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コンカフェライフスターターパック

「あ、そうだ。コンカフェに行ってみよう。」


と、それまでコンカフェに行ったことのない人がそう思い立つことはなかなかありません。普通に生きてきた人ならばまず思い浮かぶことのない発想でしょう。これはオタク文化全般に言えることですが、オタクと非オタクとの間にある壁は意外と高いものです。オタク達の日常は非オタク達の非日常。文化の違いが見えない壁となって立ちはだかっています。

分かりやすい例を挙げるならば、成人が「アニメが好き」と言うだけで、訝しげな眼差しを向けられることがありますよね。人は自身が理解できない物事に対して、否定や拒絶という反応を先行させてしまいがちです。

そういう人達は恐らく「メイド喫茶に行く」という人に対して「気持ち悪い。いい年した大人が萌え~とか言うんでしょ?」的な反応を見せるでしょう。もちろん皆が皆そうではないとは思いますが、そういったイメージを持っている人達は決して少なくないと思います。こういった認識のズレが、両者の間にある壁の高さを物語っています。

メディアではここ二十年以上に渡り『ネルシャツ・バンダナ・メガネ・デニム』といったステレオタイプなオタク像を登場させ続けていますが、現実にはそんなオタクは存在しません。存在しないのにも関わらず使われ続けている理由は、それがあまりにも分かりやすいイメージだからです。これが『オタク=ダサくて気持ち悪い』という共通認識を根強く残し続けている原因でもあり、オタク文化そのものに対するネガティブキャンペーンのような嫌いがある気がしてなりません。

まぁ実際オタクは気持ち悪いのですが。

ただ、オタクの事を気持ち悪いと言っていいのは我々オタク達自身のみです。非オタクの人達が言ってもいいことでは決してありません。許されるのは自虐のみです。ニ◯ーという言葉を使うことが許されているのは黒人達だけであるのと同じです。無闇矢鱈と悪いイメージを植え付けるメディアには中指を立てたいです。

前置きが長くなりましたがコンカフェの話です。
初めてコンカフェに行く際の心得のお話。


初めてのコンカフェ

誰しもが経験する初めてのコンカフェ訪問。
皆さんは覚えていますでしょうか?

初めてコンカフェに行く動機として考えられるのは、

・SNSで見て興味を持った
・ビラ配りで興味を持った
・好きな活動者がゲスト出勤をした
・友達に誘われた
・友達が働き始めた

概ねこのいずれかに当て嵌まると思います。中でもSNSに関して言えば、店の宣伝及び集客のツールがほぼTwitterで完結している店がほとんどを占めており、またキャスト個人の表現の場としても、Twitter・Instagram・TikTokといった主要SNSで完結しています。そういったことから、私の体感では来店動機の半分以上はSNSを見ての来店だと思います。

「この子かわいいな」
「この子の感性はおもしろいな」
「実際に会って話してみたいな」

SNSで見て気になった人物に実際に会いに行ける。
これがコンセプトカフェの良い所ですよね。
地下アイドルと同じ感覚で会いに行く事が出来ます。

でも、オタク文化に慣れていない人にとっては、実際に店舗に足を運ぶ事は非常に高いハードルです。勝手が分からない事に対する不安や、そういった空間に足を踏み入れる事への恥ずかしさが好奇心を上回ってしまいます。そういった人達に対して不安を取り除くことが出来る内容の記事を書いてみたい、というのが今回のテーマです。


店舗による料金システムの違い

・チャージ制
・飲み放題制
・チャージ or 飲み放題選択制

基本的にはこの三種類で、それ以外では稀にノンチャージ制の店やファーストチャージのみの店があるくらいです。チャージ制の店の多くは60分毎にチャージ料金が加算され、その都度ドリンクをワンオーダー求められるという形です。

飲み放題の場合は、ノンアルコール飲料とアルコール飲料の2コースが用意されている事が多いです。店によっては60分間であったり、40分間であったりと様々です。

初めてコンカフェに行く際に気になる事として「いったいいくら持っていけばエエんや?」という疑問を持たれる方も多いと思います。

行って飲み物を飲んで帰るだけならば2,000円もあれば充分ですが、せっかく普通のカフェではないコンセプトカフェに来た以上、そこでしか出来ない楽しみ方をして帰った方が良いに決まっています。

コンセプトカフェにあって普通のカフェに無いもの。それは『チェキ撮影』と『キャストドリンク』です。この二つは便宜上それぞれが【キャストを写したチェキを販売する】【キャストに対して自費でドリンクを提供する】という行為に対して料金を支払うという形になっていますが、【それに付随する形で交流する時間そのものを買う】というのが本質としてあります。その為の建前として存在するサービス(メニュー)です。もちろん、チェキそのものをコレクションして楽しんでいる人達も居ます。

チェキ撮影やキャストドリンクの相場は1,000円前後となっており、そのいずれかを注文する場合だと予算は3,000円となり、両方を注文する場合は4,000円の予算が必要となってくるでしょう。お店によっては新規客に向けたパック料金を用意している所もあり、その場合はもう少し安く抑えられるかも知れません。

基本的には『3,000円あれば楽しめる』という認識で大丈夫です。

初めての来店で『推し』が出来たりすると、二回目以降の来店時には楽しみ方も変わっていき、次第に使用する金額も変わっていくことになります。その気持ちの熱量によっては『独占欲』『推し被り敵視』という感情も相まって、高額使用をマウントし合う客同士の課金レースに巻き込まれていくという『沼』に陥ってしまう事もありますが、初めてコンカフェを利用する人達には関係のないことです。3,000円あれば充分です。

『チェキ撮影』や『キャストドリンク』に限らず、店によっては様々なメニューが用意されており、他店との差別化が図られています。そういった違いを楽しむことも、コンカフェ利用の醍醐味のひとつとなっています。


コンカフェに行く際に心得ておくべきこと

「初めて行く時って何に気をつければエエんや?」

と思う人もいるかも知れませんが、そんなに構える必要は特にありません。普通にしていれば然程困ることもないと思います。あえて挙げるとすれば『世界観を受け入れる寛容な心を持つ』ということくらいです。「なんやねんそのコンセプト。しょーもないな。」などと思うのは不粋ですので、何でも素直に受け入れましょう。恥ずかしがることが何よりも損です。

【失敗を招きやすい人達の傾向と対策】

①SNS投稿を鵜呑みにしやすい人は要注意です。キャストの自撮り画像を見てかわいいと興味を持つことは一向に構いませんが、実物がその通りであるとは限りません。多くの場合、SNSで見る人物像とはかけ離れた容姿のキャストがそこに居ます。「◯◯ちゃんは居ますか?」と本人に聞いてしまうという悲しい事件がコンカフェではよく起こります。「顔がかわいくても会話が全然面白くなかった」「性格が悪そうだった」なんてこともよくあることです。そういう意味での覚悟がある程度必要となってきます。

②他者との距離感を上手く掴めないタイプの人も要注意です。コンカフェキャストはその名が示す通り、コンセプトカフェという空間を構成する演者(キャスト)です。友達でもなければ口説いていい相手でもありません。対価を支払って初めて、その時間だけ交流が出来る人達です。適切な距離感とリスペクトを持って接する必要があります。

③過度な期待を抱き過ぎる人も要注意です。先述の通り、コンカフェキャストは『会話を出来る時間を売る人達』という側面がありますが、皆が接客技術に長けたプロという訳ではありません。システム的にそうであるだけであって、接客の技術自体はキャストによって差があります。加えて業界的に年齢層も低く、接客経験のない人達が多く集まりやすい傾向があります。中には一般常識すら持ち合わせていないキャストもおり、それに対して不快に感じてしまう人達も出てくるでしょう。コンカフェでは接客に過度な期待はせず、失礼なことすらもかわいらしいと看過できる優しさが必要です。

※ちなみに私は看過出来ないタイプの人間です。もちろんその場で怒ったりはしませんが、とても辛辣な評価を平気で与えてしまいます。コンカフェキャストは特別な子であって欲しいので、その辺にいる女の子が軽いノリで始めました!みたいなキャストには接客されたくはないというのが正直な気持ちです。誰でもいい訳では決してないのです。

④目当てのキャストが予め居る場合は要注意です。店によっては最初に伝える方が良い場合もあります。最悪の場合、目当ての子と話せずに終わってしまう可能性があります。良心的な店だと『来店したお客さんとは必ず一度は挨拶をしに行く』という方針を設けている為、待っていれば目当ての子と必ず話す機会がありますが、店によってはそういった方針が無いところもあります。客側の心理としては、「一度も話したことのない子にいきなりチェキ等を注文して呼びつけるよりも、席に回って来た際に挨拶や会話をした上で本人に注文したい。」と思うのが極めて自然で普通ではありますが、どうしてもその日に確実に接触したいと願う人は最初にその旨を伝える必要があるでしょう。

※私はあまりそうしたくはないので大人しく待っている派です。ファーストコンタクトにもドラマ性を求めてしまうので、会話をした上で自然にキャストドリンク等を注文したいです。

⑤孤独な時間も楽しめる人でない場合も要注意です。コンカフェに於いてはいくら多人数のキャストが出勤していようと、目の前に誰も居ない時間が必ず発生します。その理由として、重課金者の席に優先してキャストが集まるという不文律がある事が挙げられます。それを理解した上で孤独な時間を耐えて過ごすことの出来る忍耐が必要となります。

⑥非喫煙者、特に嫌煙家の人も要注意です。健康増進法や受動喫煙防止条例を無視した店舗がコンカフェには未だに多いです。かわいい内装やかわいいキャストが居る空間に似つかわしくないタバコの煙が漂う、という光景が見られることがあります。こういった情報は一見SNSなどでは確認することが出来ないことが多いので、入念な下調べが必要となります。受動喫煙をしないという人達はその権利を死守しましょう。

⑦キャストとの会話を充分に楽しみたいという人も要注意です。これはその人自身がというよりも、他客に対して気をつける必要があるというケースです。多くの店では、キャストのみがリクエストを受けてカラオケを歌う『歌リク』というメニューがありますが、店によっては客がカラオケを歌えることがあります。察しの良い人は既にお分かりでしょうが、カラオケ好きの客が店に居る場合は、滞在中のほとんどの時間を歌唱に費やす為、どの席でも会話が困難な状況に陥ります。ですので、キャストとの会話を誰にも邪魔されたくないというタイプの人は、カラオケの有無を把握しておく必要があります。

⑧周囲の人間が作り出す雰囲気に敏感な人も要注意です。自身と推ししか見えていない人には関係ありませんが、店やエリアによっては客層が大きく変わります。静かで大人しい人ばかりの店もあれば、うるさい酔っぱらいばかりの店もあります。あと気をつけなければいけないのは、一般社会からはみ出した人達にも簡単に遭遇してしまうという事です。異臭を漂わせている人、テーブル一杯に人形を並べている人など、世間的には「ヤバい」と評されるような魑魅魍魎が跋扈する世界です。いちいち驚いてしまうようでは体が持ちません。雰囲気を重要視するタイプの人は、キャストの層から客層を推測し見極める必要があります。


まとめ

初めて訪れる店のタイプによって、その人の中での『コンカフェの基準』が形作られると思います。最初に良くない店に行ってしまうとそれが基準となり、その人にとってはそれが当たり前となる訳です。ですので、可能な限り最初に色々な店に行ってみることを私はお勧めします。比較して初めて分かることも多いと思いますし、どういう店が自分に合うのかというのも人それぞれだからです。ある人にとっての悪いものが、また違うある人にとっての良いものであることも多々あります。

3,000円を握りしめてその店がどういう店かを確かめに行く。それくらいの感覚がいいのかも知れません。好きな店や推しを見つけてからがコンカフェ遊びのスタートです。気になった店やキャストが居たらすぐに会いに行ってみましょう。実際に足を運ぶことで思わぬ出会いがあるかも知れません。そういう面白さもまたコンカフェの醍醐味だと思います。

「じゃあオススメの店を教えてや?」

と聞かれるかも知れません。ここまで書いておいてなんですが、オススメの店は特にありません。と言うよりも、理想的なお店が存在しないと言った方が正しいのかも知れません。普段利用している店はいくつもあるのですが、どの店にも嫌いな要素が必ずあり、いまいち馴染めないまま利用し続けているという現状があります。

例えばそれは『かわいい子が多いけれど喫煙可能店である』であったり『楽しい店ではあるが客層がキツ過ぎる』であったりします。心から安らげる店を探し求めてコンカフェに行き続ける生活、いつか終わりが訪れる日が来ると信じて今日もまたまだ見ぬコンカフェに思いを馳せるのです。

本当の事を言うと、私はコンカフェキャストやコンカフェ客、そして経営者など業界全体に対する『Watcher』として楽しんでいるので、店がおもしろければそれで良いですし、おもしろくなくてもおもしろおかしく文句を言えればそれで良いので、理想のお店を探している訳では決してありません。嘘をつきました。ごめんなさい。

コンカフェは本当におもしろいです。

少女達とオジサンを中心とするオタク達、あくどい運営、そして一般人までをも巻き込んで繰り広げられる、ありとあらゆる欲が蠢く混沌が産み出す至極のエンターテインメント。こんなにおもしろいものは中々ありません。邪道かも知れませんが、これが私の楽しみ方です。

おすすめは出来ない楽しみ方なので、決して真似をしないようにしてください。推しから元気や癒やしを貰い、仕事やプライベートへの活力とする。皆さんにはそんな楽しみ方を満喫して貰えればと思います。ただし、のめり込みには要注意。ガチ恋、全肯定、重課金の三連コンボにより「わざわざお金を払って苦しみに行く人」にならないように気を付けてください。依存厳禁。御利用は計画的に。適度な距離感で、適度なコンカフェライフを。

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