HOMEをつくることにした【2022年ふつうの旅 #26日本】
観光したり、仕事したり、なんだかんだあって半年後に帰国したりする #2022年ふつうの旅
12月12日。
無事に恵比寿に帰ってきた。
2021年。家に引きこもるコロナ禍の生活に飽き、会社員の立場に飽き、広告の仕事にも飽きた。飽きの反動。2022年、何も目的を持たずに出発したこの旅は、あえて言うならたくさんの写真を撮ることが目的のようなものだった。
この年(40歳)にもなると、ちょっと世界一周したところで、特に価値観が変わったり、旅しながらノマドになったり、海外移住したいなんて思うこともなく、いま、ふつうに日本の生活に戻る気まんまんである。
しかし、もちろん、たくさんの刺激と発見があり、これからのことについてもおおいに考えた。日本を相対的に見ることや、各国のノリや雰囲気を感じること。大変なこともあったけど、総じて楽しかった。
旅を通して、これからやりたいことができた。一言でいうなら「HOMEをつくる」ということである。
家庭をつくりたい、という狭義の意味ではなく、サッカーでいうホームゲームのような感覚。自分の会社、自分のスタジオ、自分のコミュニティ、自分の生活。自分の領域。帰るべき安心の地。
これまでの人生、いつもどこか、ここは自分がいるべき場所ではない、という違和感があった。仮住まい感というか。それは大学、会社、部活、サークル、バンド。すべてにおいて。だから独立志向が強くフリーランスが合っているとも思う。
ただ、旅をしていてふと思った。どこかに自分に合う楽園があるわけではなく、HOMEは自分でつくるものであると。
インテリアやファッションなど、生活について、どこかハマりきらずに投げやりなモノで済ませるクセがあった。仕事に集中すれば、他はどうでもいい。人間関係もしかり。社会人になって数年は、プライベートの約束を守れないことが増えていた。
でも、いろいろなホテルやドミトリーやエアビーの部屋に泊まり、いろいろな民族や季節や文化の服装を見、多様な人たちと接するうちに、この生活表現をもっと遊びたくなった。もっと人と関わり、面倒くささも含めてつきあっていきたくなった。
ヘルシンキでイッタラのカップが欲しくなり、イスタンブールでチャイグラスが欲しくなり、ウズベキスタンの民族衣装やロンドンのバーバリーが欲しくなった。デンマークの照明が欲しくなった。欲しいモノがとにかく増えた。
ゆで卵をのせたビリヤニやマッシュルームリゾットやノンアルモヒートやレモネードがつくりたくなった。サラダやスープをじっくりつくりたくなった。熱々のチャイをおかわりしてデーツをつまみながら休憩したくなった。とにかく生活全般のやる気がわいてきた。好きなものが増えると、人生の楽しみも増える。
ノンアルバーでそれらをメニューとして出しながら、写真の展示や撮影や制作をしたくなった。友人も仲間も関係なく集まる場所をつくりたくなった。
広告の仕事についても、コピーや企画を切り売りするのではなく、クリエイティブディレクターとして腰を据えて取り組みたくなった。仲間を増やして小さなコミュニティをつくり、そこで仕事を育てたくなった。経営者やメディアとがっつり組んで、長く積み上げる仕事をしたくなった。
まさか、半年旅をして、いちばんやりたくなったことが仕事だったとは。
バンドやフットサルといった趣味も、ますますやりたくなった。旅という自由は、そこに長くいられないという不自由をはらむ。そこに長くいるからできること。帰るべき場所。HOMEが欲しい。そう思うようになった。
だから、東京で、腰を据えて働き、暮らし、遊ぼうと思いました。
みなさん、またごはん行きましょう。仕事しましょう。円安でだいぶ貯金が減りました。稼ぎてえ。
あと蕎麦たべたいです。
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