見出し画像

日本のユニークさがすごい【2022年ふつうの旅 比較編】

半年間世界一周して、帰ってきた。帰ってきてそろそろ1週間。あたりまえだけど自国は落ち着く。落ち着きながらも、違和感というか、こういう国だったのか、こういう民族なのか、みたいなことを感じるので、うまくいくか分からないけど、言語化してみる試みである。

出汁をとる

他国と比べて、やわらかく、あたたかいものが多い和食。特に出汁をとる文化はアジア圏特有のものだと思うが、umamiがすごい。帰ってきてまず食べたのがそばだった。醤油とみりんの甘じょっぱさ、かつおのコクが身体中にしみわたる。これで育ってきたんだな、とDNAが喜ぶ。

仕事を道にする

旅に出て、現場で気づき、資料で確かめたのだが、どうやらこの国の労働に対する感覚はだいぶ特殊だ。例えば、キリスト圏では、労働は神が与えた罰なのである。基本的には仕方なくやるものであって、所属するコミュニティとは別物。日本でいうとアルバイトが感覚に近いだろうか。だから、仕事中に家族の電話を優先するし、残業なんてしない。特に旅行中触れ合った観光業、飲食業はそうだった。国民の三大義務に勤労が入ってる国はかなり異常であり、支配階層の思惑を感じずにはいられない。もちろん、自分にもおおいにその傾向があり、どうしても職人的にこだわることが好きになってしまっている。

子どもの国

先ほども支配階層、という言葉を使ったが、民衆である自分と、お上である政府という上下の観念が強い。大人の決めたことに文句言いながら従う感覚というか。民主主義における政治家とは、本来なら貴族制などの特権を廃し、民衆の代表者でありサーバント(使用人)として仕える立場であるが、どうも親、先生、みたいな感覚で捉えている気がした。これは、明治維新やGHQなど体制の変化を市民革命によって成し遂げていないことが一因として大きいように感じた。軍隊を持つかどうかの矛盾、少子化への対策の無さ、誰一人取り残さないデジタル化というキレイ事。問題に向き合わず上のレイヤーのせいにする態度がとても子どもっぽい。

ゆるい運用

日本人は真面目だというイメージがある。確かに小さなルールに関しては真面目に守る。しかし、大きなルールに関しては、慣習を優先する。赤信号では止まるが、少子化は止まらない。本当に大切な大きな意思決定を先延ばしにし続ける。これは中国やドイツのように厳然としたルールで従わせるようなことが、民族の生理に合っていないのだろうと感じる。島国であることから、長い間、他国から攻められなかった歴史があるので、統治者が優秀でなくても国を治められたりする。冷たい判断をせずとも、まあまあ、みんなで仲良くやりましょう、という感じだ。中国なら騎馬民族に攻められて滅亡である。ドイツならフランスやロシアやイギリスに攻められる。とにかく運用がゆるい。帰国して成田から京成スカイライナーに乗った時「なるべくマスクの着用をお願いしております」という意味不明のアナウンスが流れて、日本を強く感じた。

ソーシャルハーモニー

これは、タンザニア人とフランス人と話した時に「和」の概念を説明した英訳なのだが、単一民族だからこそできる「他人に迷惑をかけず皆の目を気にして過ごす」ことが、大きなルールや自己主張に優先される。この雰囲気は北欧などではたまに見られたが、かなり独特であり、グローバルにおける資本主義にはまったくフィットしていない。多分この国の本能は社会主義で、たまたま資本主義をインストールしてるけど、そもそもWindowsとMacくらいOSが違うのでバグりながら適当に使っている気がする。合ってない。

読み書き

世界中、どの国でも、人はめちゃくちゃ喋る。電車の中で、タクシーの運転中、高速バスの移動中、電話しまくっている。つながらなければボイスメールを送る。喋ったほうが早いし、温度感が伝わる、ということを本能的に理解しているのではないだろうか。特に社会の中で生きていくにあたっては、喋れることが読み書きの何倍も重要なのだ。それに対して、日本人はテキストが大好きである。Twitterを多用するのも頷ける。一説によると、アフリカからユーラシアへ渡り、中央アジアからもさらに東へ、逃げに逃げてきたひきこもり民族が日本である。説得力がある。キルギスでは「肉が好きなやつが残り、魚が好きなやつが日本に渡った」というジョークがある。

治安が良すぎる

治安が悪いというとどのようなイメージだろうか。観光地でのスリやひったくり、小さな金額の詐欺やぼったくりは、むしろ平和の証である。治安が悪いというのは、失業率が高く、強盗を仕事にしている人間の数が多い。という状態だ。グアテマラでは全ての車がフルスモークガラスであった。透明だと交差点で止まった時に銃をつきつけられるからだ。ソーシャルハーモニーと、社会福祉制度が高度に発達し、移民の失業者があふれてもいない。かなり安心して街を歩ける稀有な場所である。

水が飲める

水道水が飲める国はこの世界に12ヵ国と一部の地域しかない。特にこの国は山と火山と河川が豊富にあり、その水を使った清酒、米、温泉、滝、洞窟など、資源が豊富である。水を使った観光ブランディングさえできる気がする。そして、飲食店でおしぼりと水が出てくる。そのサービスが無料なのだ。恐ろしい。すごすぎる。チップを払ってナイスな接客を受けるか、店員が常におしゃべりしていて適当にあしらわれるかの2択で半年間過ごしてきたので、このおもてなしにびっくりしている。滝川クリステルの「お・も・て・な・し」ジェスチャーの意味がようやく分かった。

シャイ

とにかく自分を出さない。恥ずかしがる。それは例えば、電車に高齢者が乗ってきた時に手伝わなかったり、席を譲らなかったりといった、大人や人間としてのマナーやふるまいが、善人ぶっている恥ずかしさに負けることなどに現れる。人はいいが目が気になる的な。アメリカのホッケーを見に行った時、プレーの合間にカメラを観客席に向けて映されたカップルがキスをする「KISS CAM」というのがあって、みんな楽しんでいたのだが、日本だと540%ありえない。

静か

ソーシャルハーモニーからの派生なのか、とにかく静寂を好む民族だと思う。海外の地下鉄、バス、どこだろうが、自分の見たいYouTubeを大音量で見てるやつがいて、電話してるやつがいて、インドのクラクションは永遠になり続ける。静寂もまた、対価を払って手に入れる贅沢品なのだ。そりゃ瞑想が流行るわ。それに対して、日本では静かにすることが一種のマナーでさえある。不思議すぎる。

加工のクリエイティブ

資源のある国は、想像力が発達しづらい。直接的に売り込めばいいからだ。テレビ局の営業よりも圧倒的にラジオ局の営業の方が優秀であることに似ている。元手がないほうがクリエイティブになるのだ。この国は原油が出るわけでも大量の食品をつくっているわけでもなく、クルマをつくり、テレビをつくり、アニメをつくってきた。そして、クリスマスを加工し、ハロウィンを加工し、すべての元ネタを独自の解釈で別モノにしてしまう想像力がある。いただきます、という挨拶をし、正月には初詣に行き、バレンタインデーにはチョコを渡す。ハイブリッドすぎて意味がわからない。宗教性はないように感じているが、いただきます、は完全な信心だし、神社の真ん中を歩かず賽銭を投げるのは特殊なカルト宗教にさえ見える。最高だ。

住み続けたい国NO.1

いろいろと特殊性をあげつらい、時にネガティブな物言いもしたが、ここで生まれ、最強のパスポートを手に入れて、世界を回った結果、この国に住み続けたいと強く思った。ユニークさが面白すぎるから。ちょっとはドルで稼ぎたいから、なんらかのコンテンツやスキルを輸出できるようになれば言うことなしである。

あといまだにみんな街中でマスクしてるのは、忍者だからなのでは?と思っている。

ありがとう!Thank You!谢谢!Gracias!Merci!Teşekkürler!Asante!Kiitos!Obrigado!Grazie!Þakka þér fyrir!