見出し画像

アブソリュート・チェアーズ

埼玉県立近代美術館で「アブソリュート・チェアーズ」展を観た。
「椅子の美術館」が「椅子」の新たな視点に挑む意欲的な展示で、「美術館の座れない椅子」「身体をなぞる椅子」「権力を可視化する椅子」「物語る椅子」「関係をつくる椅子」の5章で構成されている。

人が座る道具としての椅子が、人とのつながりが強いが故に、それ自体が生命を持っているような感覚があった。

展示は2024年5月12日まで。
https://pref.spec.ed.jp/momas/2023absolute-chairs

ジム・ランビー《トレイン イン ヴェイン》2008
切断されカラフルに塗装された木製の椅子が再構成されている。
砕けた鏡が貼り付けられたハンドバッグ。vain → vanity(虚栄心)の象徴か。
岡本太郎《坐ることを拒否する椅子》1963/c.1990
とても座り心地が悪い。
クリストヴァオ・カニャ ヴァート(ケスター)《肘掛け椅子》2012
ミロスワフ・バウカ《φ51x4, 85x43x49》1998
人が吊るされているようにしか見えない。
宮永愛子《waiting for awakening -chair-》2017
ナフタリンの椅子が樹脂の積層に封入されている。
気泡も積層状になっている。
シールの小さい穴の封を解くとナフタリンの気化が進み、いずれ椅子の不在が存在することになる。
ハンス・オプ・デ・ビーク《眠る少女》2017
時間が止まり、永遠になる。
名和晃平《PixCell-Tarot Reading (Jan. 2023)》2023
大小の球体で覆われていて、表面の情報の全てを読み取ることができない。
ダイアナ・ラヒム《インターベンションズ》2020-
いわゆる排除アートをシニカルに批判している。
副産物産店《Absolute Chairs》2024
作品制作時に出る廃材から作られた椅子たち。展覧会名が作品名になっているのが面白い。
案外座りやすい。
ミシェル・ドゥ・ブロワン《樹状細胞》2024
集まって球体をなす椅子たちは、外部からの干渉を拒んでいるように見える。
倉俣史朗《ミス ブランチ》デザイン:1988|制作:2007
同時開催のMOMASコレクションも椅子の特集展示。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?