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藤井三冠、見つめる先他

昨日(10/22,23日)の竜王タイトル戦第二局は豊島竜王が先手で独自の相掛かり研究手順を繰り出したにも関わらず藤井三冠の完勝に終わりました。局後豊島竜王研究の6六角から7五角については一応藤井三冠も筋としては認識していたようです。

王位タイトル戦第一局では逆に藤井三冠が先手で相掛かりの将棋を豊島竜王に完敗を喫しました。どうしても相掛かりは序盤の組み立てで不利にしてしまうと、玉型が薄いせいか一方的な展開になりやすいようです。

つまり研究しているかどうか、またそれを知っているかどうか、が大きく勝敗に影響します。

NHKの最近のインタビューに答えて藤井三冠は「現状の自分はまだまだ、ものすごく強くなれる余地があると思っている」と述べています。これほどはっきりと自分の成長に自信のある発言は珍しい・・・

昨年末から使い始めたディープラーニング系のソフトがようやく体感として身に付き始めているのではないでしょうか?

ソフトは棋力の高い棋士が使えば使うほど、得るものが多いと言われます。
棋士間の棋力差を平坦にするのではなく、さらに広げる傾向にあるわけです。

従来型のソフトの観点・手順を自分の棋力でそれを精査していたのにプラスしてディープラーニング系ソフトをさらに加えることで、より複合的でより広く深く研究が進んだのではと推測しています。

今後ディープラーニング系のソフトがさらに進化することは今や自明の事実なので、藤井三冠もそれに合わせて自分の棋力が高まる景色が見えてきている、それが「ものすごく強くなれる」の真意では?

藤井三冠は本来の才能と努力でソフト無しでも十分強いし、強くなれるのは間違いありません。しかし他の棋士より恵まれているその基本層である才能と努力がソフトによって飛躍的に向上するイメージです。

例えば、一般棋士の基本層が1とするとソフトによってそれが2倍の棋力に達するとすれば、藤井三冠の場合は基本層が3でソフトによる向上が4倍になると・・・

そして毎年基本層の差は1:3で変化しないとしても、棋力差は2倍:4倍で2倍づつ離れて行くといった感じでしょうか。
この倍差はもちろん藤井三冠のPCやソフトへの理解度等も後押ししていることでしょう。

もし藤井三冠がPython等の人工知能用プログラミング言語にも習熟して、阿部七段の予言の通り「棋士が自ら使う道具は自ら作る時代。」になれば、まさに前人未踏の強さの棋士に・・・


2021年度可能対局数残: 36局 10/24現在(敬称略)

順位戦22年03月 05局○○○○○(今期6勝,1敗,次 松尾歩 11/11)
JT杯戦21年11月 02局本戦○○(今期1勝,次 永瀬拓矢 11/03)
竜王戦21年11月 05局タイトル5*○(今期7勝,挑決1早失,次 豊島将之 10/30,31)
銀河戦21年12月 04局決勝トーナメント○○○○ (今期1勝,次 斎藤明日斗 未定)
王将戦22年02月 11局挑決リーグ○○○○タイトル7*○(今期4勝,次 豊島将之 11/05)
朝日杯22年02月 04局本戦○○○○
NHK杯22年03月 05局本戦○○○○○(次 深浦康市 10/31)

合計      36局(トーナメント全勝、挑決とタイトル戦フルセット勝利)

今期初可能対局数 100局

今期勝ち数計  35勝(勝率 0.854、振り駒勝率 0.523 11:10)
今期負け数計  6敗
今期喪失局数  18喪失(棋戦敗退による対局喪失)
今期早失局数  5早失(番勝負早期決着による対局喪失)

今期防衛・奪取棋戦:
棋聖戦21年07月 棋聖防衛 対渡辺明 (今期3勝,2早失)
王位戦21年08月 王位防衛 対豊島将之(今期4勝,1敗,2早失)
叡王戦21年09月 叡王奪取 対豊島将之(今期8勝,2敗)

今期敗退棋戦:
王座戦21年10月 本戦1回戦●×××タイトル5*×(今期1敗、8喪失)
棋王戦22年03月 本戦●×××挑決2*×タイトル5*×(今期1勝,1敗、10喪失)


今期対戦結果:
2021/04/09 ○ 広瀬章人 叡王戦 八段戦 決勝 (先手 相掛り)
2021/04/16 ○ 八代弥  竜王戦 2組 ランキング戦 決勝(先手 矢倉)
2021/05/06 ● 深浦康市 王座戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2021/05/13 ○ 三浦弘行 順位戦 B級 1組 1回戦(先手 横歩取り)
2021/05/17 ○ 行方尚史 叡王戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2021/05/25 ○ 佐々木勇気銀河戦 本戦ブロック 決勝(先手 相掛り)
2021/05/31 ○ 永瀬拓矢 叡王戦 本戦 2回戦(後手 雁木)
2021/06/03 ● 稲葉陽  順位戦 B級 1組 2回戦(後手 角換わり)
2021/06/06 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 1回戦(後手 相掛り)
2021/06/13 ○ 屋敷伸之 順位戦 B級 1組 3回戦(後手 相掛り)
2021/06/18 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/06/22 ○ 丸山忠久 叡王戦 本戦 準決勝(先手 一手損角換わり)
2021/06/26 ○ 斎藤慎太郎叡王戦 本戦 決勝(後手 角換わり)
2021/06/30 ● 豊島将之 王位戦 タイトル戦 1回戦(先手 相掛り)
2021/07/03 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 3回戦(後手 矢倉)
2021/07/06 ○ 久保利明 順位戦 B級 1組 4回戦(先手 四間飛車)
2021/07/10 ○ 山崎隆之 竜王戦 本戦 準々決勝(後手 相掛り)
2021/07/14 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 2回戦(後手 角換わり)
2021/07/22 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 3回戦(先手 角換わり)
2021/07/25 ○ 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 1回戦(先手 角換わり)
2021/07/30 ○ 石田直裕 王将戦 二次予選 2回戦(先手 相掛り)
2021/08/03 ● 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 2回戦(後手 角換わり)
2021/08/06 ○ 八代弥  竜王戦 本戦 準決勝(後手 矢倉)
2021/08/09 ○ 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 3回戦(先手 角換わり)
2021/08/12 ○ 永瀬拓矢 竜王戦 挑戦者決定戦 1回戦(後手 三間飛車)
2021/08/16 ○ 稲葉陽  王将戦 二次予選 決勝(後手 角換わり)
2021/08/19 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 4回戦(後手 相掛り)
2021/08/22 ● 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 4回戦(後手 相掛り)
2021/08/25 ○ 豊島将之 王位戦 タイトル戦 5回戦(先手 相掛り)
2021/08/30 ○ 永瀬拓矢 竜王戦 挑戦者決定戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/09/02 ○ 斎藤明日斗棋王戦 本戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/09/13 ○ 豊島将之 叡王戦 タイトル戦 5回戦(先手 相掛り)
2021/09/17 ● 斎藤慎太郎棋王戦 本戦 3回戦(後手 角換わり)
2021/09/20 ○ 木村一基 順位戦 B級 1組 5回戦(先手 相掛り)
2021/09/25 ○ 千田翔太 JT杯戦 本戦 2回戦(先手 相掛り)
2021/09/27 ○ 糸谷哲郎 王将戦 決勝リーグ 1回戦(後手 角換わり)
2021/09/30 ○ 横山泰明 順位戦 B級 1組 6回戦(後手 相掛り)
2021/10/04 ○ 広瀬章人 王将戦 決勝リーグ 2回戦(先手 相掛り)
2021/10/09 ○ 豊島将之 竜王戦 タイトル戦 1回戦(先手 相掛り)
2021/10/19 ○ 郷田真隆 順位戦 B級 1組 7回戦(後手 角換わり)
2021/10/23 ○ 豊島将之 竜王戦 タイトル戦 2回戦(後手 相掛り)


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