見出し画像

パンプキンスパイスの到来と仕事復帰

 昨年記事に書いたパンプキンスパイス味のなにかを街中でみかける季節がまたやってきた。自称・かぼちゃ味好きのなにか評論家としてはまた自分自身に対してイミフメイの言い訳をつくりあげて食べる機会が増やせる。まずはStarbucksのパンプキンスパイスフラペチーノを両親が滞在している間に一緒に飲んだ。非常に美味しいかったので今日がまんできず一人で買って飲んだ。美味しいが両親と飲んだ最初の一杯とは違う気がする・・・と、味覚にはそのときの環境が大きく影響することを実感した。美味しいものも私は一人では楽しみきれない。
 このフラペチーノは車の修理からの帰り道でゲットした。夫がこすった傷のペイント塗りなおしをふとした縁で知り合った職人さんにお願いしている。夫婦の間ではその職人さんのことを”おやっさん”と呼んでいる。おやっさんは近所の倉庫や車修理系のテナントが集まる通りにガレージを持っている。ただGoogleに電話番号や店名すら載せていない。おやっさんは妹さんに代わって妹さんのプリウスをFacebook Marketplaceで販売するため、自身のガレージに置いていた。我々夫婦がそのプリウスを見学に行ったことが知り合うきっかけだった。結局そのおやっさんの妹さんのプリウスは購入しなかったが、おやっさんが修理屋さんだということを聞きちょうど私がこすった箇所を直したい車があったのでお願いすることにした。それ以来なにかあるたびにおやっさんを頼っている。おやっさんの電話番号を知らないので、まず行ってみて営業しているか確認するスタイルだ。おやっさんは一見すると気難しそうな長身のおじいさんで、きっとこんなご縁がなければ関わることは一切なさそうな見た目だ。というのも私が怖がって話しかけないと思うからだ。しかし今では「また来たのかい」という態で良くしてくれる。今日はおやっさんの事務所に初めて入って壁にかけてある随分とファンシーなヴィンテージカーの写真を眺めておやっさんの思い出を聞いた。本職は高級ヴィンテージカーの修理だというから、こんな庶民カーを直してくれてありがとうと思わず言ってしまった。まだ修理が必要な車があるのでしばらくおやっさんとの縁は続きそうだ。知り合いの口コミで職人さんを探すこともできたが、自分の経験で開拓するのもなんだか地元に根を張った感じがして心地よい。
 昨日おやっさんのところに行ったときに肝心のペイント(塗料)を持参するのを忘れて「また明日来ます!」と行って帰った。その道すがらダウンタウンを通った。元アルバイト先の目の前に差し掛かって横断歩道の前で停まり、歩行者に道を譲ったときその歩行者が元同僚だと気付いた。思わず運転席の窓から「シルビア!私だよー!」と叫んだ。シルビアさんは私と気づいてから笑顔になって駆け寄ってきた。危ないが人口密度が低い街で幸い四方八方に車が一台もいなかった。シルビアさんに「私、来週から職場復帰するから」と伝えたところ「F★ck, YES!!!」と大声でガッツポーズをし、運転席の私(お互い身を乗り出して)とハグをした。すかさず彼女は「シフト決まってるの?決まってなかったら私と同じシフトにしてよ!」と満面の笑みで言って出勤していった。この話を夫にしたところまず「(車道でブレーキを足で踏んだままの状態でハグなんて)危ない」、そして「君と同じシフトに入って楽したいんだろうな」と言った。両方ともうっすら同意するところだが、シルビアさんはすぐサボりはしても良いところが目白押しの人だ。人の悪口を言わず長所を見ようとしたり、嫌なことを引きずらなかったり。彼女は息子が逮捕されて刑務所に入ったり夫に仕事時間を制限されたり、書き出すと結構ハードな状況をこの半年過ごしているわけだが、アルバイト中「ミルクコーヒー(私の名前)、つかれた~」と言いながら笑顔で過ごしている。見上げた根性?だ。彼女に対して「もうちょっと働いてほしい」など思うところはあるが、学ぶことも多い。なによりほかの同僚よりスキルが高い。私が困ったときには必ず助けてくれる。
 元マネージャーに「復帰したい」テキストを送って1か月経ち、いきなり先週「最近忙しくて返事できなかった、ごめんね。仕事復帰してくれるのは歓迎だよ。何曜日にシフト入りたい?」と返信が来てから5分で10月2週目からのシフトが決まった。ほんの1日だがさびしさのどん底にいてひび割れた気持ちがじわじわと回復しているのを感じた。私には地球の表面のどこに居ても家の外での労働が必要だ。