意外と治安いいしむしろ家族旅行向きだった【2022年ふつうの旅 #23メキシコ】
観光したり、仕事したり、エアビーの宿に着いたら誰もいなくてネコだけがいてそのフンの処理をしてから眠りについたりする #2022年ふつうの旅
メキシコにけっこう長く滞在した。
この国のイメージは「ナルコス」「ブレイキング・バッド」に代表される麻薬王国だったので、やべー治安悪そう、というモードだったのだが、意外とそうでもなかった。
むしろ、グアテマラの方が、車がフルスモーク(透明だと強盗に襲われるため)で怖かった。
なんでも、麻薬カルテルと国や警察の衝突が激しいのは国境付近のみとのことで、メキシコシティや観光地として有名な街なんかは割と安全らしい。実際街を歩いてみても、サンパウロやグアテマラより安心感がある。なんならカメラを外に出しても大丈夫そうである。(場所と時間によるけど。)
もうひとつ意外だったのは、メキシコ料理が口に合わなかったこと。辛いのが得意じゃない、というのもあるけど、なんかベースの味つけが好みじゃない気がした。豆を煮たやつなんかが「味がしない」ように感じられて。滞在中いちばんうまいと思ったのは、イタリアンのポモドーロパスタだったし。
アルゼンチンに続き、この国もスペイン語である。少しずつ覚えて楽しくなってきている。車に乗って「ムーチョトラヒコ」と言われて「混んでるね」と思えるくらいにはなってきた。なんとなくわかる感じ。
昔、スペインが滅ぼしたのが、アステカ文明。その前には、古代より、オルメカ、マヤ、テオティワカンなどいくつもの文明があるため、観光地は昔っぽい名前や彫り物で溢れている。どれがマヤでどれがアステカか、ぜんぜん分からない。
ただ言えることは「ドラクエで見た」ってことだ。民族の仮面やジャガーや生贄文化や黒曜石などなど、キャラ立ちがすごいので、RPGなどのコンテンツにおける「敵キャラ」として、参照されがちなのだ。
また、事前に小説「テスカトリポカ」を読み返していたので、なぜジャガーや鷲のモチーフが出てくるのか、なぜ黒曜石が使われるのか、生贄の意味は何なのか、などなどが、スッと入ってきた。言葉にしづらいので興味ある方は一読してみてはいかがだろうか。グロいけど。
有名古代遺跡チチェン・イッツァは、スーパー観光地であり、死ぬほどバスが来る。人と店が多すぎてうんざりする。マヤ暦の話をガイドが語る。階段の段数がどうの、西から東への太陽と影がこうの、英語なので半分くらい、いや、1/4くらいしか分からない。どうせググればわかりそうな情報を丁寧に説明してくれる。分かったような顔をするのも面倒になって、一緒に参加したスイス人と、ここは観光客多すぎてクレイジーだな、と言い合った。自分たちもそれを構成する一部ではあるのだが。
そして、セノーテである。セノーテとは、地下水が溜まった天然の池のことなのだが、とても自然っぽくて楽しみにしていた。が、安いバスツアーで来てみたらこれも観光地化されすぎてて冷めた。しかも何かの手違いで、来たかったセノーテよりもしょぼいところに連れてこられてぷんすかした。そしたらすぐにスコールが来て、すべてが台無しになり、バスに戻って帰る流れになった。
古代文明モチーフの小説を読んでいたせいか、怒りが雨を呼んだのだざまあみろ、と子どもっぽいことを思いながら、なぜかスッキリして家路に着く。
つくづく、遺跡や水に漬かる系のリゾートには興味ないことが明らかになって、分かっちゃいたけど再確認できた。なぜか水に漬かるのはめんどくさいしおっくうである。温泉やサウナならいいんだけど。
ヨーロッパ風の建物、アメリカの資本、南米の植物、音楽、料理。メキシコ独自のルチャ・リブレや骸骨の装飾、祭り。フリーダ・カーロ。いろんな文化がごちゃまぜになっていてなぜか親近感が湧く。日本にも似たごちゃつきだからかも。
そんなメキシコの首都、メキシコシティの見どころは建築物だ。アルベルト・カラチ設計のヴァスコンソロス図書館は、ドイツっぽい構造の空中書架とイギリスの自然史博物館っぽいクジラの骨がマリアージュを奏でていて、気持ち悪い。最高。
グアナファトのピピラの丘は色とりどりの家々がキレイである。尋ねた日はちょうどMonster主催のダウンヒルレースをやっていた。古都の雰囲気はエストニアのタリンやグアテマラのアンティグアに似ており、要は京都か川越のような完成度の高い観光地である。その割にお値段は高すぎず、快適だった。
宿はエアビーでお世話になり、家族の中に一部屋もらうカタチ。小学生くらいの男の子に折り紙の鶴をあげたら、クナイをくれた。また捨てられない物が増える。お返しに手裏剣をあげました。
ちなみにもちろんいくつかのタコスは食べたんだけど、正直自分が家でつくるやつが一番うまい。これはソースの好みなのでしょうがない。皮がコンビニで買えるのは現地のいいところ。
マリアッチの演奏、ソンブレロ、死者の日のなごり、サボテンとアガペ、テキーラ、黄色い壁、カリブ海、古代文明の数々、気候の変わる地域。とても奥深く、楽しい滞在だったが、ちょっと長くいすぎて飽きてきた。
次は最後の国、アメリカだ。
政治的には大嫌いだけど、文化的には大好きという、モーニング娘。的アンビバレントな感情を抱きながら、人と会ったり、ベタベタな観光をしたりして、ラスベガスを目指します。
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