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【音楽】Mr.Children

「私を構成する42枚」を作ってみて、背伸びのない良いものが出来たなと思う反面、私の音楽体験の基礎となったアーティストが含まれていないことが気になっていました。(そういう定義で選んだ42枚だから間違いではないけれど)

なので、42枚とは別に『私の基礎となったアーティスト』を『今の私』が改めて振り返るという方法で、その気掛かりを昇華してみようというのが本記事の趣旨であり試みです。

今回振り返りたいのは『Mr.Children』。

『公平なファンでありたい』という気持ちが強く、もしかするとそんな気持ちが色々な音楽をきく原動力になっているかもしれません。
私の精神的な部分にまで大きな影響を与えているバンドであり、だからこそ自分に正直に…つまり私以外の方にとって不快なことを書くかもしれないので、この先を読んでいただける方はその点をご承知おきください。

振り返りの方法は『アルバムを全作品聴き返す』。
そこからマイフェイバリットアルバムを挙げ、リリース順で大まかに所感を述べてみたり、マイフェイバリットソングも考えてみたりします。LIVEアルバムやB SIDEは含みません。

※振り返りの方法…というかこの試み自体、THE MAINSTREAM(沢田太陽)さんやPUBLIC IMAGE REPUBLICさんを参考にしました。

では、マイフェイバリットアルバムです。


1 - 10th『IT'S A WONDERFUL WORLD』
2 - 19th『重力と呼吸』
3 - 9th『Q』
4 - 21th『miss you』
5 - 11th『シフクノオト』
6 - 7th『DISCOVERY』
7 - 18th『REFLECTION{Naked}』
8 - 12th『I♥U』
9 - 15th『SUPERMARKET FANTASY』
10 - 13th『HOME』
11 - 5th『深海』
12 - 16th『SENSE』
13 - 20th『SOUNDTRACKS』
14 - 17th『[(an imitation) blood orange]』
15 - 3rd『Versus』
16 - 6th『BOLERO』
17 - 4th『Atomic Heart』
18 - 1st『EVERYTHING』
19 - 2nd『KIND OF LOVE』


ここからはリリース順に、聞き返してみた所感です。長いです。


1st『EVERYTHING』〜6th『BOLERO』

『DISCOVERY』以前のアルバムが軒並み低い順位になってしまったのは、音楽としてどう…というより、私に『この時代の音楽』の素養がない、という理由です。初期のMr.Childrenではなく、ニューウエイブとかネオアコとかそれ自体をほぼ聴かない、というイメージ。ただ、その大雑把なカテゴリから突出してくるものを初期のMr.Childrenに見つけられなかった、とも言えます。

今になれば『Atomic Heart』も『深海』も、Mr.Childrenだから理解しようとした感が過去の私には間違いなくあったなと。(同時に『Versus』が過去の印象より全然かっこいいな、という事を再発見しました)


7th『DISCOVERY』〜9th『Q』

『DISCOVERY』は、色んなところで「レディオヘッド」とか言われてるように、確かに影響はあるだろうなと。(というかこの時代にレディオヘッドとかオアシスとかの影響を受けていないロックの方が稀では?)
私はその方向に影響を受けたことが感じられる時点で、聴き方が変わるというか、大袈裟に言うと、オルタナティブロックとして意識できると思っていて。あとシンプルに好きなバンドが好きなバンドに影響を受けていて嬉しい、みたいなのもあります。

この辺から、アーティストとして在り方がかっこいいなと、より強く思うようになりました。(リアルタイムではないけれど)

『Q』も同様に好きですが、『DISCOVERY』とは違ってソウルやブルースのようなルーツミュージック的なものに接近していると感じていて、そこにストレンジさが加わり前作からのオルタナティブ味は加速しつつ、それでいて90年代のUSやUKのロックのイメージからは遠のいていくような…非常に抽象的で「ここどこ?」感のあるアルバムだと思います。(だからジャケットがめちゃくちゃ秀逸だなと)「NOT FOUND」が3曲目にしれっと位置しているのもめちゃくちゃかっこいいです。


10th『IT'S A WONDERFUL WORLD』〜11th『シフクノオト』

『IT'S A WONDERFUL WORLD』と『シフクノオト』は、〇〇期と括れない、Mr.Children史の中で完全に独立しているアルバムだなと。両方とも、私が最も聴き込んだアルバムで、順位としても上位になりました。

ただ、今聴くと『シフクノオト』の「掌」や「くるみ」は、いい曲だけどリスナーとして聴く回路が変わってしまうというか…それは『I♥U』以降の話にも繋がります。
日本の音楽に影響を受けた日本の音楽は、聴く回路が変わるのかもしれないです。

というか、私自身が日本の音楽に大部分の影響を受けた聴き専なので、誰がもの言うとんねん、というツッコミを一回挟みつつ。


12th『I♥U』〜17th『[(an imitation) blood orange]』

そして『I♥U』から『[(an imitation) blood orange]』。00年以降のMr.Childrenを最も印象付けた時期だと思います。同時に私自身の印象も分裂する時期。もう先に触れていますが、聴く回路が変わる音楽が多い印象で、ポップスとしてめちゃくちゃ優れていて、でもガラパゴス感が否定できなくて、この時期の彼らをロックバンドと呼べるのか…という。

別にガラパゴスとか言って比較する必要はないんですが、例えば写実絵画とアニメ系イラストを並べてどっちが上手い?はめちゃくちゃナンセンスで。それはそもそも両者の上手いの定義とか、観る側の求めていることが違う、という事だと思うのですが、じゃあ一切比べなくていいのか?といえばそうは思わなくて。
抽象的ですが、刺さる人にだけ刺さればいいっていう方向は「閉じてる」というか…なんか違う気がするのです。
感謝とかファミリー的なものって、とてもとても大切ですが、閉じた内輪ノリと表裏一体で、それだって決して悪くはないけれど、好きだから開いてほしい…閉じながら開いていてほしい、という。
だから『DISCOVERY』や『Q』、『IT'S A WONDERFUL WORLD』を作り上げた彼らが好きだったわけで。

…と、堂々巡りをしている所で一応繰り返しますが、この感覚は私がファンを拗らせてるだけで、音楽が優れているのは間違いないです。だからこの辺は客観的なレビューとか考察とかではなく、ファンとしての私の内省です。はい。


18th『REFLECTION{Naked}』〜20th『SOUNDTRACKS』

そろそろ文章も集中力も破綻してきましたが、『REFLECTION{Naked}』です。({Drip}は未聴なので{Naked}のみです)
私みたいな拗らせたファンも含め、みんな(ファン以外にもかなり多くの人に届いたのではないでしょうか)痺れたと思われる作品。
反面、今振り返ってみると「ここを抜け出そう」としつつ「既視感のある場所」を目指している印象もある。それは『重力と呼吸』、『SOUNDTRACKS』も同じ印象です。その揺らぎが『重力と呼吸』の時、私には心地よく、『SOUNDTRACKS』はその逆でした。


21th『miss you』

現時点で最新アルバム『miss you』です。
先行配信を聴いた時「ああ、この方向なのか…」と思った事を鮮明に覚えていますが、アルバムを聴いて一気に印象が変わった作品。
サウンドの変化ついては、色んなところで語られている通りだと思うので、さておき。 私が今作で気になったのは歌詞です。『I♥U』ぐらいから「〇〇を〇〇にネガティブに例えた後、ポジティブな側面を拾い上げる」という物語仕立てのフォーマットがあったと感じていて、個人的にはそれに食傷気味でした。(分かり易すぎる、意味を持たせすぎてる、という印象)
しかし本作ではそれがほぼ皆無。(例えはあるけれど、今までのそれではない) 代わりに綴られているのは乾いた感情や、ありふれた風景。
ゴールがないまま、意味も与えられず、これらの言葉が十分な余白を持って並んでいます。
『miss you』は、そんな言葉や、これまでと変わらない高い強度を持ったメロディを、今までにない程剥き出しで味わう、その為のコンセプトアルバムだと思うのです。 『REFLECTION{Naked}』以降の揺らぎを経て、ミスチルの骨格が剥き出しになった、これがマジの{Naked}やろ、と。


以上です。疲れ果てました。
最後にマイフェイバリットソングを挙げて終わりにしたいと思います。

1 - youthful days(10th『IT'S A WONDERFUL WORLD』)
2 - NOT FOUND(9th『Q』)
3 - 言わせてみてぇもんだ(11th『シフクノオト』)
4 - FIGHT CLUB(18th『REFLECTION{Naked}』)
5 - Party is over(21th『miss you』)
6 - 遠くへと(18th『REFLECTION{Naked}』)
7 - here comes my love(19th『重力と呼吸』)
8 - LOST(21th『miss you』)
9 - 渇いたkiss(10th『IT'S A WONDERFUL WORLD』)
10 - 幸せのカテゴリー(6th『BOLERO』)



あとがき

Mr.Childrenとは一切関係ないですが、以前、惠 愛由さん(BROTHER SUN SISTER MOON)と井上 花月さん(Laura day romance)のポッドキャスト、『Call You Need Me』で紹介されていた「familiar hell unknown heaven」(間違っているかもしれません)という言葉が強烈に印象に残っていて、それを思い出しながら今回の振り返りをしていました。
どの回でお話しされていたのかも忘れてしまったのですが、素敵な番組なのでリンクを貼っておきます。




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