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大人になって出来なくなったこと

過去に普通に出来ていたことが、いつの間にか出来なくなっていることがある。
いや、「子持ちだからオールで飲めない」とか「得意だったさかあがりが出来ない」とか、そういう環境や肉体の変化によるものではない。

「出来なくなったこと」は2種類に分類できる

私にとっての「出来なくなった」には2種類ある。

成長によって出来なくなったこと

ひとつは、成長の過程で「恥ずかしい」という感情を覚えて、社会通念上これはやるべきでないということを学んで出来なくなったこと。これは大人なら誰でもあることで、心配しなくていいと思っている。

自意識によって出来なくなったこと

もうひとつは、社会通念上NGではなく、なんならやるべきことですらあるのに、人の目を気にするあまり出来なくなったこと
持ち続けたい能力だったのに、失ってしまったものを指す。

私が最近出来なくなったこと

では思いつく限り挙げてみる。

1. 人の目を見て挨拶できなくなった

「おはようございます」「お疲れ様です」と声は出せる。でも目を見ることはかなり意識しないと出来ない。いつも相手の顔の方向を向き、それとなく視点をぼかしてやりすごしている。これってバレているだろうか。バレていないと思いたい。

目を見て挨拶されることの気持ちよさは知っている。知っているが故の、この行動である。
だって、自分が目を合わせようとしているのに、相手は顔すら見てくれなかったら?軽視されている気がして悲しくなる。
ならこちらだって、相手の顔をじっと見なければいい。そうすれば、向こうが目を合わせないのを知らずに済む。随分と弱気な理由である。

これは一種の醜形恐怖?対人恐怖?あまりひどいようだったら、いずれ受診しなければと思う。

2. 人前でギャグできなくなった

女子大生の頃、有名な芸人さんと複数で飲む機会があった。そこのカラオケで酔っ払って、なんだか失礼なことをした覚えがある。プロの前で何をしていたんだ私は。
いまはお酒の力を借りても、同じことは出来ないだろう。いや、もう出来なくていいけれど。
あの頃の強心臓は何処へ?

3. 文章が書けなくなった

昔は作文を書くのが得意で、よーいドン!ですぐ筆を動かせた。授業では先生に、しょっちゅう原稿用紙のおかわりを依頼していた。
いまや、仕事のメールを書くのも一苦労。どう書いたら相手の気分を害さないか、自分の言いたいことが伝わるか、考えているうちにあっという間に時間が経つ。どうにか自分の印象を損なわないように必死になる。
この文章力については、noteで絶賛リハビリ中。

4. 誰とでも仲良く出来なくなった

容姿とか学歴とか収入とか、コンプレックスが多いからだろうか。自分より明らかに優れている人には「私なんかと話してもらって申し訳ない」と変に恐縮するようになってしまった。
これは裏を返せば、緊張せずに対峙できる相手のことは実は軽んじているということにもなりかねない。早々にやめたい。

5. 自分のアイデアを出せなくなった

新卒で入った会社で、求められていないのにアイデアをあれこれ出したら「その手段を取らないのは、なにか出来ない理由があるからであって、お前ごときが思いつくことで改善できると思うな。調子に乗るな」というニュアンスのことを上司に言われたことがある。
そこで私は、特に悲しむこともなく「たしかに言われてみればそうだな。経験を積んだ先人たちが実現できていないのだから、きっと何か無理な理由があるんだな」とやけに素直に納得した。それから物事を深く考えずに、言われた手順で言われた通りにやる習慣が身についた。

しばらくして転職し、そこではそこそこ創造力が求められたのだが、何も思いつかない。創造力が死んでいた。いま思えば、前述の一言で私の考える力は殺されていたのだ。別に、その一件で傷ついたわけでもなかったのに。
小学生の頃、通信簿に「創造力豊かです。将来に期待」と書いてもらっていたのに。先生ごめんなさい、私はしょうもない平凡な大人になってしまいました。

いまは職場環境もよく、どんな意見も受け止めてくれる良い上司に恵まれている。でも、アイデアは出てこないどころか、むしろ人のアイデアに対して問題提起ばかりしている。こんなはずじゃなかった。治し方を知っている方がいれば、ぜひ教えてほしい。

6. 物覚えがわるくなった

流行歌の歌詞とか、お芝居のセリフとか、あんなにスラスラ覚えられたのに。加齢によるものだろうか。まだ30過ぎだけど?

仕事関係でたまに会う方のお名前が、全然覚えられない。こっそり似顔絵を書いて特徴をメモしておくのだけれど、特にクリエイター界隈の男性は細身・黒縁メガネ・ツーブロックの方が多くてとても苦労する。
イベント会場の広い空間で、その方を探して挨拶しなければならない場面なんかはもう泣きそうになる。どこかでこっそり写真を撮りたいくらい。

絶望しかない

老化によるボケとか身体能力の衰えとかは仕方ない。生きている限りいずれやってくる運命だから。
ただ、社会通念上すべきであることが出来なくなることは、自尊心をかなり損なうことになるので避けていきたいところ。切実な悩み。

ここまで書いてきて気がついたけれど、同じことを同じ人と同じ場所でやり続けて刺激のない毎日を送ることで、この症状はより一層悪化するのかも。新しい刺激を求めて広い世界に出れば、少しは改善する?
飛び出す勇気が欲しい。

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