帰れたり、帰れなかったり

走る街を見下ろして のんびり雲が泳いでく
僕は歩いて帰ろう 今日は歩いて帰ろう

歩いて帰ろう / 斉藤和義

地球の上に夜が来る 僕はいま 家路を急ぐ
世界中に夜が来る 世界中が家路を急ぐ

Bob Lennon / 浦沢直樹

 私が受け取った主題の距離が近いので、歩いて帰ろう(斉藤和義)、Bob Lennon(浦沢直樹)、新世界より(の、家路)をだいたい同じものだと思っているふしがある。

 あと、色あいとして梨本P「惨事のハニー」「リピート」が頭の中で近い場所にあって、数珠つなぎに思い出されたりする。そこまでいくと、Life is Strangeの「Obstacles」も出てくる。これは完全に作品に引っ張られている。私の中でこれらは、どうしようもないことがどうしようもなく過ぎ去ったあとのエンドロールに流れている、へんに懐かしく気楽なメロディ……というくくりでもある。主題歌はのんきであればあるほど、悲しい。

ハニー 君が好きだよ 声を大にして言おう
どーか想いが届きますよーに あぁ
ハニー いつかそっちへつれてっておくれ
いつまでも 待ってるよ どーかそれまで醒めないで

ハニー

惨事のハニー / 梨本うい

そんなことばかり今も考える
そんなことばかり今も思い出す
そんなことばかり今も考える
そんなことばかり

リピート / 梨本うい

 そんななか、ずっと忘れられないのがデスノート劇場版オリジナルの「L change the WorLd」だったりもする。思えば二〇世紀少年もおおむねこのあたりに放映してて、幼心に残ったんだろうな。

「真希ちゃん、お帰り。いい一日だった?」
「真希さん、おかえりなさい。
 明日も、いい一日にしてください。」

映画「L change the WorLd」作中せりふより

 同時期に考えていたこと同士がつながっているパターンもある。もうあまり「近い」「似ている」とは言えなくなってきたが、これも頭の中ではご近所にいる。

「さよなら、わたし。さよなら、たましい。もう二度と会うことはないでしょう」

伊藤計劃『ハーモニー』

 帰れたり、帰れなかったり、帰ろうとしたり、帰るのをやめたり、帰ることにしたり、帰らせようとしたり。いつの間にか家路というものが自分の中で大きく幅を取っているなあと気づいた。ここに貼った「残響」もそうだし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?