2020年東京都知事選挙 告示直前レポート
4年間の小池百合子都政の是非を問う東京都知事選挙が6月18日告示され、7月5日の投票日に向けての選挙戦が繰り広げられる。
日本いや世界中で猛威を奮う新型コロナウィルスは各種選挙にも大きな影響を与えている。街頭演説や握手などの選挙運動が制限された。私のような選挙ウォッチャーもどうしても取材を制限せざるを得ない。緊急事態宣言が出されてから、目黒区長選挙や福生市長選挙、港区長選挙といった興味深い選挙が行なわれたのだが、不要不急の外出を避けねばならず残念ながらウォッチする事は出来なかった。緊急事態宣言が解除されたとはいえまだまだ新型コロナウィルスは予断を許さない状況であるから、今回の東京都知事選挙もこれまでのように積極的に取材するのは難しいかもしれない。
■立候補予定者
都知事選は注目が高い選挙だけに、すでに多くの候補者が名乗りを挙げている。今のところ次の人達の名前が挙がっている。
石井 均
市川 浩司 庶民と動物の会
宇都宮健児 立憲民主党、共産党、社民党、新社会党、緑の党推薦
小野 泰輔 日本維新の会推薦
小池百合子
込山 洋 スマイル党推薦
桜井 誠 日本第一党
竹本 秀之
立花 孝志 NHKから国民を守る党
長澤 育弘
七海ひろこ 幸福実現党
西本 誠 スーパークレイジー君
久田眞理子
平塚 正幸 国民主権党
古田 真 土頭(ドタマ)を働かし最高裁判官5人を弾劾をする党 身体から地頭へ人の増える会
山口 節生
山本 太郎 れいわ新選組
■堀江貴文氏と「東京改造計画中」
新型コロナウィルス対策が急務であるということもあり、都知事知事選挙の動きは鈍かった。一時は都知事選挙そのものの開催すら危ぶまれた。現職の小池百合子都知事がなかなか立候補を表明せず、有力な対立候補の名乗りも無かったが、意外な名前が取り沙汰された。実業家の堀江貴文・元livedoor社長である。
関係者によると堀江氏の立候補の可能性は「99%」だという。
かつて「立候補は2万%ない」と言って立候補した橋下徹・元大坂府知事のような例もあるから、この手の発言は正直信じられないのだが、堀江氏は「東京改造計画」という本を5月31日に上梓するなど、まんざらあり得ない話ではないように思われた。
NHKから国民を守る党(N国党)の立花孝志代表は自身のYouTube動画で堀江氏と何度も対談するなど堀江氏とは近い関係にある。来る総選挙では堀江氏がN国党から立候補するとも噂されている。ところがすでに立花代表自身が都知事選への立候補を表明していたのである。
■ホリエモン新党立ち上げ
立花孝志代表は、堀江氏が都知事に立候補した場合、自身の立候補取りやめの可能性も示唆していたが、5月25日になって突如「ホリエモン新党」の立ち上げと自身の同党からの出馬を表明した。
「ホリエモン新党」というと2017年の都議選の際に、堀江氏の出資で立ち上げられた「地方議員をゼロにする会」がそう呼ばれた事がある(全員落選)。今回もてっきり都知事選に向けて堀江氏を党首に新党を旗揚げたものかと思ったのだが、そうではないようだ。ホリエモン新党の党首は立花代表で、堀江氏は党員ですらないという。
立花代表は改めてホリエモン新党からの都知事選出馬を強調したが、公職選挙法に触れるため、堀江氏が同党から立候補する可能性は「100%ない」とも語っていた。
N国党には以前から名称変更の噂があったのだが、今回のホリエモン新党はN国党とはあくまでも別の団体として立ち上げられた。また、5月31日告示6月7日投票の東京都港区長選挙にはホリエモン新党から柏井茂達候補が擁立されたが、候補者5人中最下位という惨敗に終わった。
このホリエモン新党立ち上げの意図について、Twitter上では驚くべき仮説が述べられていた。
それによると、立花代表は選挙戦では堀江氏を褒めたたえることに終始する。そして投票日直前に立候補を取り下げ、自身の支持者の票を堀江氏に投票するように促すのである。当然、「ホリエモン」と書かれた票は、堀江氏の票となる。
もっとも死亡を除いて立候補後の取り下げというのは告示日を除いて認められないため、この作戦が機能することはあり得ないのであるが…。
立花代表はまた以前から「小池百合子」と同姓同名の候補者の擁立も示唆していた。そう都合よく立候補を承諾する同姓同名の人がいるのだろうか?
■宇都宮健児氏と野党共闘
小池都知事の再選が濃厚だということもあってか都政野党からの候補者擁立の動きは遅かった。自民党からは丸川珠代・元五輪相や鈴木大地・スポーツ庁長官、スポーツキャスターの松岡修造氏、立憲民主党からは蓮舫・参院議員らの名前が上がったが、結局立候補には至らなかった。ついには二階俊博幹事長が小池都知事支援まで口にする始末。堀江貴文・元livedoor社長に乗るべきとの声まであがっていた。
そんな中、宇都宮健児・元日弁連会長が立候補を表明した。2012年と2014年の都知事選に野党統一候補として出馬し次点となる。前回2016年もいったん立候補を表明するが、野党各党が鳥越俊太郎氏を立てたことから最終的に辞退している。今回も立憲民主党、共産党、社民党、新社会党、緑の党の各党が支援する野党統一候補となった。
ただ、山本太郎・前参院議員率いるれいわ新選組が野党共闘に加わらない点が気がかりであった。
■小野泰輔氏・日本維新の会推薦
6月2日、小野泰輔・熊本県副知事が出馬を表明。9日になって日本維新の会が推薦を決めた。
小野副知事は、2008年に東大時代の師である蒲島郁夫・熊本県知事の選挙を手伝ったことから2012年に38歳で全国最年少の副知事に就任。くまモンの著作権フリーに尽力するなど、くまモンブームを牽引した。日本維新の会の柳ヶ瀬裕文参院議員とは海城高校の同級生ということもあって、維新の会との政策協定に同意したとの事である。
また、小野副知事は堀江貴文氏とも対談しているが、堀江氏はその際著書に「小野さん当選してください」とサインしている。自身が出馬つもりならそう書くことはないだろうから、どうやら堀江氏の立候補は無くなったようである。
その事を受けてか、それまでホリエモン新党から立候補する予定であった立花孝志氏も、従来通りNHKから国民を守る党からの立候補に変更している。
■立花孝志氏の戦略
立花孝志氏は会見で、都知事選には3人の候補者を擁立すると発表した。N国党公認・ホリエモン新党推薦で出馬する自身の他に、ホリエモン新党公認候補1名、無所属・ホリエモン新党推薦で小池都知事と同姓同名の「小池百合子」候補を立てるのだという。
同姓同名の候補者をぶつけるという作戦は、按分票の獲得を狙うというもので、4月の衆院静岡4区補欠選挙の際にN国党が行なっている。もっともその際は候補者が最下位で惨敗するなど、作戦が成功したとは到底言えないものであった。にも関わらず、今回も同様の作戦を取ろうというのだから、立花代表の意図は理解できない。いたずらに選挙を混乱させているだけではないか。
立花代表は堀江貴文氏が立候補しない場合、堀江氏の秘書の斉藤健一郎氏をホリエモン新党から立てるとも語った。
■小池百合子都知事と7つのゼロ
6月12日、現職の小池百合子・東京都知事がようやく正式に2期目を目指して立候補を表明した。様々な批判はあるものの、新型コロナウィルス対応での奮闘ぶりもあって小池都知事の支持率は7割近くにまで及んでいる。最有力候補であることは揺るがない。
もっとも、小池都知事は4年前の選挙で「7つのゼロ」を公約としてあげていたが、それらの達成という点においては大変厳しい結果となっている。
「7つのゼロ」とは次の通り。
1.待機児童ゼロ
2.介護離職ゼロ
3.残業ゼロ
4.都道電柱ゼロ
5.満員電車ゼロ
6.多摩格差ゼロ
7.ペット殺処分ゼロ
このうち最後のペット殺処分ゼロだけは一応実現したということになっている。また、待機児童も減少傾向にあるというが、後の公約がどうなのかは言わずもがな。
選挙戦を通してこの点は問われていくことになるのだろう。
■山本太郎氏立候補表明
れいわ新選組の山本太郎代表は早くから都知事選への立候補を選択肢の1つとして挙げてはいたが、6月に入ってからも立候補の可能性は「フィフティ(50%)」として決定を保留し続けていた。一部では重度障害者でもあるれいわ新選組の木村英子参院議員を都知事選に立てるとの憶測も出ていた。その場合、山本代表が繰り上げで参院議員に返り咲くことになる。
結局山本代表は6月15日になって正式に立候補を表明した。
山本代表は「緊急政策」として、東京オリンピック・パラリンピックの中止や、新型コロナウイルスの感染拡大による損失対策として都民への10万円ずつの給付などを掲げた。
こうなるとすでに立候補を表明している宇都宮健児氏との間で野党票が分裂することが懸念される。そのため山本代表の立候補については、れいわ新選組内部でも異論があったという。
■日本第一党・桜井誠氏
4年前の都知事選においてマスコミ報道が取り上げたのはもっぱら小池百合子候補、増田寛也候補、鳥越俊太郎候補の3名だけであった。これは明らかな偏向報道で、ジャーナリストの上杉隆候補や、元労働大臣の山口敏夫候補、元兵庫県加西市長の中川暢三候補でさえ大半のマスコミは黙殺していた。この調子では今回の都知事選でも有力候補として取り上げられるのは小池、宇都宮、小野、山本の各氏。それに政党公認候補である立花氏を加えた5名だけだと思われる。立花氏がN国党の公認に切り替えたのもホリエモン新党が政党ではないため、このままでは報道されないおそれがあるからだろう。
2014年都知事選まではドクター中松こと中松義郎氏が有力候補として取り上げられる事が多かったが、それは中松氏がしばしば10万票前後を獲得していたからである。都知事選において有力候補かどうかの判断の基準はどうやら10万票だと思われる。
2016年都知事選挙で5番目に多い11万票を獲得した日本第一党の桜井誠党首は、そういう意味では有力候補として挙げられてしかるべきである。ただ桜井党首は韓国へのヘイトスピーチで知られるだけに、マスコミが報道から意図的に排除する可能性は高いと予想している。
■幸福実現党・七海ひろこ氏
幸福実現党は4年前に続いて七海ひろこ広報部長を擁立する。七海広報部長は、2016年参院比例区で31,717票を挙げたが、これは釈量子党首の28,579票を上回る得票であった。2019年参院選にも東京選挙区から立候補するなど、すっかり党の顔となっている。
ただ得票は2019年参院東京選挙区の34,121票が最高。幸福実現党候補としても2012年都知事選のトクマ候補の47,829票が最高と、まったく勝負となっていない。今年で結党12年目となる幸福実現党は地道な活動が評価されたか2019年11月の奥多摩町議選で公認候補が都内で初議席を獲得するなど、少しずつ支持が伸びている。都知事選を飛躍のきっかけとしたいところ。
七海広報部長というと支持者へのハグで知られるが、新型コロナウィルスの影響もあって今回はやりにくいのではないだろうか?
■後藤輝樹氏政見放送
2016年都知事選で話題となったものの1つに後藤輝樹候補の政見放送があった。NHKの政見放送で放送禁止用語を連呼。そのためNHKによって音声を削除された。
かつて雑民党の東郷健党首は政見放送の音声を無断で削除された事に対してNHKを裁判で訴えた。結局、最高裁では敗訴したもののそれ以降政見放送が削除されることはなくなった。後藤氏の無謀な行為は、こうした先人の努力を無にしてしまう極めて許しがたい事である。
その後藤氏も今回の都知事選に出馬するとの事である。まだ正式は発表はないが、Twitterに政見放送の撮影を終えたとの記述があったから間違いない。
今回の政見放送が放送されない場合、表現の自由を守るため自害して訴える予定だったとの記述もあるから穏やかではない。どのような政見放送なのかが気になるばかり。
■国民主権党・平塚正幸氏
立花孝志代表によると、N国党の関係者は3人が都知事選に立候補する予定であるが、その他に国民主権党代表の平塚正幸氏も元N国党員である。
平塚氏はYouTuber“さゆふらっとまうんど”として活動している。もともとはアンチN国党であったが、2019年参院選に立花代表が呼びかけた「アンチ枠」として千葉選挙区から立候補した。
参院選後もN国党として活動を続け、千葉県四街道市議選には同党から出馬する予定であった。ところが、党内のごたごたに巻き込まれ離党。今回、国民主権党を立ち上げて都知事選に立候補することとなった。
「コロナはただの風邪」、「コロナ騒動を作ったのはコロナウイルスではなく、政府とメディアウイルス」などという主張を繰り広げており、どうも危険な匂いがする。
■スマイル党・込山洋氏
かつて選挙には名物候補というものが存在した。大日本愛国党の赤尾敏総裁、雑民党の東郷健党首、秋山祐徳太子氏…その独特な政見放送や選挙公報はマニアを喜ばせていた。それが、公職選挙法が改正され供託金が値上がりすると、いつの間にか姿を消していった。羽柴誠三秀吉氏、世界経済共同体党の又吉イエス代表(ただし、都知事選への立候補歴はない)が亡くなり、ドクター中松が立候補しなくなった今、スマイル党のマック赤坂総裁は貴重な存在であった。
そのマック総裁は2019年の港区長選挙で初めて当選を決め、常連候補としては事実上引退状態となった。その事を寂しく思っていたところ、今回の都知事選には後継者が立候補するというのである。それが込山洋候補。マック総裁の弟子で元秘書だという。
込山氏は「東京美しい心 大改革22」と題する公約を発表。「路上喫煙は罰金10万円」「毎月8日をスマイルデーとする」などを掲げている。果たしてマック総裁の応援演説が見られるかどうかも期待である。
■スーパークレイジー君・西本誠氏
ラッパー「スーパークレイジー君」として活動する西本誠氏。なんと政治団体もそのまま「スーパークレイジー君」なのだという。
Twitterの自己紹介には「インスタ9度のアカウント停止名物男」「2020年東京都知事候補 ラッパー兼,銀座8丁目CLUB黒服」「平成最後のヤリ◯ンコンテスト受賞」「愛人緊急募集中」とありかなりヤバそうである。さらに全身刺青、逮捕歴7回というからガチである。
選挙に行かない若者たちに訴えていくとのことである。
■その他の候補者たち
庶民と動物の会の市川浩司氏は、「庶民に優しく動物にも優しい世の中を実現させる」ことをモットーとしている。
竹本秀之氏は「日本はアメリカに情報支配されている」と主張。いわゆる陰謀論を唱えている。著書に「本気の陰謀論」があり、そこでは、
1.日本のインターネットの情報はすべて盗まれている
2.日本の証券口座の情報はすべて盗まれている
3.警察や弁護士は事件解明に興味がない
と主張しているらしい。昨年の参院選に山口選挙区から立候補している。
久田眞理子氏はフェンシングアスリート。「児童英語講師の資格の中で、体育の授業を行う一環でフェンシングのコーチの資格を取得した」との事。アスリートらしく東京オリンピックの実現を公約の1番に掲げる。
久田氏は会見で選手としての実績を問われ「なかなか難しいものがあった…」と口ごもったというが、「2019年度女子フルーレ(シニア)ランキング表」を見た所140人中139位という成績であった。
古田真氏の政治団体は「土頭を働かし最高裁裁判官5人を弾劾をする党 身体から地頭へ人の増える会」とやたら長い。
最高裁判事5人を弾劾するというのが公約なのはわかるが、それ以外は何を言っているのかホームページを読んでも正直わからない。昨年の千代田区長選挙でわずか37票で落選しているのも納得だ。
石井均氏はフリージャーナリスト。参院愛知選挙区に無所属で出馬し破れている。ホームページには景気対策や年金問題から南京大虐殺に対する見解まで幅広い政策が述べられている。
長澤育弘氏は薬剤師で、池袋で薬局の店長をしているとのこと。34歳と若い候補者だ。
■スーパースター山口節生先生
今回の立候補予定者の中で最後にどうしても触れておきたい人物がいる。それが山口節生先生である。最後にもったいぶって取り上げるには意味がある。私は立候補表明はしていても山口先生が本当に立候補してくるとは思っていないからである。
私が山口先生を認識したのは鈴木俊一都知事が勇退した後の1995年4月の東京都知事選挙の時だった。開票が始まってすぐに青島幸男・元参院議員に当確が出てしまい盛り上がりに欠けたのだが、その裏で山口先生は国立大学の裏口入学をなくす会の目片文子候補と激しい最下位争いを演じる。開票の途中経過が発表されるたびに順位が入れ替わる激戦の末、目片候補10,142票、山口先生6,579票で見事最下位となった。
山口先生は同月の参院選東京選挙区、1996年6月の埼玉県知事選挙、10月の衆院選埼玉13区、1997年7月の都議選豊島区、1998年3月の衆院東京4区補選、7月の参院選埼玉選挙区と次々と選挙に出馬しては破れていく。まさしく“栄光なきドン・キホーテ”と呼ぶにふさわしい。大川興業の大川豊総裁が著書「誰が新井将敬を殺したか」でこの山口先生を取り上げたことから世間でも注目を浴びるようになった。私が彼を「山口節生先生」と呼んでいるのは、大川総裁の著書に倣ってである。
しかしその山口先生も21世紀に入ってからは選挙への立候補が激減する。度重なる選挙への出馬で資金難になったものと思われる。ほとんどの選挙で山口先生は供託金を没収されていた。しかし2011年の埼玉県議選南10区では定数2のところ3人が立候補。得票こそ最下位当選の候補者の半分以下の6,791票だったが、得票率12.39%で初めて供託金没収を免れている。
2015年4月のさいたま市議選には南区から立候補。しかし選挙戦の最中に2012年に駐車違反の供述証書を破った件で公用文書毀棄罪で懲役8ヶ月の実刑判決が確定したため、公民権を喪失して被選挙権を失い立候補が無効となってしまった。出所後は立候補表明をしては実際に立候補をしないということを繰り返している。2016年の東京都知事選挙や2018年の新潟県知事選挙、沖縄県知事選挙、2019年の埼玉県知事選挙区でも立候補表明をしたものの告示日に届け出をしなかった。一部では「出る出る詐欺」だとも囁かれているが、立候補表明をした際にマスコミに取り上げてもらえたことで満足してしまい、わざわざ没収される供託金を払わなくても目的を果たせたということなのだろう。
しかし、2019年4月のさいたま市議選には南区から久しぶりに実際に立候補をしている。もっとも、わずか181票という自身でも最低の得票しか挙げられなかった。
昔から山口先生に注目している身としてはぜひとも今回の都知事選に立候補して欲しい。もし本当に立候補すれば2007年以来13年ぶり3度目の都知事選挑戦ということになる。
■都知事選得票予想
最後に現時点での当落予想を立ててみたいと思う。
前回2016年の上位の候補者の得票は次の通りとなる。
2,912,628小池百合子 無所属・新
1,793,453増田 寛也 無所属・新 自民党・公明党・こころ推薦
1,346,103鳥越俊太郎 無所属・新 民進党・共産党・社民党・生活の党推薦
179,631上杉 隆 48 無所属・新
114,171桜井 誠 無所属・新
51,056マック赤坂 無所属・新
28,809七海ひろこ 幸福実現党・新
27,241立花 孝志 NHKから国民を守る党・新
前回自民党と公明党は増田寛也候補を推薦しているが、今回は自主投票となった。ただし、公明党は山口那津男代表が実質的に小池都知事を支持すると表明している。2016年参院選比例区での公明党の得票は71万票なのでほぼ同じだけの票が今回は小池都知事に加わると予想される。増田候補の残りの約108万票が自民党と日本のこころを大切にする党支持者の票だが、このうち7割程度の約76万票がやはり小池都知事に流れるとする。そうすると、小池都知事の今回の票は約438万票となる。つまり小池都知事が400万票を超えて圧勝するという可能性があるのだ。
一方鳥越俊太郎候補の得票は約179万票だが、彼を支援した野党4党の2016年参院選比例区の得票の合計は約248万票である。鳥越候補は野党票をまとめきれていなかった。
2019年参院選比例区の各党の得票は次の通り。
1,867,316 自民党
1,020,185 立憲民主党
665,106 公明党
651,338 共産党
458,151 れいわ新選組
449,908 維新の会
272,990 国民民主党
133,732 N国党
103,756 社民党
53,437 安楽死制度を考える会
22,040 オリーブの木
18,488 幸福実現党
6,881 労働党
小池都知事の対抗馬の1番手と目されるのは宇都宮健児氏。今回、宇都宮氏を支援する立憲民主党、共産党、社民党の3党の票を足すと約178万票となり前回鳥越候補が獲得した得票とほぼ同じとなる。宇都宮氏はこの票を絶対に死守したいところ。
小池都知事に流れなかった増田候補の残りの票約32万票は同じ保守系の小野泰輔氏が取ることになるだろう。維新の会は参院選では約50万票だが、同党の音喜多駿・参院議員は東京選挙区で約53万票取っている。
山本太郎・前参院議員が獲得するのはれいわ新選組の約46万票だが、2013年参院選東京選挙区での得票約67万票ぐらいまでは票を伸ばす可能性がある。小池都知事の得票にはかなりの浮動票も含まれているから、ここを山本前議員が奪うような形になれば面白い。
小池都知事の約400万票から、約5万票を小野氏に、約70万票を山本氏に移してもまだ約325万票で、宇都宮氏178万票ではまったく勝負にならない。もちろん、前回の選挙後に小池都知事支持から離れる票もあるだろうから、小池都知事は前回と同程度の約300万票程度に収まるようにも思える。
小野氏、山本氏がさらに50万票ずつ、小池都知事から票を奪ってようやく、小池200万VS宇都宮178万票と背中が見えてくる。後は宇都宮候補がどれだけ票を上積みするかだ。
宇都宮氏の逆転勝利の可能性は無いとは言えないが、かなり厳しいといったところだろう。
もちろん選挙は水物で、まだ告示前で候補者が出揃っていない段階での予想にあまり意味はないことはわかっている。これから選挙の戦い方次第で結果は変わって来るはずだ。
いち有権者としても都知事選を楽しみたいと思う。
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