33歳人妻が16歳の少年に恋した話 8 ネトスト

試合が終わり、帰宅。

とにかくぼーっとしていた。
夕飯を作りながらぼーっとして、食べながらぼーっとして、お風呂に入っても、上がっても、とにかくずっとぼーっとしていた。

頭の中にはずっとフラッグ君がいた。

お互いマスクをしていたから、顔はほとんど見えてなかったのに。
今までの人生で一目惚れなんてしたことがなかったのに。

すごく綺麗な目をしてたな。
すごく痩せてたな。
身長高かったな。170ぐらいかな。

また会えたらいいな。
そう思ってしまっていた。

大学生になって、初めて好きな人ができた時のあの感覚にそっくりだった。というか同じだった。
良くないと思った。

寝る前にぼーっとしながらTwitterのタイムラインを眺めていたら、一通のDMが届いた。

フラッグ君からだった。

「今日はありがとうございました!
ステッカーあげただけなのに、クッキーもらってしまってなんかすいません💦
機会があればまたお会いしましょう!いただきます!」

写真が添付されていた。
開封したクッキーの箱と、箱の中から取り出したクッキーを持つ彼の手。

私はすぐさま返信した。
「こちらこそ、ステッカーありがとうございました!
お菓子は勝手に持ってきただけなので(笑)私の作ったワードを形にしてくださり本当に嬉しかったです!
また会いましょう!」

そうしてやり取りは終了した。

フラッグ君が自分から連絡をくれたことが嬉しくて、もらったメッセージを何度も読み返した。何の変哲もない、普通の文章なのに。

写真も保存して何度も見返した。ほぼただのクッキーの写真なのに、少しだけ写っている彼の手を見るだけで幸せな気持ちになった。

しかし、DMを何度も読み返しているうちに、気がついたことがあった。

「機会があればまたお会いしましょう!」

え、「機会があれば」???
もう絶対なくない?

多分もう彼は私と会うつもりはないのだろうな、と思った。

やっぱり私はブスだから。会った瞬間がっかりしちゃったんだろうな。

しかし、フラッグ君への興味関心が薄れることはなかった。
むしろ、もう会えないと思った途端、一体どんな人なのかとますます気になってきた。

そういえば、フラッグ君は過去にどんなツイートをしていたのか見たことがなかった。

早速過去ツイートを見てみた。

もう止まらなかった。
気がつけば、彼の初回ツイートまで遡っていた。

試合前に食べてるご飯の写真、歴代の推しの選手、お母さんと一緒にチームのイベントに参加したこと(チームの公式Twitterを遡り、お母さんの姿も確認した)、何気ない日常。趣味のギター。

他の人へのリプライも全部見た。
そこからTwitterの別垢、インスタのアカウントも特定した。
もちろんそっちの投稿も全部見た。

ただのネトストじゃん。
我ながらめっちゃキモいと思った。

というか、自分が人のツイートを隅から隅まで見て、別垢を特定できるぐらいのガッツがあることに驚いた。こんなの初めてだった。

Twitterの別垢は、より子供らしい文体で、私と繋がっているスポーツのアカウントと棲み分けしているように見えた。

他にも好きなスポーツがあること、4月生まれであること、太ももフェチであることも知った。

別垢のツイートに来ていた

「彼女の年齢差、何歳までならいける?」
という質問に

「プラマイ3歳」
と返信していた。

プラマイ3歳って。13歳も許容範囲なのかよ。
と思った一方で、
17歳上のおばさんなんて相手にするはずないわな、と思った。私は一体何を考えているんだろうとも思った。

今後も仲の良い相互フォローとして細々とやり取りを続けるだけ。それ以上は考えないようにしよう。
気になるけど、これ以上はもうダメ。というか無理。
今日発生した感情は全て殺すことにしよう。

そう決めて、眠りについた。

続く

関係ないけど仕事納めだったしボーナス多かったから焼肉行った。早い段階で油にやられた。大人になったなって思った。

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