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海辺にて。


じっと波を見つめていた娘。何を想っていたんだろう。
潮の風があなたの丸い鼻とふっくらとした頬を冷たくする。

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髪も湿ってきたね。海はあなたに優しいかな。
時には厳しい顔を見せることもあるだろう。
はしゃいで駆け回る脚を濡らしては、あなたたちを楽しませたり、
驚かせたりもするだろう。
そばには誰がいる?
ひとりのときも、誰かが寄り添うときも、誰かに寄り添うときも。
私がそこに居ても、居なくても。
あなたは私の大切な子。
海よ、この子をお守りください。
この子がここに来て、そっと何かを打ち明けたり、恋を謳歌したり、
涙したりするときも。
どうぞ大らかに、静かに、受け入れてあげてください。
潮の香り、波の音、細かな砂、白い貝殻。
そのどれもがこの子の心を育て、学ばせてくれることでしょう。
いつの日か、ここを離れたとしても、ふと想い出し、懐かしみ、
記憶の中にある波の音に耳を澄ますことでしょう。

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さぁ、そろそろお家に帰ろうか。
服と靴を脱ぐときは砂をよくはらってね。
温かいお風呂に入ろう。泡を立てて、身体を洗おう。
洗いたてのパジャマを着ようね、気持ちがいいね。
ベッドに入ったら絵本を読んであげる。海のお話しをしよう。
オルゴールのネジはあなたがゆっくり回してね。
あくびが出たら、さぁ、ねんね。
柔らかい毛布があんよまでくるんと優しく包むよ。
あたたかいね。
あたたかいね。


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