NHKから国民を守る党をぶっ壊す!11~泥沼編~
私は以前からこの「栄光なきドン・キホーテ」で「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!」という記事を書いていた。「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!10~炎上編~」を2022年6月に公開してからすでに2年近く経っている。その間にNHK党は分裂。現在は大津綾香党首率いる国政政党「みんなでつくる党」と、立花孝志党首率いる政治団体「NHKから国民を守る党」の2つが存在している。ここに至る経緯には様々な波乱があった。2年間の歩みを振り返り、今後の展望を考えていきたい。
◆参院選公示
2022年6月23日、第26回参議院議員選挙が公示された。神奈川選挙区の非改選の補欠選挙分を加えて125議席(選挙区75・比例区50)で争われた。立候補したのは545人(選挙区367・比例区178)だった。
政党別の立候補者数は次の通り。
NHK党は定数6の東京都に5人の候補者を擁立。その他の全選挙区に定数いっぱいの候補者を立てた。また、比例代表区の候補者は9人で、合計82名。自民と同じ人数を擁立している。
これは供託金だけで2億円を超えている。しかも選挙区に立候補した候補者は誰ひとりとして当選の可能性は無く、一見無謀とも思える。しかしながら、全選挙区に候補を立てることで、比例区の得票を底上げするという目標があった。さらに、国政選挙において国政政党には当落に関わらずその得票に応じた政党助成金が支払われることになっていることから、候補者の大量擁立で少しでも政党助成金を多く得ようという目論見なのだろう。
東京選挙区に立てた5人の候補者のうち、NHK党の看板を前面に出していたのは松田美樹・元新宿区議のみで、他の候補は諸派党構想に賛同する他の政党の名前を出していた。
「動物愛護党」「バレエ大好き党」「炭作り党」。「議席を減らします党」と、いずれもワンイシューを押し出した政党名で、NHK党に関心がなくても、政策に賛同する票を取り込もうという作戦かと思われる。しかし、いずれの候補もNHK党の公認であるため、彼らの得票はNHK党の得票として換算されることになる。
◆ガーシームーブメント
今回のNHK党の目玉となったのは、比例代表区から立候補したガーシーこと東谷義和候補であった。
ガーシー候補はTwitterで、期日前投票を行なった後にSNSに「#ガーシーに1票」 を付けて投稿することを求めていた。これは、投票行動を明らかにすることで不正選挙を防止しようとの目的もあったのだろう。その結果、投票用紙にガーシーの名前を書いたものを撮影して「#ガーシーに1票」と共に投稿するということが盛んに見られるようになった。
このことが公職選挙法違反に当たるのではないかという声があがった。投票用紙をネットに掲載することが、選挙運動用の文書図画の更新に当たるというのである。また、他の有権者に対する秘密保持のためにも、多くの投票所では写真撮影が禁止されている。
これに対しNHK党の立花孝志党首は、「合法」であると主張。投票用紙の写真の公開を奨励していた。
私個人としては、秘密投票の原則を守るためにも、投票所内での撮影は一切禁止すべきだと考えている。従って、投票用紙の写真の公開にも反対だ。もしこんなことがまかり通ってしまえば、業界団体などが支持する候補者に確実に投票させるために、証拠として投票用紙の写真を撮影してくることを求めることにつながってくる。すでに、激戦となった沖縄県知事選挙などではこのようなことが行なわれていたと言われている。
そうした行為を批判するために、私も「#ガーシーに1票」をつけてツイートを投稿してみた
するとガーシー候補本人を含めて瞬く間に多くの「いいね」が集まった。
さらに、「1枚目にもガーシーと書きます」と投稿してみた。
なお「1枚目」は都道府県選挙区の投票用紙なので、ガーシー候補は立候補しておらず、無効票になってしまう。ところがこちらの方は驚くべきことに100以上の「いいね」を集めてしまった。どうやらガーシー支持者は「#ガーシーに1票」とあれば無批判で「いいね」をしてしまっているようなのだ。もちろん一部には間違いを指摘する声もあったのだが…。
目立とうとするためだろうか、「ガーシー」という名前をデコレートして投稿するような人も出てきた。
こうした投票用紙に関しては「無効票になるのでは?」という声もあった。上記のツイートの投票用紙に関してはおそらくは開票マシーンで読み取ることができず、目視で有効票になるとは思うのだが、次のようなことを言う人まで出てきた。
もちろんこれでは無効票になってしまう。メッセージやイラストは候補者名や政党名とは関係ない「他事」の記載と見なされてしまうからである。
この人はこんな投稿もしていた。
これはファンを装ったアンチの仕業で、かなり悪質である。ところがこれに騙されそうになった人もいたのである。有権者はこうした意見に惑わされず、正しい知識を持って投票に臨んで欲しいものである。
このようにガーシームーブメントともいった盛り上がりを見せていた。
◆ガーシー議員誕生
2022年7月10日、参院選が投票となった。
比例代表区の政党別得票と獲得議席は次の通りとなった。
NHK党は1議席を獲得。そればかりか得票率2.4%で政党要件を維持した。また、参政党も1議席を獲得している。
今回の参院選で私はNHK党と参政党は共に議席には届かないだろうと予想していた。参政党についてはブームがネット上だけで広まっていない点、NHK党は公選法違反すれすれの選挙戦術が有権者の反感を買うだろうという点が根拠であった。ところが蓋を開けてみると共に1議席確保の上に、得票率2%以上で政党要件を得たのである。選挙戦の終盤、NHK党の立花孝志党首は、参政党をターゲットに据えて激しく攻撃を加えていたが、共にネット上での支持を重視するなど、ある程度支持層が重なっていたと思われる。したがって、両者で票を分け合ってしまえばどちらも議席には届かない。よくてどちらか一方だけが議席獲得ということになるだろうと考えていた。どうやらこの認識は甘かったようだ。ネット層の力を思い知った。
NHK党の比例区候補者ごとの得票数は次の通り。
最多得票となったガーシー候補が当選した。287,714票というのは比例区全体で10番目に多い得票である。NHK党のガーシー起用は図に当たったのである。
一方、NHK党が選挙区に擁立した候補者73人は全員が供託金没収となった。しかし選挙区の候補者全員の得票は1,106,508票で得票率は2.08%にも上った。こちらも狙い通りの結果となった。
◆ガーシー除名
当選は果たしたものの、アラブ首長国連邦のドバイで活動するガーシー参議院議員は8月3日に召集された臨時国会を欠席した。ガーシー議員はその際に渡航先を「アラブ首長国連邦」、目的を「政治経済事情調査」、帰国日を「未定」とする海外渡航届を提出したが、議会側に拒否されていた。欠席する理由として、帰国すれば逮捕されるおそれがあること、安倍元首相の殺害の件を受けて自身も命を狙われる可能性があることを述べている。
10月の臨時国会でもガーシー議員は海外渡航届を出していたがやはり議会側に拒否されている。
翌1月の通常国会ではガーシー議員は「各国の要人との面会を含めた予定が入れてしまっている」ことを理由として欠席する旨の文書を参議員に提出。さらに2月には「NHKの郵便法違反を国政調査権に基づき国会が追及しない」ことを理由に欠席を表明していた。その後も会期中一度も登院しなかった。
1月30日、尾辻秀久・参院議長が国会への出席を求める「招状」を発出したものの、ガーシー議員は出席しなかったため、ガーシー議員に対する懲罰委員会が開かれた。NHK党の浜田聡参院議員が代理出席し、帰国しない理由について、「(楽天・三木谷浩史社長の虚偽告訴によって)不当な拘束を受ける可能性がある」と弁明した。
上述した通り、ガーシー議員の欠席理由は変遷している。案の定「意味をなさない」「一貫性がない」との異論の声が噴出した。
国会における懲罰は重い順に(1)除名(2)最大30日間の登院停止(3)陳謝(4)戒告の4つがある。ガーシー議員には除名という声もあったが、結局3番目の「陳謝」ということになった。次の国会に出席し謝罪をすることを求めるということであった。
しかし、陳謝文を読み上げる予定であった3月8日の本会議をガーシー議員は欠席した。その前日、ガーシー議員は訪問先のトルコで「明日の参院本会議は欠席します。お手数をおかけしますがよろしくお願いします」とメールで連絡。また、当日国会で述べる予定だった陳謝を動画で撮影し、国会に提出しようとしたものの、国会側から「受け取ることは出来ないと判断され、返却された」という。
陳謝をしなかったことから、ガーシー議員にはより厳しい処置が取られることなった。3月14日の参院懲罰委員会において、ガーシー議員の除名が決定。15日の参院本会議において正式に決定された。
現職の国会議員が除名されるのは史上3人目である。1人目は1950年の小川友三・参院議員(親米博愛勤労党)。参議員予算案審議で反対討論に立ったものの冗漫で意味不明な発言に終始。おまけに反対討論に立ちながら賛成票を投じたため、国会内外で批判が高まり、任期満了を1ヶ月残して除名処分を受けた。また、1951年には川上貫一代議士(共産党)が国会での代表質問で社会主義革命を称賛し議会政治を否定する発言を行なったことが問題視され除名されている。
NHK党の立花党首は、ガーシー議員が国会に出席しないことを公約に約28万票を獲得して当選したことを「民意」だとして、国会に出席する必要はないとしていた。支持者の間にもそのような意見を言う人が多く見られた。
しかしいくら公約を唱えていたからといって、当選しただけでその政策が有効になるというわけではない。それなら、NHK党は「NHKをぶっ壊す!」という公約で当選しているのだから、とっくにNHKは解体されていなければならないではないか。
また、現実問題として国会はリモートに対応していない。それを認めるためには、ガーシー議員自身が国会議員としてシステムを改正する必要があった。
ガーシー議員が除名されたNHK党の議席は、齊藤健一郎・副党首が繰り上げられることとなった。齊藤副党首は参院選比例区で4番目の得票であったが、比例2位の山本太郎候補と、3位の黒川敦彦・幹事長はすでに比例名簿から削除されていた。2人には繰り上げを辞退する代わりに党から解決金が払われるとの話であった。ガーシー議員の28万票を「民意」と盛んに主張していながら、齊藤副党首よりも得票が多い山本候補、黒川幹事長の「民意」を蔑ろにするというのはあからさまなダブルスタンダードである。山本候補も「議員バッチ」はつけたかったと悔しさをにじませていた。齊藤副党首はもともとホリエモンこと堀江貴文氏の秘書を務めており、堀江氏の支援を期待しての齊藤副党首繰り上げとも考えられる。なお、2人に払われるはずの解決金は後に反故にされたようである。
◆GASYLE(ガシる)発足
ガーシー前議員は2021年12月以降、アラブ首長国連邦のドバイで活動を行なってきた。企業PR動画のために著名人をキャスティングできると話を持ち掛けて広告費用やキャスティング費用を騙し取る詐欺行為を行なっていたことで、被害届が出され、逮捕されることをおそれての逃亡であった。2022年2月にはYouTubeチャンネル「東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】」を開設し、これまでに関わってきた芸能人のスキャンダルを暴露するいわゆる“暴露系YouTuber”としての活動を開始した。同チャンネルは4月にはチャンネル登録者100万人を超えている。しかしながら、参院選直後の7月13日にYouTubeアカウントが停止されてしまった。
それに先立って6月末にはガーシー議員のTwitterアカウントが停止されている。直接の原因は俳優・小栗旬が全裸でカラオケを歌う写真を投稿したことであった。その後もTikTok、ツイキャス、Instagramのアカウントが停止された。
それに対してガーシー前議員は、2022年8月に独自のオンラインサロン「GASYLE(ガシる)」を設立した。このGASYLEは月会費3,900円で、クレジットカードの二重払いや、無料期間終了後に解約が出来ないというトラブルが続出するも、最盛期には会員数は3~4万人を集める人気となった。ガーシー前議員も当初は芸能界・政財界の著名人の不祥事を暴露する動画配信を行なっていたが、2023年3月30日の配信でガーシーは今後は暴露系をやめて、ドバイのグルメ情報などを紹介する「ポジティブ系」に転向すると発表していた。同年4月末からGASYLE はメンテナンスに入ったものの、後述のガーシー前議員の逮捕によって配信は途絶えたままとなっている。
GASYLEとは別に、FC2の高橋理洋・元社長は2022年7月に新たなSNS「GC2(ガーシーツー)」を立ち上げている。「GC2はYouTubeやTwitterといった既存のSNSより言論の自由を尊重したSNSです」とのことであったが、やはりガーシー逮捕により利用者数が減り、2024年5月13日で閉鎖となった。
◆ガーシー逮捕
2023年3月16日、ガーシー前議員に暴力行為違反や名誉棄損の疑いでの逮捕状請求がなされ、4月14日に国際指名手配された。そしてガーシー前議員は6月4日、ドバイから成田空港に移送された。17時過ぎに成田空港に到着したガーシー前議員は、暴力行為等処罰法違反などの疑いで逮捕された。
ガーシー前議員は自身に逮捕状が出たことに対して、「一生帰国しないことを覚悟できた」「もう日本に帰らんから」などと発言。立花孝志党首も、「2度と日本に帰ってこないでしょう」と語っていた。
帰国の際のガーシー前議員はサンダル履きのラフな格好。所持品もスマホだけで、荷物も何も持っていなかったという。実質的には強制送還に近かったのだろう。確かに、犯罪者が海外で逃げおおせたとあっては、日本の警察の沽券にも関わる。もしこれを許せば、今後同様のことをする犯罪者も出てくるだろう。これは国の威信にかけてもガーシー前議員を逮捕しなければならなかった。
2024年3月14日、東京地裁はガーシー被告に懲役3年・執行猶予五5年の有罪判決を言い渡した。
裁判でガーシー被告は、「二度と動画配信はしたくない」と話していたが、5月1日、彼の弁護人を務めた高橋裕樹弁護士のYouTubeチャンネルで「今後の活動と絶対に許せない●●を告発」という内容の動画配信を開始した。しかし、開始3分で配信が止まり「この動画は、YouTube利用規約への違反にれより削除されました」との表示に切り替わった。
◆政治家女子48党誕生
2023年3月8日、NHK党は党名を「政治家女子48党」と改称した。同時に立花孝志党首が辞任し、大津綾香氏が新党首に就任。表向きはガーシー前議員の除名を受けての引責辞任であったが、党への批判を交わすという目的もあったのではないだろうか。所属議員は、浜田聡参院議員と齊藤健一郎参院議員の2名。副党首の丸山穂高・元代議士と、齊藤健一郎参院議員は留任。立花前党首は党事務局長に就任した。
政治家女子48党は「歌って踊れる政治家アイドル」を目指すプロジェクトとして2022年11月に発足している。“闘病アイドル”でもある夏目亜季・荒川区議を党首に政治団体として立ち上げられた。2023年4月の統一地方戦に全国で候補者を立て、当選者の中からオーデションで選抜メンバー48名を決定し、最終的には武道館でライブを行うという。
その初陣として、2022年12月18日告示25日投票の西東京市議会議員選挙に政治家女子48党は候補者3名を擁立した。織田三江候補、 朝日恵子候補、丸吉孝文候補である。
NHK党はもともと西東京市議選には参院選大阪選挙区から立候補した経験のある丸吉候補を擁立する予定であったが、政治家女子48党の立ち上げによって丸吉候補は事実上選挙戦から撤退。立候補はしたものの党の知名度を高めることに徹したようだった。選挙公報も提出せず、ポスターにも自身の顔写真は用いていない。
開票の結果、政治家女子48党の候補者は全員が下位で落選した。織田三江候補153票、朝日恵子候補96票、丸吉孝文候補14票と、いずれも供託金没収の惨敗となった。
2023年4月の統一地方選にも政治家女子48党は36名の候補者を立てる予定でいたが、政治団体のままでは「諸派」扱いとなってしまう。そこで、政治家女子48党を国政政党とすることにしたのである。既存の「政治家女子48党」もそのまま政治団体として存在し、夏目亜季・荒川区議が党首を引き続き務めることになった。つまり同一名称の政党と政治団体が同時に存在することになる。これはなんとも紛らわしいが、そこが立花前党首の狙いなのだろう。都合に合わせて政党と政治団体を使い分けるのではないか。実質的には両者は一緒で、大津党首も夏目党首も、立花前党首の傀儡であることは間違いない。
また、政治団体として存在していた「NHKの弁護士法72条違反を追及する党」が「NHK党」に名称変更した。つまり国政政党としてのNHK党は無くなるが、政治団体としては存続するということである。代表者は立花党首がそのまま務めることとなった。
さらに、企業としての「政治家女子48党株式会社」も立ち上げられた。
代表は政治家女子48党から千代田区議会議員選挙に立候補予定の佐藤さおり氏。派遣業とプロダクションをやるのだという。
まさにやりたい放題。これを政党の私物化と呼ばずして何と言おう。
◆政治家女子48党分裂
2023年3月31日、政治団体「NHK党」の緊急記者会見が開催された。
この記者会見に参加したのは立花孝志・NHK党党首(前・政治家女子48党代表)と、浜田聡・参院議員、齊藤健一郎・参院議員の3人。浜田・齊藤両参院議員は国政政党「政治家女子48党」の所属議員であるのだが、NHK党とはどう関係があるのかよくわからない。結局のところ両者は実質的に同じということなのだろう。
記者会見の内容は、政治家女子48党の取付騒ぎについての説明が主であった。大津新党首が就任したことがきっかけとなって政治家女子48党に借金の返金を求める取付騒ぎが発生したとのことである。なるほど、これまでNHK党は良くも悪くも立花孝志前党首のワンマン政党で、そんなNHK党にお金を貸したのは、立花前党首を信頼してのことだったのだから、党首変更で不安になる人も多いに違いない。確かに、大津新党首は党首就任会見で「減税に対する考え方を聞かせて下さい」と聞かれ、「質問が難しいのでスルーしていいですか」と答えるぐらいで、頼りないことこの上ない。
立花党首によると、現在党には333人に10.4億円の借金があるという。ところが党の資金はすでに2400万円しか残っていないというのだ。返還は既に不可能となっている。しかしこのまま党の活動を停止すれば政党助成金が入ってくるため債権者への原本の返還は可能であるとのこと。そのためにも政治家女子48党の代表権を大津綾香党首から自身に返還するよう改めて求めた。
この会見のクライマックスは、立花党首と対立する黒川敦彦・幹事長の乱入であった。当初、黒川幹事長は客席から立花党首に質問を投げかけていたのだが、途中で齊藤参院議員が会見席に座るよう促し、直接対決となった。黒川幹事長は最初に立花党首に対して、「まず一つ約束を頂きたいんですけれども、私が普通に暴力的じゃなく質問しに来るのはいつまでも受けて頂けますよね?」(1:22:51)と質問した。それに対して立花党首は「いや、約束しません。時間がもったいないからです。」と拒否した。黒川幹事長は「神谷宗幣さんみたいじゃないですか。」と言ったが、確かにこれまでNHK党との対話を拒否しているとして批判していた参政党の神谷氏と同様だと言われても仕方がない。
その後も黒川幹事長の質問に対して、立花党首は「嫌です。」「『嫌です』と答えました。」「説明してなかったら何なんですか。」「質問したことに対して『答えません』って言ったらそれで終わりじゃん。」「知らん。」とはぐらかすばかりでほとんどまともに答えようとしない。黒川幹事長の「行き当たりばったりやってきたから借金が返せなくなったんですよ。」(1:46:18)というのに対して立花党首は「返せなくなってないですよ。」と返す。
黒川「少なくとも取付騒ぎが起きているという…」
立花「(取付騒ぎは)起きたんじゃない、起こしに行ったんです」
黒川「私(黒川)を切るために起こしに行った?」
立花「そうですよ、何言ってるんですか。」
なんと、政治家女子48党への取付騒ぎは黒川幹事長をハメるために立花代表が自ら起こしたのだという。以前立花党首は、取付騒ぎの元凶は政治家女子48党の大津綾香党首と黒川幹事長の責任であると語っていたのだが、これが事実なら立花・前党首自身の責任であるということになる。
しかしながらその後、大津党首が代表者変更の書類をすぐに用意できなかったことから交渉は決裂。立花前党首は党の事務局長を辞職することとなった。立花前党首は大津党首に「当選しても落選しても、党首としての手当てを月100万払う。人事権などにも条件はつけない。」と頼んだという。それに対し大津党首は「5年契約の書面にしてください」と申し出たところそれはうやむやにされたそうである。
大津党首は「私が代表権を持っていることで、党の民主主義が保たれるなら、手放すべきではないと考えています。この際、党内をクリーンにします。党内洗浄。単純に、おかしいことをおかしいといえるようにしたいです。パワハラや人格否定をする人が、トップでいいのか。何をやっても許されるわけではありませんから」と語り、立花前党首への対立を深めていった。
立花前党首によると、取付騒ぎが起きた原因の1つは、黒川敦彦幹事長と大津党首が主催する政治資金パーティー開催を巡る騒動とのことであった。黒川幹事長は4月2日14時から高田馬場で「政治家女子48党政治資金パーティー」を開催すると発表していた。これまでNHK党は国民から寄付を貰わないことをモットーとしてきた。現にホームページ上にも「政治資金収支報告書公表にあたって」にも「寄附や献金、政治資金パーティー等の資金集めにある宗教や企業などの団体とのしがらみを一切つくらない国政政党」とある。
そのため、政治資金パーティ開催の発表には支持者の間に少なからぬ動揺があった。
立花前党首もパーティーのやり方について反発。結局、パーティーの開催自体が取りやめになってしまった。真偽は不明だが、パーティーの内容についてのLINEの画像が出回っている。それによると、当日の出し物として、各女子候補者とのツーショットチェキ2000円。「推しを当選させる権利100万円」としてYouTubeに広告をかける。大津党首による「鞭打ち1万円」「亀甲縛り10万円」などといったものがあり、目を疑う。
立花前党首は、黒川幹事長の解任や、内定していた衆院山口4区補選への黒川幹事長からの候補者差し替えを発表したが、黒川幹事長はそれを拒否。
立花前党首はすでに党を辞任した人物であるとして、あくまで大津党首の支持に従うとした。立花前党首と黒川幹事長は完全に決別しており、双方が批判を繰り広げている。(結局、黒川幹事長は補選に出馬しなかった。)
◆代表権争い勃発
4月6日、立花前党首は党役員会にて、大津綾香党首が「党を解党する危険性があった」として除名処分と決定した。また、立花事務局長が代表権を持たない党首に復帰、齊藤健一郎副党首が党代表、浜田聡政調会長が幹事長に就任するとのことであった。
一方の大津綾香党首は「全く聞いておらず、承認していない」として党首辞任を否定。立花事務局長らによる投資金の不明瞭な流れがあった可能性があり調査を始めるとして、少なくともその結果が出るまで党首を続けるとの考えを示した。立花前党首による解任決議も、役員半数の招集がなかったため、規約により党首解任は出来ないとのことであった。同じく黒川幹事長も、自身の解任は無効であるとして、幹事長職に留まることとなった。
立花前党首らは代表が大津氏から齊藤氏に代わるとする「政治団体の届出事項の異動の届出」を4月7日に千葉県選管を通して総務省に提出したが、総務省は「大津氏側と立花氏側の間で主張が異なっているため判断をしかねる状況で、内容を確認中」として受理しなかった。「現代表が誰かは、実質的な調査権を有していない。当該団体に聞いて欲しい」と距離を置くとのことであった。
大津氏、立花氏の双方が党の代表だと主張する異常事態。果たしてこれが統一地方選にどう影響するか。
◆統一地方選前半戦
4月9日投票の統一地方選挙前半戦、大津綾香党首は神奈川県知事選挙に立候補した。神奈川県知事選には当初、看護師の市川樹菜氏の擁立が決まっていたが、「ニュースを見た親から猛反対され、立花さんから『無理して出馬しなくていい』とのことで辞退させてもらった」とのことで、候補者差し替えとなった。
開票結果は次の通り。
現職の黒岩祐治知事が圧勝で当選を決めた。
統一地方選前半戦では、他に大阪府知事選挙に佐藤さやか候補を擁立している。
その他、政治家女子48党は候補者を立てた千葉県(中央区)と京都府(伏見区)でも下位で落選しており、統一地方選前半での当選者は0であった。
その一方で、愛知県議選(春日井市)に立候補した無所属新人の末永啓・前春日井市議が当選している。4人区に5人が立候補したが、公明党現職の市川英男県議を押しのけての当選は立派としか言いようがない。この末永市議の妻である末永友香梨氏はNHK党の所属で、統一地方選後半戦で北区議選に立候補する予定。その関連もあって末永啓・前市議も一時期NHK党に所属していたのだが、2022年5月に離党している。末永市議がNHK党のステルス候補かどうかはわからないが、NHK党の看板を外すことが当選への近道となれば、今後もNHK党の議員や候補者にも同様の動きがあるかもしれない。
◆統一地方選後半戦惨敗
4月23日、統一地方選後半戦を迎えた。4年前の統一地方選では当時の「NHKから国民を守る党」は大躍進。27名もの当選者を出した(別日程で行われた台東区議選含む)。しかし、このうちの12名がその後、除名・離党によって党を離れ、多くは他の政党からの出馬を選んだ。また、市川市の佐直友樹市議、練馬区の松田亘区議、板橋区の近藤秀人区議の3人が今回は出馬しなかった。新宿区の松田美樹・前区議は居住実態が無かったことから当選無効とされ、今回は夫の松田亘区議の後任として練馬区からの出馬となった。従って党所属のまま改選を迎えた現職は11名ということなる。
もっとも国政政党・政治家女子48党から出馬した現職はおらず、大半は政治団体のNHK党もしくはNHKから国民を守る党からの出馬となった。政治団体・政治家女子48党の党首である夏目亜季・荒川区議は政治団体「次世代あらかわ」から出馬した。
多くの選挙区でNHK党と政治家女子48党の候補者がバッティングしていた。立花前党首は、従来のNHK問題に関心のある層はNHK党に投票し、政治家女子48党はいわゆる無党派層の浮動票を集めるものだと考えており、両者の棲み分けは可能だと考えていたようであった。以前にも「政治家女子48党の方は全員当選」「NHK党の方は15人ぐらいは通るんじゃないかな」と語っていた。
統一地方選後半戦には政治家女子48党、NHKから国民を守る党などから合計82名が立候補した。
しかしながら結果は惨敗もいいところ。当選したのはわずかに4人だった。
前回の統一地方選でNHK党から当選した議員は次の通り。
◎は今回当選、×は落選。
党に残った現職で再選を果たしたのは觸澤高秀市議と夏目亜希区議の2名のみで、9名は再選に失敗した。離党して無所属や他の政党から立候補した現職も9名いたが、再選したのは自民党に移籍した野口健太郎・文京区議と、国民民主党に移籍した二瓶文隆・江東区議の2名のみ。NHK党を出ても残っても厳しい結果であったと言える。
新人として立候補したNHK党や政治家女子48党の候補者はもっと厳しかった。NHK党の新人47人(松田美樹・元新宿区議ら他自治体の議員経験者含む)と元議員1人(江戸川区の田中健・元区議)のうち、当選したのは愛知県高浜市議選の福岡里香候補のみ。政治家女子48党は27人の候補者のうち当選したのは千葉県船橋市の甲斐幸候補のみであった。
◆政治家女子48党の敗因
統一地方選におけるNHK党・政治家女子48党の敗北の原因はなんだったのか。
やはり、ガーシーこと東谷義和・前参院議員の除名に始まる党内のごたごたであろう。マスコミでも盛んに報道されており、それに有権者が嫌気がさしてしまったということに他ならない。また、同じ選挙区にNHK党と政治家女子48党の候補者が複数立候補したことで票が割れるという戦略上のミスもあった。結局のところ有権者は両者を同一のものと見なしてしまっていたのだ。
都内のNHK党・政治家女子48党の候補者の得票数は次の通りとなる。
自治体名の後の( )は最下位当選者の得票。
もし候補者が一本化されていれば、数字の上では台東、墨田、品川、目黒、大田、板橋、江戸川、八王子の8つの選挙区で当選していた可能性がある。また、ほとんどの選挙区では前回を下回る得票であったが、唯一当選した荒川区の他にも、墨田区、目黒区、大田区、江戸川区で得票を増やしている。墨田区の場合は、前回NHK党で当選した後に離党した現職がいるにも関わらず前回以上の得票を挙げているのは立派だというしかない。返す返すも、候補者乱立によって票が割れたことが痛かった。
少なくとも現職のいる選挙区は候補者を一本化して、確実に再選を狙いにいくべきだったのではないか。こうした声は現職からは挙がらなかったのだろうか?
◆ステルス候補躍進
都内のNHK党関連の候補者で唯一当選したのは夏目亜季・荒川区議だった。夏目区議は政治団体「政治家女子48党」の党首であるにも関わらず、「次世代あらかわ」の公認で立候補していた。政治家女子48党の党首であることはポスターに小さく書いてあるだけで、よく見ないとわからない。政党名を隠したステルス候補として立候補していたことが、当選に繋がったとも考えられる。
この事で味を占めたのだろうか。5月14日告示21日投票の足立区議会議員選挙でも同様の手法を取った。政治家女子48党は26歳の井前聖良候補を擁立したが、「井前せいらと次世代あだち」の公認候補として立候補したのである。
4年前、NHKから国民を守る党は区内に居住実態のない26歳の加陽万里布候補者を問題提起のために敢えて擁立した。当選資格がないことから得票は無効とされたものの、8番目の得票となる5,548票を獲得していた。足立区には半年前から区議選に向けて準備していたNHK党の黒瀬信明氏がいた。しかし、統一地方選でNHK党と政治家女子48党が共倒れしたこともあり、黒瀬氏を直前に下ろしている。黒瀬氏はこれが原因か、うつ病を発症。NHK党からも離党してしまった。
井前候補のポスターには、NHK党や政治家女子48党を匂わせる記述は微塵もなかった。
開票の結果、井前聖良候補は2,906票を獲得するも、次々点に終わり当選ならなかった。足立区の開票速報では、一時期当選圏に入っていたことから、期待されたものの、結局届かなかった。その後、立憲民主党公認で初当選した和田愛子候補が、3月に偽ブランド品販売容疑で書類送検されていたことが発覚したため辞職し、井前候補は次点となった。井前陣営は、当選無効の異議申し立てを4人の候補者に対して行なったが、いずれも却下されている。
しかしNHK党はその後もステルス作戦を敢行していく。7月9日投票の厚木市議会議員選挙に「厚木新党」の岩崎一弥候補。8月6日投票の柏市議会議員選挙には「農業党」の渡辺晋宏候補。8月27日投票の秦野市議会議員選挙には「秦野福祉党」の若林誠二候補。11月12日投票の海老名市議会議員選挙には「新党えびな」の三宅紀昭市議。12月3日投票の上尾市議会議員選挙には「上尾みらいの党」の金沢祥子候補。2024年4月7日投票の志木市議会議員選挙の「ふるやたかしと志木の福祉と教育を守る会」の古谷孝市議らがNHK党・政治家女子48党を隠して立候補した。この内、秦野市の若林候補は最下位で落選したが、それ以外は見事当選している。
その一方で、2023年12月3日投票の朝霞市議会議員選挙においては「NHKから国民を守る党」で立候補した現職の原田公成市議が大きく票を減らして惨敗した。もはや「NHKから国民を守る党」という名前はかえって票を減らす効果しかないようである。
◆みんなでつくる党発足
2023年6月28日、大津綾香党首は、副党首の丸山穂高・齊藤健一郎、会計責任者の立花孝志、幹事・会計担当者の粟飯原美佳の4名の解任を発表した。
2023年8月10日、参院会派「政治家女性48党」は会派名を「NHKから国民を守る党」に変更している。一方の、齊藤議員によって中央選挙管理会に出されていた政党名を「NHKから国民を守る党」に変更するという届け出と党代表者の変更は、「権限のある代表者によって提出されたのか疑義が解消されないため」とのことで認められなかった。
11月6日、大津党首は記者会見を開き、政党名を「みんなでつくる党(略称「みんつく」)」へ変更すると発表した。翌7日には立花氏が記者会見で「大津氏に代表権はない」と主張した。齊藤、浜田両参院議員も離党の可能性を否定し、齊藤議員は「われわれの2議席は立花氏のものだ。有権者は立花氏を信じて1票を投じて、議席が生まれた」と語った。11月14日、総務省によって「みんなでつくる党」への党名変更が認められた。
2024年1月、みんなでつくる党は政党交付金の受給申請を行なわなかった。受給申請を行なうためには国会議員が1名以上党に所属している必要があるのだが、齊藤・浜田両議員が総務省への届け出書類に署名を拒んだため、申請が出来ず、みんなでつくる党は政党助成法上の政党要件を喪失した。そのため3.3億円の政党助成金を受けとることが出来なくなった。なお、公職選挙法上の政党要件は維持される。1月19日党は、齊藤・浜田両議員を除名したと発表した。
このことを受けて党の債権者約300名が東京地裁に対し「みんなでつくる党」の「破産申立」を行なった。負債額は約11億円だという。元はといえば党の借金は立花孝志前党首に原因があるのだが、こうしたことで大津現党首に責任を擦り付けようとしている。破産が確定すれば、党の財産は差し押さえられるため、今後は政治活動を行なうことすら困難になってしまうだろう。
また、齊藤参院議員は、登記の代表者名を自身に変更するため、大津に「辞任した」との書面を作成するよう求めて訴訟を起こしていたが、3月21日棄却された。この判決によって党の代表者は大津党首であると決着したことになる。
◆債権者委員会設立
党の代表権を取り戻すことに失敗した立花前党首側は、一部の債権者による債権者委員会を組織し、5月24日に説明会を開催した。設立の目的は破産管財人に対し意見し、みんなでつくる党の持つ資金を回収する環境を作るとのことである。9人の委員にはNHKから国民を守る党幹部の粟飯原美佳氏や、顧問弁護士の村岡徹也氏、宮城壮一・四街道市議、三宅紀昭・海老名市議、古谷孝・志木市議、松田亘・元練馬区議(ネット選挙株式会社取締役)などが含まれており、第三者期間的に位置付けといいながらも大半が立花前党首側の人間となっている。そのため、大津党首側の責任を追及する一方で、立花前党首の責任は追及する必要がないという立場を取っていた。
立花前党首は、彼個人への貸付金約3・5億円を大津党首側から返還を求められている。これは2億円はガーシー(東谷義和)候補の参院選擁立費用、1・4億円は参院選・衆院選などの資金で、いずれも組織対策費とのこと。これらのお金は政党交付金に跳ね返ってきたため、財産を減らしたとは評価されないことが、責任を追及されない理由なのだそうだ。
立花前党首は、「1000万くらいは淡路島の土地を買って、ドッグランにして、従業員に働いてもらおうとしたもの」とも語った。この1000万円については管財人に返還する意思を示している。これは私的な流用ではないのか。債権者に対して「道義的責任は果たしていきたい」と語っているが、さすがにこれは許されないのでは無いだろうか。
◆NHKをぶっ壊すテレビ
そもそもNHK党が莫大な借金を背負うようになった原因は、立花孝志前党首の無計画によるものであったことは、これまでもこの「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!」で指摘してきた。そんな状況を打開するためだろうか、立花前党首は次々と金儲けの策を立ち上げている。
その1つが、2023年3月に販売を開始した「NHKをぶっ壊すTV」であった。
これはNHKが映らないという画期的なテレビで、当然NHK受信料契約の必要もない。39,800円で発売された初回販売500台は4月4日までに完売したという。
しかし実際のところ、これはチューナーレステレビであって、そのままではNHKどころか民法すら見ることが出来ない。何かを見るためにはAmazonプライムビデオやNetflixといったアプリに加入しなければならない。また、Amazon等でより安価なものが販売されている。
初回販売分は結局のところ熱心な支持者が購入したというだけに過ぎず、4月以降に定価49,500円でスタートした予約販売は、バカ売れするということは無かった。多くの在庫を抱えることとなったようだ。このNHKをぶっ壊すTVは、値段も29,250円に値下げされ、現在も販売されている。
◆ポスター掲示板ジャック
NHK党の立花孝志党首は、2024年7月に行なわれる東京都知事選挙に、500人の候補を立てるという計画を打ち上げた。供託金だけで15億円かかるが、17日間政見放送をジャックした上に、ポスター掲示板もNHK党だらけとなる。
しかも、大量立候補によって得票が分散し、当選に必要な法定得票の1/4をどの候補も獲得出来ないため、選挙が無効となり、供託金も返還されるというのである。
もちろん実際そんなことにはならないだろう。過去には栃木県桑絹村長選挙において、とある陣営が200人擁立したということがあったが、ほとんどの候補者の得票は0票に終わっている。いくら候補者を多く立てようとも、NHK党の支持者層が増えるわけでは無いのだから、同様のことになりかねない。
その後、候補者数は100人→30人とスケールダウンしていった。
2024年4月11日、立花孝志党首は、都知事選の30人の候補者のうちの13人を発表した。
30人に候補者を縮小した理由として、立花党首は「あまり増やし過ぎるのも都選管や都民に迷惑をかける」と語っていたが、30人でも充分迷惑である。
立花党首は、この作戦を「選挙フェス」と呼んだ。そして、30人分のポスター掲示板に「ポスターを貼る権利」を売るという。ポスター掲示板は都内全部で約14000箇所あるが、その掲示板に選挙に出られない人のポスターを貼るというのである。その費用は掲示板1箇所につき5000円(6月以降は1万円)。ポスター30枚分のスペースには何を掲示しても良い。必ずしも候補者の写真でなくても良いという。過去には「支持政党なし」(写真下)や、ホリエモン新党(写真上)などがその作戦を用いている。
掲示板を商売に使うことは出来ないが、「ガソリン車ではなく電気自動車で」「チューナーレステレビを買って受信料を払うのをやめよう」などのキャッチフレーズを載せることは可能とのことだ。
立花前党首は供託金に9000万円使っても1億円回収の見込みがあるというが、5千円で14000箇所ではそもそも7千万円にしかならない。掲示板の設置場所は離島や郊外といった宣伝効果の低い場所すらあるから全てが埋まるとも思えない。
さらに言うと、ポスター掲示板に広告を載せることに宣伝効果がどれだけあるのか疑問である。数ヶ所使うならともかく、1ヶ所だけでは効果はさほど大きくない。その上選挙ポスターの中に、明らかに違うものが貼ってあったら、それを見た有権者はどう思うだろうか。下手をするとマイナス効果にすらなりかねない。
この時発表された13人の候補者は次の通り。
立花党首によると「厳選」した顔ぶれだというのだが、とてもそうは思えない。2022年参院選東京選挙区の候補者の方がよっぽど厳選された顔ぶれだった気がする。そういった候補者の多くがこのところ党を離れてしまっている。それだけ現在のNHK党には人材が不足しているということなのだろう。
記者会見で立花党首は供託金9000万円の内3600万円までは目途がついたと語っているが、その金額は12人分の供託金に過ぎない。なるほど、今回発表を13人に留めたのはそんな理由だったか。実際のところ供託金の目処が立っていないのだろう。残り17人はこれから選定していくとのことだが、30人まとめて発表した方が間違いなくインパクトはあったはずだ。
5月23日の記者会見で、NHK党は新たに武内隆氏(61)と松尾芳治氏(45)の2名を都知事選に擁立すると発表した。これで候補者は15人となった。
しかし立花党首は、「政治家になるためのステージをわれわれだけで独占するのはよくない」と語り、選挙全体の立候補者数を見極め、人数が多くなる場合には一部を取り下げるという。
田母神俊雄氏との対談で、立花党首は「お金はすぐに集まった」と語っていたが、ひょっとしたら選挙に必要なお金が集まらなかったのかもしれない。あるいは既に必要な支払いに使ってしまったのだろうか。
「ポスターを貼る権利」の販売状況も、都内13,875箇所のうち現時点で672箇所。推定売上 3,360,000円)に留まっているようだ。
まだ時間はあるとはいえ、これではとてもではないが、供託金分すら取り返せないだろう。
それよりも、30箇所の権利だと思っていたのがいきなり半減するということでのトラブルは無いのだろうか。話が違うと返還を求める人も出てくるかもしれない。
◆立花孝志と焼き肉を食べる権利
立花党首はよっぽどお金に困っているのだろうか、「立花孝志と焼肉食べる会」の参加者の募集を始めた。3万円を払うと六本木の焼き肉店で立花党首が一緒に焼き肉を食べてくれるのだそうだ。しかし食事代は別だというから決して安くはない。
まるでおっさんレンタルみたいである。正直、そんなお金の使い方をするくらいなら、キャバクラで散財したほうがはるかにマシではなかろうか。しかし不思議なことに完売したのだという。
◆つばさの党逮捕
みんなでつくる党の黒川敦彦幹事長は、2023年8月14日付で幹事長解任となっていた。大津党首によると、「党運営の方向性の違い」というのが理由であった。黒川幹事長が、「CIAをぶっ壊す」などと出来ないことを主張することを党として受け入れられないということ、黒川幹事長らが街宣において参政党などを執拗に攻撃するというスタイルが党としてマイナスになると判断したということである。
2024年4月16日に公示された衆院東京15区の補欠選挙に、黒川敦彦氏が代表を務める「つばさの党」は根本良輔幹事長を擁立した。
この選挙の最中、根本候補や、つばさの党の黒川敦彦代表は他候補の街宣に乱入しては対立候補の演説にかぶせるように拡声器で怒鳴ったり、街宣車で執拗に追いかけたりと盛んに妨害行動を行なっていた。それを批判されると、「街頭演説用標旗を持っている以上、どこでも街宣してもいい」「表現の自由の中で、適法なことをやっている」と開き直った。選挙戦終盤には他候補のスタッフへの暴行の疑いもあった。
公職選挙法には次のようにある。
彼らの行為は明確に公職選挙法違反であり、例え言論の自由があろうとも許すわけにはいかない。黒川代表らは“自由”の意味を取り違えているとしか言えない。
5月17日、公職選挙法違反(選挙の自由妨害罪)の疑いでつばさの党の黒川敦彦代表(45)、根本良輔・幹事長(29)、運動員だった杉田勇人氏(39)の3人が逮捕された。黒川代表、根本幹事長の2人は7月の都知事選にも立候補を表明している。都知事選でも同様の行為を行なうことを示唆していた。今度は都内全域で選挙妨害が繰り広げられるのだろうか。とてもではないが、そんなものは見たくない。いっそのことその時期まで捕まっていて欲しいものである。
黒川代表らがこうした選挙妨害を始めたのは、彼がNHK党の幹事長に就いていた頃である。もともとこうした選挙妨害はNHK党の立花孝志党首が得意としていたことである。黒川代表らは立花党首の影響を受けている。そう考えると、今回の逮捕の責任の一端は立花党首にもあるのでは無いだろうか。
◆立花孝志Xデーはいつ?
私は以前から「立花孝志党首のXデーは近い」と主張してきた。今回、本稿を書きながらも、立花党首はいつ逮捕されてもおかしくないと一層思うようになった。
しかし、現在に至るまで立花前党首は逮捕されず、YouTubeを中心に好き勝手をしている。いったいなぜなのだろうか。
ひょっとしたら警察側は証拠固めの最中で逮捕のタイミングを計っているのかもしれない。つばさの党の黒川敦彦代表も、逮捕まではされないのではないかとの憶測があったが、それに反して逮捕された。黒川代表らは、すでに2週間以上釈放されず、しかも接見禁止命令が出るという厳しい処分を受けている。そう考えるとすでに不正競争防止法違反と威力業務妨害で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けている立花党首にはより厳しい処分が下されてもおかしくない。おそらくは最高に劇的なタイミングでXデーがやってくるだろう。それを期待して待つこととしたい。
2年ぶりの「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!」となったが、ここまで更新をサボってしまったことを激しく後悔している。あまりに出来事が多すぎて、とてもではないが全てを書くわけにはいかないからだ。結果的にかなりはしょってしまった部分があった。読んで頂いて、あれが入ってないのはおかしいというお思いの方もいるだろう。そういった点に関してはぜひともコメント欄で指摘して頂きたい。訂正・加筆は随時行なっていくつもりである。
次の「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!12」はいつになるか分からないが、ひょっとしたら「完結編」となるかもしれない。引き続き、NHKから国民を守る党・みんなでつくる党をウォッチしていきたいと思う。
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