングサービス

ソーシャル・ネットワーキング・サービスとは、Web上で社会的ネットワークを構築可能にするサービスである。英語圏では "SNS" という頭字語は日常の会話で用いられておらず、social mediaや単にsocialなどと呼ぶ。

Wikipedia『SNS』より抜粋

コンカフェ事業に於いて最も利用されている宣伝ツールはSNSであり、中でもTwitterは最もポピュラーなSNSとして利用されています。理由は言うまでもなく、店舗を利用する客層が使用しているSNSの中では最も数が多いからです。これを10代20代の働き手側であるコンカフェキャストだけに絞って言えば、プライベートで使用している数が最も多いのはInstagramになるのですが、実際にコンカフェに来る客層と、その客層に対する効果的なSNSという事を加味して考えると、必然的に選択肢はTwitter一択となる訳です。今回はこの辺りの“歪み”から始まるお話をしたいと思います。

オタクとコンカフェキャストとSNS

オタク達とTwitterの相性が良い理由は、好きな物事について語る事が出来たり、好きな物事に関する情報をリアルタイムで収集出来たり、好きなアーティストや創作家に対し自分のメッセージを気軽に送れたりする所ですよね。一般的には「誰とでも気軽に交流できる」という点がSNSの強みですが、オタク達の殆どはそれほど社交的ではありません。利用用途は情報収集がメインですし、交流は限られた仲間内でのクローズドなものが多いです。見ず知らずの誰とでも繋がれるSNSですが、オタク達にとって重要なのはそこではないのです。


コンカフェ運営にとって基本となる宣伝ツール

多くのコンカフェにはオフィシャルホームページがありません。必要がないと言った方が正しいのかも知れません。ホームページの代わりにあるのがTwitterのアカウントであり、宣伝広告は全てTwitter上で完結します。広告のメインターゲットである客層は常時Twitter上に存在し、ダイレクトに宣伝を行えます。

グッズなどを通信販売する場合でも、自社でECサイトを立ち上げる必要はなく、BASEやBOOTHなどのアカウントへのリンクを貼るだけで済みます。その他のSNSやYouTubeのアカウントへのリンクをまとめたページさえ用意すれば事足りるという訳です。導線的にも『物販購入』『情報収集』『交流』の全てが集約されているのがTwitterであり、プラットフォーム的な役割を担っています。

そんなTwitterの運用の仕方ひとつとっても、店によって大きく異なってきます。有効的に利用している店もあれば、ただ出勤情報をbot的に投稿するだけの店もあり様々で、また自店のキャストに対するSNS利用のルールの在り方も様々です。


店舗によるTwitter運用方法の比較

Twitterにおけるキーポイントは主に三点。

・フォローバックの可否
・リプライの可否
・いいねの可否

貪欲なオタク達に対して効果的な営業を行う為に必要なTwitter上の機能が使えるか使えないのか、これらの組み合わせが変わってきます。


①相互フォロー&自由発信型
客へのフォローバックを自由とし、リプライやいいねなどの行動に対する規制もない自由な店。

【メリット】
承認欲求の強い客に効果的。客層の動向が目に入りやすい。客と自由に交流ができる。

【デメリット】
暗黙的に存在する『FF比マウント』に対抗できない。これの対抗策としてメイン垢と相互垢をわざわざ分けているキャストも多数居る程。客の必要のない情報まで目に入り、また反応に時間を割かれる。


②非相互フォロー&発信規制型
客へのフォローバックや自発的なリプライ送信は出来ないが、リプライに対する返信やいいねは可能なタイプの店。

【メリット】
『FF比マウント』的にも見栄えが良い。客の動向などの情報が入ってこない。

【デメリット】
営業したい客に対して自由にリプライ送信が出来ない。鍵垢に対して何も出来ない。


③非相互フォロー&完全行動規制型
客へのフォローバックを始め、リプライ送信やいいねなど一切の反応を禁止しているタイプの店。

【メリット】
『FF比マウント』的にも見栄えが良い。客の動向などの情報が入ってこない。また客への反応に時間を割かれることがない。

【デメリット】
営業したい客に対して自由にリプライ送信やいいねが出来ない。鍵垢に対して何も出来ない。承認欲求の高い客に営業出来ない。


主に上記の三つのタイプに分かれるのですが、中には変則的なタイプ、例えば②でもリプライに対する返信も禁止でいいねでの反応のみが許されているタイプもあったりします。どの機能も使い方によっては諸刃の刃に成りうる為、一概には何が良いとは言い切れません。

具体的な例を挙げると、精神的に強くないキャストは客の発言に病んでしまうことが多々あります。客の何気ない発言や少しの悪意に引っ張られて気を病む子にとっては、それが明確な敵意を持った攻撃的発言だった場合には、心を壊してしまう危険性があります。そういったキャストには相互フォローは絶対に向かないと言えるでしょう。デメリットしかありません。

『①相互フォロー&自由発信型』はSNSが得意なキャストにとっては大きな武器となりますが、そうではないキャストにとっては重い足枷となります。逆に『③非相互フォロー&完全行動規制型』はSNSが得意なキャストにとっては非常に身動きが取りづらい環境と言えます。

バランス的にはやはり、『②非相互フォロー&発信規制型』が運用しやすいのかなという印象が強いです。キャストのTLが乱雑になりませんし、客に対してはフォローはしなくてもリストで見れば済む話ですし、リプライやいいねなどは自己判断で適度に反応していくのが一番良いのかなと思っています。DMに関しては無い方が楽そうですが、個人的な営業をよくするキャストにとっては有効なツールだとも思います。


キャストと客の間にある歪み

客にとってはリアルなアカウント(プライベートアカウントがあっても利用頻度的にはオタクアカウントがメインアカウントとなっている場合が多い)であっても、キャストにとってはただの『営業用アカウント』である場合が圧倒的に多いです。客にとっては『趣味』、キャストにとっては『仕事』。この温度差が時に歪みとなって見えてくることもあります。

対価を支払わずして何かを得ようとする客達の『自覚のない悪意』に苦しむキャストも多いです。リプライ、いいね、DM、様々な要求が勤務時間外のキャスト達にのしかかります。営業の手段が増えることに比例して、そのリスクも増えていくということです。中にはそういったリスクをも苦とは思わず、楽しみとして昇華しているキャストも居ますが、極めて稀なケースです。

コンカフェキャストをまるで友達か何かかの様に錯覚してしまう『距離感誤認』は、客とキャスト双方に起こりやすい対人接客型萌産業ビジネス特有の現象であり、中でも初心者に特に起こりやすいです。この現象を放っておくと破滅的な共依存に陥ってしまう恐れがある為、距離感には注意が必要です。


まとめ

何気ないSNSの使い方ひとつとっても、その人の性格や人と成りがよく表れるものです。倫理観、ユーモア、語彙、教養、美的センス、コミュニケーション能力、そしてなにより人を寄せ付ける魅力。欲や怒りなどのマイナスの魅力も然り。

コンカフェ運営やコンカフェキャスト達は、基本的には営業的な側面でのSNS運用が苦手である傾向が強いです。自己プロデュースが不得意な印象が強いです。そもそもTwitterが苦手だと公言するキャストも多いです。彼女達が日常的に利用しているのはInstagramでしょうし、若いキャストに至ってはコンカフェキャストになるまでTwitterを使ったことがなかったと言うキャストも居るくらいです。

そういった業界だからこそ、運用の仕方が上手い人が目立ちやすいですし、宣伝が効果的であると見ていて実感できます。上手いと言うのは別にフォロワーが多いという意味ではなく、自身に関する発信力の高さという意味です。そういったスキルの有無も含めてタイムラインを観察してみるのもまた面白いかも知れません。

何気なく放ったたった一言が誰かの地雷を踏む。直接顔を合わせない分、その真意が伝わらないまま、簡単に破綻してしまう人間関係。それもまたSNSの側面のひとつです。

皆さんはどんな使い方をしていますか?私はしょうもないことばかり書いています。ふざけるのと真剣なのをバランスよくがモットーです。人を傷付けるのが怖いので鍵を掛けていますが。見た人に考えさせるツイートをもっとしていきたいです。それでは今回はこの辺で。

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