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※時間のない方、長い文章を読むのが苦手な方などは、最下段の【概要】のみお読みください。

これまで、2回の緊急提案をさせていただきました。
1回目がBPOで、2回目はNHKが対象でした。

今回は3回目となりますが、本当に緊急ですので、賛同してくださる方はなるべく早く実行してもらえるとありがたいです。

過日、国連の「ビジネスと人権」作業部会(正式名称「人権及び多国籍企業並びにその他の企業の問題に関する作業部会」)が訪日し、離日前に記者会見を行うとともに、9ページにわたるステートメントを残してくれたのは皆さんご存じの通りです。

<ミッション終了ステートメント(日本語版)>https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/development/wg/statement/20230804-eom-japan-wg-development-japanese.pdf

そこには、ジャニーズ問題に関して以下のような一文が記されていました。
該当部分を引用します。

<メディアとエンターテインメント業界>

作業部会は、メディアとエンターテインメント業界の心の痛む問題についても調査を行いました。こ の業界の搾取的な労働条件は、労働者で対する労働法による保護や、ハラスメントの明確な法的 定義の欠如と相まって、性的な暴力やハラスメントを不問に付す文化を作り出しています。例えば、 私たちは女性ジャーナリストが性的なハラスメントや虐待を受けても、放送局が一切の救済措置 を講じないという事例を聞きました。また、アニメ業界での極度の長時間労働や、不正な下請関係 に関連する問題ゆえに、クリエイターがその知的財産権を十分に守られない契約を結ばされる例 が多いという情報も得ました。

ジャニーズ事務所のタレントが絡むセクシュアル・ハラスメント被害者との面談では、同社のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになったほか、日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられています。

私たちは、政府がこれまで20 年にわたり、子どもの性的虐待防止につき、いくつかの措置を講じてきたことに留意します。
しかし、政府や、この件について私たちがお会いした被害者たちと関係し た企業が、これについて対策を講じる気配がなかったことは、政府が主な義務を担う主体として、実行犯に対する透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性を物語っています。証言によると、ジャニーズ事務所の特別チーム(または独立チーム)による調査については、その透明性と正当性に疑念が残っています。ジャニーズ事務所のメンタルケア相談室による精神衛生相談を希望する被害者への対応は不十分だとする報告もあります。UNGPs のコンプライアンスを図るためには、あらゆるメディア・エンターテインメント企業が救済へのアクセスに便宜を図り、正当かつ透明な苦情処理メカニズムを確保するとともに、調査について明快かつ予測可能な時間軸を設けなければなりません。
私たちはこの業界の企業をはじめとして、日本の全企業に対し、積極的に HRDDを実施し、虐待に対処するよう強く促します。

ミッション終了ステートメント 8-9ページ

緊急提案①と重複しますが、ポイントとなる点を要約しますと以下のようになるかと思います。

❶政府が主導し、ジャニー喜多川による児童性加害について強制力のある捜査をすること。
❷国連指導原則に沿って、メディア(テレビ・新聞・雑誌等)企業や、エンターテインメント企業(芸能プロダクション等)が被人権侵害者の救済に便宜を図り、関わる全企業(スポンサー企業等含む)が人権DDに従って虐待に対処すること。
❸どこからも干渉を受けない国内人権機関を設けること。

どれも非常に重要なポイントで、作業部会専門家に指摘されなければ、残念ながら日本政府にはこうした発想すらなかったのではないかと思います。
そういった意味では“人権後進国”の日本政府として、わざわざこのようなものを残してくれたことは、大変ありがたいことだと感謝すべきことではないでしょうか。

ところが、これも皆さんご承知のように、日本政府は感謝するどころか、松野博一官房長官は驚くべきことに以下のように述べました。

松野官房長官:「同作業部会の見解は、国連またはその機関である人権理事会としての見解ではなく、我が国に対して法的拘束力を有するものではない」

YouTubeのANNnewsCHより

こちらは、作業部会声明の意義と影響を説明した東京新聞デジタル編集部・福岡範行記者による記事。
ぜひ目を通してみてください。

作業部会専門家のおふたりが離日し、松野官房長官の言葉を知ったときはどのように思ったでしょうか。
作業部会専門家はまだ調査をすべて終えたわけではなく、今も継続して調査中であり、その最終報告書は、来年6月の国連人権理事会にて報告されることになっています。

その後、8月29日に、こちらもすでに広く周知されている通り、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が、ジャニー喜多川の児童性加害についての調査結果を報告書としてまとめ、公表しました。
この報告書で、ジャニー喜多川の児童性加害が再発防止特別チームによって事実認定されました。

【調査報告書(公表版)】
https://saihatsuboushi.com/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E5%85%AC%E8%A1%A8%E7%89%88%EF%BC%89.pdf

【調査報告書(概要版)】
https://saihatsuboushi.com/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88%E6%A6%82%E8%A6%81%E7%89%88%EF%BC%89.pdf

そして、9月7日には、調査報告書を受けたジャニーズ事務所の記者会見がはじめて行われる予定となっています。

以上、ここ最近の大きな動きを簡単に追いましたが、もうひとつ、ほとんど話題になっていない大変重要な情報があります。
それは、8月23日にリリースされたThe Japan Timesの以下の記事です。

記事では国連作業部会の訪日調査とステートメントの要点をかいつまんで説明し、それを受けて行われた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の記者会見を踏まえた当事者の会メンバーの声を拾い、自民党中堅議員のコメントまで掲載しています。
記事の一部を以下に引用します。

外交・安全保障に詳しい自民党の中堅議員は、「人権問題は国際社会における主導権争いの主要テーマになっている」と語った。
また、東京電力福島第一原子力発電所の事故処理水の海洋放出計画について、中国が最近厳しく批判していることについて、「人権問題の処理におけるリーダーシップの追求の一環」との見方を示した。

松野博一官房長官は8月7日の記者会見で、政府による第三者調査は慎重を期すべきだと述べた。作業部会の声明について、松野氏は「国連の見解ではないし、法的拘束力もない」と述べた。

自民党の中堅議員は、"国際社会では、(政府は)抽象的な言葉で人権の尊重を誓うのではなく、(人権を守るために)具体的な行動を起こす必要がある "と政府の対応に疑問を呈した。

法の支配や基本的人権の尊重といった価値観を共有する国々と関係を深めていくことが外交の基本であることは広く受け入れられている。
岸田外相は9月20日前後にニューヨークを訪れ、国連総会で演説する予定だ。

2023年8月23日付 Japan Times(DeepL翻訳)

どれも興味深い内容ではありますが、中でも注目に値するのは引用した最後の一文で、岸田首相が9月20日前後にニューヨークを訪れ、国連総会で演説する予定だ、と書かれている部分です。
8月1日付産経新聞デジタルによりますと、国連作成の暫定的な演説者リストに、岸田首相の登壇予定は21日(日本時間22日)と記載されているとのことです。
外務省の首相公式外国訪問や国際会議出席を記載しているページにはまだ9月分が掲載されていないため、正式な確認はできていないのですが、岸田首相は昨年も9月20日に国連総会で約20分にわたる一般討論演説を行っています。

岸田首相の演説はロシアによるウクライナ侵攻を中心に、国連事務総長を支持し、国連の理念と原則を尊重するとしながら、国際社会でのリーダーシップをもって人権尊重やSDGsを重視するといったような文言をスピーチに入れ込んでいます。

さて、今回の緊急提案③は以上のような状況を踏まえ、首相官邸に意見を送ろうというものです。
中には自民党党首である岸田首相に願い事をするのは嫌だという人がいるかもしれません。
しかし、これは支持政党や政治信条を超えた、日本国民のひとりとしての超党派でのアクションです。

再発防止特別チームの調査報告書は、大方の予想を超えて評価に値するものでしたが、残念ながら悉皆調査ではありません。
9月7日のジャニーズ事務所による記者会見がどのようなものになるかはまだわかりませんが、たとえどのようなものであろうと、今のままではジャニー喜多川による児童性加害問題の全容が解明されることはなく、ひどく矮小化されてしまうことになります。
それはすなわち、救済できるかもしれない、まだ名乗り出ていない大勢の被害者を取りこぼしてしまうことになるということです。
再発防止特別チームは調査報告書の中で、被害者は数百人にのぼる可能性を示しました。
つまり、さまざまな事情・理由で、まだ名乗り出ていない被害者が数百名いるということです。
国連作業部会のステートメントはどれも重要で、政府にはいずれも実行してもらいたいのですが、中でも下記について実現すれば、死後に警察による捜査で全容に近いと思われる犯行が解明されたジミー・サヴィル事件のように、ジャニー喜多川事件も可能な限りの全容解明に近づくのではないでしょうか。

❶政府が主導し、ジャニー喜多川による児童性加害について強制力のある捜査をすること。

国連総会での岸田首相演説原稿を、誰がいつ作成するのかはわかりませんが、もしかしたらまだ間に合うかもしれません。
国際社会で人権尊重はマストです。
国民から求める声が多ければ、タイミング的に国連総会演説において、国連作業部会からの要求に応じるようなことをひと言でも触れてくれる可能性が出てくるのではないかと淡い期待を寄せるものです。
そうすればメディアもそれを報じることになります。
もしそれが叶わなくても、来年の6月までに松野官房長官が言ったこととは違う結果を生む可能性が出てくるかもしれません。

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【概要】
■首相官邸に、国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会のステートメント(声明)を実行するよう求めるメールを送る。

意見送信先(首相官邸)
※氏名やメールアドレスは任意なので記載しなくてもOKです。
必須事項の「分野」は「外交・安全保障」を選択してください。
「テーマ」はそれぞれ自由記載ですが「人権」「国連総会演説」あたりを入れるといいかもしれません。
リンク先の注意事項をよくお読みください。

■期間:9月2日(土)~ 9月6日(水)までの5日間

■送信内容:できれば先にリンクした東京新聞等の記事に目を通し、大体の状況を把握した上で、国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会のステートメント(声明)を国民としていかに必要としているかを、自分事として訴える。
その上で、岸田首相に国連総会の演説で力強く約束してもらい、人権分野で岸田首相に国際社会でリーダーシップを握って欲しいと要望する(2000文字以内)。

■実際に意見を送った方のみ、以下のハッシュタグを記載して、送信した旨をツイートしてください。

ハッシュタグ:#岸田首相に要望を送りました

なお、このアクションはツイデモの性格を持つものではありません。
上記ハッシュタグをツイートするのは実際に意見を送った方だけにしてください。
ハッシュタグをつける目的は、岸田首相にこのような要望があることを可視化させるためです。
数が少なければこのアクションは失敗ということになりますが、それはそれで人権尊重を求める人が少ないということなのでしょうがありません。

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上記期間が終了しましたら、ジャニーズ事務所の記者会見内容を考慮に入れながら、あまり遅くならないタイミングで、いよいよ最後の緊急提案をさせていただく予定です。
その際もどうかお読みいただければと思います。
私たちのやっていることにどれほど効果があるのかはわかりませんが、やれるだけのことをやってみましょう。

よりよい社会を次世代へ──。
私たち一人ひとりは微力ですが、決して無力ではありません。

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