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ブエノスアイレスのプラスマイナス【2022年ふつうの旅 #21アルゼンチン】

仕事したり、観光したり、コインランドリー探して、ジーンズ用のランドリー工場に辿り着いて、洗濯物渡そうとしておいおい無茶言うなよって顔で困られたりする  #2022年ふつうの旅

イグアスの街でブラジルから陸路入国し、ブエノスアイレスへ飛んだ。パスポートになんのスタンプも押されていない気がするが、細かいことは考えないでおこう。ラテンのノリで。

人工物と自然の調和

ブエノスアイレスは、南米のパリと呼ばれている。その呼び名の通り、ヨーロッパ調の建築物が美しい。石畳を歩くのも懐かしい心持ちになる。しかしここは南国。ラテンアメリカの獰猛な植物たちは容赦なく成長し、ビルの背を抜いて生い茂る。ヤシやサボテンといった暑い地域特有の植物が現代風の建物とコントラストを描き、独特の街並みをつくっている。

明らかに南国

ロンドンでも感じた「東京っぽい感じ」を、ここブエノスアイレスでも感じた。先端と古典が入り混じり、刺激が多いからかもしれない。アフリカでも見かけたジャカランダの紫の花が目に嬉しい。桜と並んで生えていたら美しいだろうなあ。

紫が美しい

タンゴ発祥の地カミニートでは、路上で踊る男女がおり、世界一広い「7月9日通り」にはオベリスクが建つ。世界で2番目に美しい本屋「El Ateneo」は劇場だった場所に本を並べている。

あちこちで踊る男女
世界一広い7月9日通り
「世界で2番目に美しい」はロンドンの記事から

文化と自然と建築物が美しく調和し、日の出ているうちは、治安の悪さも感じない。シカゴが本拠地の音楽フェス「ロラパルーザ」はブラジル、チリとともに、アルゼンチンでも開催される。多様な人々が熱量を持って行き交う国際都市なのだ。

スタバが多いがせっかくなのでローカルのカフェへ
夜はバーに

しかし、問題もある。経済が不安定であり、アルゼンチンペソは自国民にさえ信用されていない。例えばドルを両替しようとする時、公式レートでは日本円同様に1ドル=150ペソくらいだが、街中にいる「カンビオカンビオ!」と叫ぶ両替人を通すと300ペソくらいの闇レートで両替してくれる。およそ2倍である。これをブルーレートと呼び、政府も黙認している状態だ。

しかしながら、ドルを持っていなかったので、この恩恵にはあずかれなかった。そして、後に、このしくみの裏側を見ることになる。

アルゼンチンの名物と言えばビーフである。硬いが美味い。一皿にでかい塊が乗り、ポテトやパンと合わせて、2,000円程度。日本やアメリカで食うよりだいぶ安い。そして量が多く、ランチで食べるとその日のディナーは抜くことになる。

かたくて美味しいという初体験

物価が安いのかと思うと、カフェは高い。朝のカフェ(カフェ・コン・レチェ)とパン(メディアルナ)のセットで750円である。恵比寿のサンマルクカフェが恋しい。

クロワッサン風だけど層になっていない

久々にホステルに泊まり、同部屋のブラジル人カルロスと知り合う。彼は食肉、特にチキンの輸出を担当する政府職員。彼のサインがないと、ブラジルのチキンは、ヨーロッパにも、中国にも、南米にも、そして日本にも届かないという。クリスマスのお礼を言っておきました。なんでも、日本人はモモが好きだが、ヨーロッパ人はムネが好き、中国人はハネが好きらしい。一羽の鶏がバラバラにされて世界中に運ばれていく。

世界三大劇場のコロン劇場
サン・マルティン将軍広場
社会見学の子どもたち

ブエノスアイレスにはカジノがある。ただし法令上、陸の上では禁止のため、船の中で催されている。せっかくなので、5,000ペソほどチップに換えて少し遊んでみた。

わかりやすくカジノ

ルーレットで10分ほど見学していると、皆、赤や黒などという単純な賭け方ではなく、個別の数字を複数種類賭けていた。チップを素早くテーブルに並べ、ある程度の固まりを意識して置いていく。当たるとデカいが、ハズれるとパー。確かにこっちの方が盛り上がる。現地の紳士や中国の若者が温めてくれた台で、自分も試してみる。

一枚500ペソのチップ10枚が軍資金である。心もとないが、必勝法も特に思いつかないため、ラッキーナンバーの13を軸に周りにペタペタと5枚ほど置く。すべて外れる。あっという間に2,500円が消える。そうだった。これがギャンブルだ。

またも13の近くに、今度は数字と数字をまたぐように、広い範囲で5枚置く。運良く数字がかすって当たり。10枚ほど戻ってくる。プラスマイナス0だ。今度は思い切って8枚ほどを賭ける。また運良く当たる。チップが20枚になる。元の2倍である。器の小さな筆者としては、ここらへんが潮時だな。と感じる。ルーレットで2回連続個別の数字を当てるのは、かなり難しい気がする。

そうして、日本円にして5,000円分勝って、船を後にした。10,000ペソを財布にしまい、またどこかで牛肉でも食うかな、なんて思っていた。

これはショッピングセンター
カジノは撮影禁止

ブエノスアイレスの宿は人気なのか、連続3泊とるのが難しく、最終日だけ別の宿へ移動することになった。少し高めの35ドル。約5,000ペソくらいだろうか。到着して、ペソで払おうとすると、「ドルはないですか?」と聞かれる。

自国の通貨が安定していないので、ドルが基本なんだなあ、そういえばタンザニアのサファリもドル払いだったなあ、なんて思いながら「ペソしかないんです」というと、「10,000ペソです」と言われる。思ってたより2倍高い。

そう、ペソをドルに替えようとすると、逆ブルーレートとなり、公式レートの1/2になってしまうのだ。だからドルで払ってね、とメッセージでずっと言われていたのだ。完全に無視していたが。

こうして、カジノで勝った分の5,000ペソは、キレイに逆ブルーレートで宿代と消えた。

カミニートの撮影スポット
デモは鼓笛隊を連れていた

ブエノスアイレスのプラスマイナスを懐で感じて、それでもなんだか憎めない街だなあ、と思ったのでありました。

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ローマ法王とマラドーナが並列の神様

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