8年間片思いされた話 2 初めての食事

彼から手紙を渡されて2日後。
震災発生からちょうど1週間。

電気が復旧した。
こんなに早く復旧するのかと驚いた。

携帯電話を充電し、久しぶりに電源を入れてみた。

当時付き合っていた彼氏の住んでいる地域も電気が復旧したようで、

「あのこちゃん無事に生きてる?!早く会って抱きしめたい😭」

と連絡が来ていた。

ありがたいことに、彼氏は私を溺愛してくれている。

「彼氏くん!無事だよ!彼氏くん生きててよかった😭」

と返信した。

彼氏に例の彼のことを相談することにした。

「復旧作業してたら常連のお客さんから連絡先渡されたんだ。
彼氏いるって言っても友達になってくださいって言ってきたんだよ。どうしよう?」

彼は否定的かと思いきや

「友達になるぐらいならいいんじゃないの?断ってお店来づらくさせるのも可哀想でしょ?
でも会う時は俺にちゃんと報告してね、ちょっと心配だから」

と返信してきた。

彼氏っていい奴だなって思った。

彼氏の言うこともまあわかるし、とりあえず軽い気持ちで連絡してみることにした。

「初めまして。あのこです。
この間はお手紙ありがとうございました。
彼氏に相談したら、友達になるぐらいならいいって言われたのでぜひそのような関係でお願いします」

と連絡したところ、1分ぐらいで

「連絡ありがとうございます!
彼氏に相談したんかーい!!(笑)でも嬉しいです、友達としてよろしくお願いします」

と返信が来た。

悪い人ではなさそうだと思った。

震災が落ち着いて飲食店が復活したらご飯にでも行こうという話になった。
彼氏にもその旨を報告した。

その彼のことは以下田村さんと呼ぶ。(もちろん仮名)

バイト先が復旧してから、田村さんは毎日来店した。(私が休みの日も必ず来ていたそうだ)
そして必ず、私のレジを狙ってDVDを借りに来た。

「彼氏と別れる予定ありませんか」
「ありませんよ、大好きだから」
「俺も結構いい男なんだけどな〜」

こんな感じで、彼はライトに好意を伝えてきた。

震災から1ヶ月ほど経過し、徐々に近隣の飲食店が復活してきた頃ご飯に行くことになった。

彼氏にその旨を伝え、了承を得てからバイト先の近くのファミレスに行くことになった。

バイトを終えた18時。
田村さんと現地で待ち合わせた。

田村さんは私を見るなり笑顔で手を振り、

「今日は初めてのデートだから綺麗目な格好をしてきました!」

と手を広げて見せてきた。

興味がなさすぎたので

「興味ないです(笑)」

と言ったら

「ひどいなあ」

と言って笑っていた。

話をして、彼は私と同い年であることや、共通の友達がいることなどがわかった。

陽キャと言われる部類の人間で、本当に悪い人ではなさそうだった。育ちも良さそうな感じ。
でも何だか私とは合わなさそうな気もした。直感だけど。

友達ぐらいでちょうどいい人なのだろうなと思った。
またちょくちょくご飯でも、と約束してその日は解散した。

続く

関係ないけどまた定期的にやってくる孤独感を覚える時期がやってきた。これは一体何なのだろう。そしてみんなどうやってこんな時期を乗り越えているのだろう。

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